1.
人間は
昔から、
香りに
興味を
持ち、
香りの
原料つまり
香料を
探してきました。
2.
香料には
動物性のものと
植物性のものとがあります。
動物性のものとしては、ジャコウ
鹿からとれるムスクが
代表的です。
植物性の
香料として
一般的なものは、なんと
言っても花々です。
例えば、ブルガリアのダマスクローズは、
古くから
貴重な
香料とされてきました。この花のエッセンスは
高値で
取引され、
今でも
世界中で
愛されています。
3. しかし、
植物性の
香料は花だけではありません。どちらかといえばなじみの
薄い、しかし
大変広く使われている
香料、それがフルーツの
一種であるベルガモットです。この
果実のエッセンスは、
女性用の
香水の
約三
分の一に、また
男性用のコロンの
約半分に入っています。このフルーツからとれるエッセンスには、いろいろな
香りをまとめて一つの
香りにするという
働きがあり、これがほかの
香料にはない
特性なのです。
4. ベルガモットはミカン
科の
植物で、
秋から
冬にかけてオレンジほどの大きさの
実をつけます。
香水になるエッセンスは、この
果実の
皮からとれます。ベルガモットの
主な
産地は、イタリア
半島のカラブリア
地方で、ほかの
土地ではほとんど
育ちません。というのも、この
植物は、
暖かくしかも
南向きの
土地で、
強い風の
吹かない、
湿度の
低いところでないと
育たないからです。
5. この
植物の
起源そのものは
深いなぞに
包まれています。
野生のベルガモットというものはなく、この
植物を
種から
育てることもできません。ベルガモットは、ほかの
柑橘系の木々に
挿し木をして
育てるしかないのです。
野生のベルガモットがあれば、
香水も、もっとヤセイものになっていたでしょう。
6.
神秘に
包まれた
香りの
世界。だからこそ、より
魅力的なのかもしれません。∵
7.
言葉の森
長文作成委員会(Μ)