長文集  7月1週  ○星座の歴史  0i-07-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2015/06/13 11:00:36
 【1】昔の人々は、明るい星
を結んで星座を思い描きました
。星座を作ったのは、シュメー
ル人という説もありますが、一
般的には、約五千年前、バビロ
ニアの羊飼いたちによって、作
られたのが最初と言われていま
す。【2】初めのころは、十二
星座でしたが、その後、四十八
星座に増えました。
 十七世紀に、オランダで望遠
鏡が発明され、暗い星も観測で
きるようになると、四十八星座
のすきまにも新しい星座が作ら
れるようになりました。【3】
そのころ、星を見つけるたび 
に、こんな会話が交わされたか
もしれません。「新しい星を見
つけたぞ。」「だめ。それは、
おらンダ。」
 それまでは、星座というと、
北半球のものに限られていまし
た。【4】しかし、今まで知ら
れていなかった南半球の星座が
紹介されるようになると、新星
座作りのブームが起こりまし 
た。なぜ星座がたくさん作られ
たのかという と、二十世紀の
初めまでは、星座を作ることに
決まりがなく、誰でも簡単に作
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ることができたからです。【5
】一時は百二十もの星座が作ら
れたことがあり、あまりの多さ
に混乱が起きるようになってし
まいました。そこで、二十世紀
になってから、国際天文学連合
によって、八十八の星座に統一
され、星座の境界も定められる
ことになりました。【6】現在
、私たちが親しんでいる星座は
、このときに定められたもので
す。
 星座は、神話とともに紹介さ
れることが多いため、西洋のも
のと思われがちですが、古代の
インドや中国にも独自のものが
あります。【7】中国の星座は
、七、八世紀ごろ、日本(にほ
ん)にも伝えられたようで、日
本(にほん)では、明治時代に
西洋の天文学が導入されるま 
で、ずっと中国の星座が使われ
てきました。∵
 【8】また、昔から星座は、
時刻をはかり、季節の移り変わ
りを知り、農耕の時期を伝える
役割を果たしてきました。海に
囲まれた土地に住む人々は、広
い海を航海するときに、星を観
測して位置や方角を確かめるの
にも使っていました。【9】で
すから、星座の名前も、その土
地独自の呼び名が数多くありま
した。
 四季を通じて明るく見えるオ
リオン座は、世界各地でさまざ
まな名前がつけられています。
日本(にほん)では、その形か
ら鼓星(つづみぼし)と呼ばれ
ていました。【0】また、オリ
オン座の左上にある赤い星は平
家星(へいけぼし)、右下にあ
る白い星は源氏星(げんじぼ 
し)とも呼ばれていました。こ
れは平家の旗の色が赤、源氏の
旗の色が白だったからです。
 さまざまな想像をふくらませ
てくれる星座 を、たまには正
座してしみじみ眺めてみるのも
いいかもしれません。
 あれは大きいからお父さん星
(ぼし)。あっちはきれいだか
らお母さん星(ぼし)。これは
しょっぱいから梅干し。ここに
ある長いのは物干し。頭にかぶ
っているのはただの帽子。

 言葉の森長文(ちょうぶん)
作成委員会( π)