長文集  1月4週  ○きのこは木の子  00e-01-4
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2010/08/27 12:00:38
 【1】「香りマツタケ味シメジ」という言
葉にあるように、私たち日本人は、秋になる
とマツタケを楽しみたいと感じます。マツタ
ケご飯に、土瓶蒸し、焼(やき)マツタケ、
貴重で高級な味を年(ねん)に一度味わって
、心も体も元気になるようです。【2】ま 
た、ふだんからシイタケ、エノキダケ、シメ
ジ、ヒラタケ、マイタケ、エリンギなど、お
料理に欠かせない素材となるきのこもありま
す。このように身近な存在であるきのこは、
いったいいつごろから食べられるようになっ
たのでしょう。
 【3】高松の この峯も狭(せ)に 笠立
てて
 みち盛(さか)りたる 秋の香(か)のよ

 万葉集に収められた歌です。「笠立てて」
はマツタケがカサを広げてはえている様子、
「秋の香(か)」はマツタケの香りのことで
す。【4】この歌に見られるように、日本人
は少なくとも奈良時代にはきのこを食べてい
たと考えられます。更に平安時代には、貴族
たちの間で、季節をいろどる文化的行事とし
てマツタケ狩(が)りが行われたそうです。
 【5】きのこは、光合成をしている植物と
違って、光がなくても生きていくことができ
ます。昔は、花を咲かせない植物であるシダ
やコケの仲間と考えられていたこともありま
すが、今は菌類として植物や動物とは違う生
物だとされています。
 【6】植物や動物は、食べたり食べられた
りすることでつなが り、バランスが保たれ
ています。植物は光から栄養物をつくり出す
生産者の役割を果たしています。動物は、ほ
かの生物を食べて栄養を吸収する消費者の役
割を果たしています。【7】その植物の生産
と動物の消費がうまく流れていくように、消
費し切れなかったものを分解するのがきのこ
たち菌類の役割です。
 きのこは、「大きな木にはえる小さな子ど
も」ではありません。【8】自然界の中では
、植物や動物とならぶような大きな存在なの
で∵す。そう思うと、おなべの中でぐつぐつ
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煮えているエノキやシメジが「自然を大切に
するんだよ」と語りかけるように思えてきま
す。 

 【9】同じように見えるきのこにも、いろ
いろな性格がありま す。のんきなエノキ、
まじめなシメジ、じっとマツタケ、おいシイ
タケ、筋肉もりもりマッシュルーム。【0】

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 
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