00アカシア の山 5 月 2 週 (5)
○くまは、冬になると)(感)   池新  
くまは、冬になると

 【1】冬になると、野や山には雪がふりつもって、くまのたべものが、ほとんどみつからなくなります。いくらさがしまわっても、なんにも、たべるものがありません。
 【2】それで、くまは、野山にどっさりたべもののある秋のあいだに、もりもりとたべて、からだをふとらせます。つまり、くいだめをしておくのです。
 【3】さむい冬になって、雪がふりはじめるまえに、くまはあなの中にはいり、春がやってくるまで、ねむりつづけます。
 これをくまの冬眠といいます。
 【4】でも、ほんとうは、ぐっすりとねむっているのではなく、からだをうごかさないで、うつらうつらしているのです。
 ですから、冬のあいだ、くまは、なんにもたべません。
 【5】秋のあいだに、くいだめしたたべものは、あぶらにして、からだにためこんであります。それが、すこしずつとけて、からだにひつようなようぶんとなって、生きつづけているのです。
 【6】ですから、春めいてきて、雪がとけはじめると、くまは目をさまして、あなからでてきますが、すっかりやせ、おなかをすかしています。
 さっそく、たべものをさがしますが、まだそのころは、そうやすやすと、たべものはみつかりません。
 【7】それで、たまに雪の下をかぎわけて、ふきのねなどをほってたべますが、なにしろ、おなかがすききっていますから、気があらくて、春のはじめごろのくまは、りょうしなどから、いちばんこわがられています。
 【8】人の家のあるところまでやってきて、はたけのさくもつをあらしたり、かちくをとったりするのも、このころです。
 めすぐまは、冬眠しているあいだにこどもをうみます。そして、おっぱいをのませます。【9】それで、よけいにやせてほそくなり、あなからでてくるときには、おなかが、すききっているのです。
 冬眠するどうぶつには、くまのほかに、ねずみのなかまのやまね∵こや、こうもりがいます。
 また、へびやかえるも土(つち)のなかにもぐって、じっとしています。【0】

「理科なぜ? なぜかな」(宮下正美(みやしたまさみ)著 偕成社)より