1. 【1】「あの
二人はまるで
水と
油のようだ」というたとえは、
仲が
悪いことを
表すのに
使われます。この
言い方でもわかるように、
水と
油は
相性が
悪く、まったく
混じり合いません。【2】ドレッシングは、よくふって
使いますが、しばらくおいておくと、また
水の
部分と
油の
部分に
分かれてしまいます。
2. ですから、
手に
油汚れがついてしまったとき、
水だけでは
洗い流すことができません。【3】
油は、
水に
溶けないからです。
反対に、
水に
溶けやすい
汚れ、たとえば
醤油や
水性絵の具のようなものは、
簡単に
水だけで
洗い流すことができます。
水に
溶けるということは、
水と
手をつなぐことができるということです。【4】
水に
溶ける汚れは、
水といっしょに
洗い流されていくのです。
3. そこで、
水だけでは
落ちない
汚れのとき、
私たちは
石鹸を
使います。では、どうして
石鹸を
使うと、
油汚れを
落とすことができるのでしょうか。
4. 【5】これには、
水とも
油とも
仲よくできる、
石鹸の
性質が
大きな役割を
果たしています。
石鹸は、
水に
溶ける部分と、
油に
溶ける部分の
両方を
持っています。【6】このように、
水とも
油とも
手をつなぐことができる
性質を
持つものを「
界面活性剤」といいます。
石鹸の
成分は
一方の
手で
油と
手をつなぎ、もう
一方の
手で
水とも
手をつなぐので、
油は
水の
中に
溶け、
油汚れも
洗い流されていくのです。
5. 【7】みなさんが
日ごろ食べているマヨネーズも、この
界面活性剤の
働きで
作られているのです。マヨネーズは、たまごの
黄身と
酢、
サラダ油が
主な
成分ですが、
酢と
油はそのままではうまく
混じり合いません。【8】しかし、たまごの
黄身の
中に
含まれている「レシチン」という
成分が
界面活性剤となり、
酢や
黄身の
水分と
油をうまく
混ぜ合わせるのです。そして、あのなめらかなマヨネーズができあがるというわけです。∵
6. 【9】
仲が
悪い人たちの
間に
入って、「まあそう
言わずに
仲良くやろうよ」とうまくまとめることができる
人は、「まるで
石鹸みたいにえらい
人だ」とほめてあげることができるかもしれません。【0】
7.
言葉の
森長文作成委員会 τ