0イバラ の山 9 月 4 週 (5)
○世界のあいさつ   池新  
 【1】日本人(にほんじん)は、あいさつをするとき、おじぎをします。中国や韓国でも、日本人(にほんじん)と同じようにおじぎをします。【2】一方、アメリカやヨーロッパの多くの国では、あいさつをするとき、握手をしたり、抱き合ったり、キスをしたりします。【3】抱き合ったり、キスしたりするのは、日本人(にほんじん)には少し抵抗がありますが、世界には、もっとユニークなあいさつの仕方もあります。
 【4】たとえば、ニュージーランドの先住民であるマオリは、鼻と鼻とをすり合わせてあいさつをします。相手のにおいを嗅ぎ合う動物の習性がこのようなあいさつの形になったのです。【5】動物と同じように、相手のにおいを嗅ぎあって、お互いにあやしい者ではないということを確認し合うという意味があるのでしょう。
 【6】また、チベットでは自分のお尻をさすりながらあいさつをする風習があります。自分にはしっぽがないので、相手より身分は下でも、動物ではないということをアピールしているのです。
 【7】エチオピアのマシル人は、相手にお酒や牛乳を吹きかけてあいさつをします。男性には顔に、女性には手のひらに吹きかけるのだそうです。ずいぶん手荒いあいさつですが、マシル人にとって、これは幸福を吹きかけるというおまじないの意味があるのです。
 【8】このように、世界にはいろいろなあいさつの仕方がありますが、どんなあいさつにも自分をアピールしたり、お互いを認め合ったり、親愛の情を示したりする意味がこめられています。【9】いろいろなあいさつの背景を知っておくと、どんなあいさつをされても自然に受け入れることができます。顔にお酒を吹きかけられるのは避け(サケ)たいですが……。【0】

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 Λ