1環境問題は、身近な問題であり、人間の生存をも左右する根本的な問題です。しかし、その認識は、問題が深刻にならなければ深まらないというのも事実のようです。このような性格の環境問題をうまくたとえたものに水草の話があります。
2地下水が豊富な熊本市に、江津湖という湖があります。この湖で最近問題になっているのがウォーターレタスという外来の水草の増殖です。湖一面、この水草で覆われてしまい、ヒメバイカモなどの在来の貴重な水草が駆逐されようとしています。
3水草がこれほど増えるまで問題にならなかったのは、環境問題に対する、私たちのこのような意識のあり方と似たところがあったようです。つまり、一片の水草が一週間に二つに増える能力があるとしましょう。4最初は、だれかが問題意識もなく、自宅の水槽の水草を捨てたのでしょう。一週間後、水草が二つに増えてもだれも気づきません。何週間か後、少し目につくようになり水草に気づく人もでてきましたが問題にする人はいません。5まだ、広い湖でほんのわずかな部分にあるだけだからです。さらに月日が経ち、水草が湖面の八分の一ほどを覆うようになると、人々が問題にしはじめました。「大変だ。このままでは水草が増えて湖が覆われてしまう。」と。6しかし、次の週には、湖面の四分の一に、その次の週には半分まで水草が覆い、本格的な対策を打つ余裕もなく、人々が騒ぎ出してから、たった三週間目には、水草が湖一面を、占領してしまったのです。
地球環境問題も、この水草の問題と同じような性質をもっています。7私たちの子どもたちが生きていく地球の環境をよりよいものとするために、問題が現実となる前にしっかりと手を打っておかなければなりません。
子どものころ、二十一世紀は夢の時代として遠い存在でした。8しかし、今、現実となり、私たちの子どもたちがこの世紀を支えていくことになります。
人間は地球上の他の動物と違って、脳を極端に発達させてきました。その結果、知能が発達し、道具を使い、火を利用し、機械をつくり豊かで便利な社会を築いてきました。9その反面、私たちの生存の基盤である地球を流れる時間の追随を許さないはるかに速いス
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