長文 7.1週
1. 【1】
昔の
人々は、
明るい星を
結んで
星座を
思い描きました。
星座を
作ったのは、シュメール
人という
説もありますが、
一般的には、
約五
千年前、バビロニアの
羊飼いたちによって、
作られたのが
最初と
言われています。【2】
初めのころは、十二
星座でしたが、
その後、四十八
星座に
増えました。
2. 十七
世紀に、オランダで
望遠鏡が
発明され、
暗い星も
観測できるようになると、四十八
星座のすきまにも
新しい星座が
作られるようになりました。【3】そのころ、
星を
見つけるたびに、こんな
会話が
交わされたかもしれません。「
新しい星を
見つけたぞ。」「だめ。それは、おらンダ。」
3. それまでは、
星座というと、
北半球のものに
限られていました。【4】しかし、
今まで
知られていなかった
南半球の
星座が
紹介されるようになると、
新星座作りのブームが
起こりました。なぜ
星座がたくさん
作られたのかというと、二十
世紀の
初めまでは、
星座を
作ることに
決まりがなく、
誰でも
簡単に
作ることができたからです。【5】
一時は
百二十もの
星座が
作られたことがあり、あまりの
多さに
混乱が
起きるようになってしまいました。そこで、二十
世紀になってから、
国際天文学連合によって、八十八の
星座に
統一され、
星座の
境界も
定められることになりました。【6】
現在、
私たちが
親しんでいる
星座は、このときに
定められたものです。
4.
星座は、
神話とともに
紹介されることが
多いため、
西洋のものと
思われがちですが、
古代のインドや
中国にも
独自のものがあります。【7】
中国の
星座は、七、八
世紀ごろ、
日本にも
伝えられたようで、
日本では、
明治時代に
西洋の
天文学が
導入されるまで、ずっと
中国の
星座が
使われてきました。∵
5. 【8】また、
昔から
星座は、
時刻をはかり、
季節の
移り変わりを
知り、
農耕の
時期を
伝える役割を
果たしてきました。
海に
囲まれた
土地に
住む人々は、
広い海を
航海するときに、
星を
観測して
位置や
方角を
確かめるのにも
使っていました。【9】ですから、
星座の
名前も、その
土地独自の
呼び名が
数多くありました。
6.
四季を通じて明るく見えるオリオン
座は、
世界各地でさまざまな
名前がつけられています。
日本では、その
形から
鼓星と
呼ばれていました。【0】また、オリオン
座の
左上にある
赤い星は
平家星、
右下にある
白い星は
源氏星とも
呼ばれていました。これは
平家の
旗の
色が
赤、
源氏の
旗の
色が
白だったからです。
7. さまざまな
想像をふくらませてくれる
星座を、たまには
正座してしみじみ
眺めてみるのもいいかもしれません。
8. あれは
大きいから
お父さん星。あっちはきれいだから
お母さん星。これはしょっぱいから
梅干し。ここにある
長いのは
物干し。
頭にかぶっているのはただの
帽子。
9.
言葉の
森長文作成委員会(π)
長文 7.2週
1. なんでもコンパクトがもてはやされるこのごろですが、犬の
世界も
例外ではありません。
品種改良の
結果、たくさんの犬が
小型化され、
今や世界中で
飼われています。つまり、コンパクトな犬はそのほとんどが
人工的に
作り出されたものなのです。
2. しかし、
天然の
小型犬もいます。チワワです。
餌代もかからず、
場所もとらず、小さいのに
勇敢なこの犬は、ペットとして
大変人気があります。
3. チワワの
出身地はメキシコで、
意外にも
南国の生まれなのです。
4.
実はこの犬は、もともとテチチという
名前で
知られていました。チワワと
呼ばれるようになったのは十九
世紀の中ごろです。メキシコに
旅行したアメリカ人が、メキシコのチワワ
州でこの小さい犬を見つけ、
何匹か
持ち帰りました。そして、
土地の
名前からチワワと
命名したのです。
同じころ、メキシコのお
妃様がヨーロッパ
旅行の
お供にこの犬を
連れて
行ったため、チワワは
世界的に
有名になりました。
5. チワワは
人間が
大好きです。
人間との
接触が
多いほど
元気に
育つと
言われています。
6. しかし、
注意も
必要です。この犬の大きさからすると、ベッドやソファは
高所ですから、
高いところから
無造作に
飛び降りて
骨折してしまうことがあります。また、
消化器官が小さい上にカロリーを早く
消費するため、
血糖値が下がりやすいのもチワワの
特徴です。ですから、
少量のえさをたびたび
与えてやる
必要があります。
7.
震えるのはこの犬の
特徴です。
寒いときだけでなく、
興奮したときや
心配なとき、
不満があるとき、
怖がっているときなどに
震えます。
8. 小さいけれど大きな
存在感を
持つチワワ。もしメキシコへ
旅行することがあったなら、「こんにチワ、ワたしの
国へようこそ」と
歓迎してくれるかもしれません。
9.「チワワって、おでんに入れるとおいしいんだよね。」
10.「それは、チクワ。」∵
11.
言葉の森
長文作成委員会(Μ)
長文 7.3週
1. 【1】
日本のくには、アジア
大りくと、つながったりはなれたりをくりかえして、いまのようになりました。
2. 【2】りくがつながったときは、ゾウをはじめ、いろいろなどうぶつが、つぎつぎと
日本にやってきました。
3. 【3】また、それらのどうぶつをおって、
日本人のそせんになった
人もやってきました。
4. 【4】いまのように、
日本がうみで、
大りくとへだてられてからは、どうぶつはこられなくなり、ゾウは、へるいっぽうでした。
5. 【5】きこうや
土地に
大きなへんかがくりかえされたことや、
人がだんだんふえていったことで、ゾウのすむばしょが、うばわれていきました。
6. そういうことで、ついに
日本にはゾウがいなくなったのだと、かんがえられています。
7. 【6】どうぶつやしょくぶつは、とてもながい
年月をかけていまのような、すがたやかたちになりました。【7】ゾウのいちばんのそせんは
メリテリウムという
小さいどうぶつで、はなもながくなかったのですが、じだいがうつるにつれて、からだは
大きくなり、はながのびていきました。
8. 【8】どうぶつやしょくぶつがしんかのみちをたどるときは、そのからだのとくちょうを、どんどんはってんさせてゆくものです。
9. 【9】からだが
大きく、はなのながいことは、ゾウにとってつごうのよいことで、それであのようになったものでしょう。【0】
10. 「なぜだろうなぜかしら」(
実業之日本社)より
長文 7.4週
1. 【1】チョウの
幼虫は、
動きが
遅いため、
敵から
身を
守る工夫をしています。
2. たとえば、アゲハチョウの
幼虫は、
鳥のフンのような
色や
形をしています。
3. 【2】アゲハチョウの
幼虫は、
脱皮を
繰り返しながら
大きくなります。三
回目までの
脱皮では、
体の
大きさは
少しずつ
大きくなるものの、
姿はあまり
変わりません。
4. 【3】四
回目の
脱皮で、アゲハチョウの
幼虫は、
黄緑色のイモムシになります。
鳥のフンの
真似をするには
体が
大きくなりすぎたので、
今度は
緑色の
葉っぱの
真似をするのです。【4】また、このときに、
大きな目玉のような
模様もでき、
近づいた
敵を
脅すための
役割を
果たします。
5. 【5】
色や
形だけでなく、においもアゲハチョウの
幼虫の
身を
守ってくれます。アゲハチョウの
幼虫が
好んで
食べるのは、ミカンやユズやカラタチなど、ミカンの
仲間の
植物です。【6】
黄緑色の
幼虫は、ひたすら
葉っぱを
食べて
丸々と
太っていきます。
体の
中に、ミカンの
仲間の
植物の
苦みの
成分をためこんでいくのです。【7】そして、
敵に
襲われたり、
危険を
感じたりすると、
黄色いつのを
突き出し、そのにおいを
出して
身を
守ります。
6. 【8】ころころに
太った
幼虫は、やがてさなぎになります。さなぎは、
緑色や
薄茶色で、まわりの
葉っぱや
木の
色に
合わせ目立たないようになっています。
7. 【9】
羽化をする
前にウカウカしていたら
敵に
襲われてしまいます。
幼虫はアゲハチョウになるまでいろいろな
工夫をして
身を
守っているのです。【0】
8.
言葉の
森長文作成委員会 ω
長文 8.1週
1. 【1】イギリス人で
有名な「ポッター」さんといえば、
魔法使いの「ハリー・ポッター」でしょう。【2】しかし、イギリスにはもう一人、とても
有名な「ポッター」さんがいます。それは、ピーター・ラビットの
生みの親、「ビアトリクス・ポター」さんです。【3】つづりはハリーと
同じですが、こちらは「ポター」と
呼ぶことが
多いようです。
2. 【4】ビアトリクス・ポターは、
毎年夏になると、
弟とともにイギリスの
北にある
湖の
近くですごしました。そこは、
豊かな
自然が
広がり、
野生動物も
数多く棲んでいる、とても
美しいところでした。
3. 【5】二人は、森や
野原を
探検し、
小動物をつかまえてはペットにしました。
毎日、それらの
動物や
植物を
観察したり、スケッチしたりして
過ごしたのです。【6】そのペットや
植物は、
今も
彼女が
残した
絵本の中で、生き生きとした
姿を見せています。
4. 【7】大人になり、『ピーターラビットの
絵本』シリーズで
収入を
得たビアトリクスは、
湖水地方に
農場を
購入し、
結婚して
住むようになりました。【8】そして、
大好きな
湖の
自然が
開発されてこわされないよう、
周辺の
土地をどんどん
買っていきました。
5. 【9】
彼女の
死後、その
広い土地がナショナル・トラストに
贈られました。ナショナル・トラストは、イギリスの
美しい景色や、
古い建物を
保存し、
残していく
活動をしています。【0】
彼女のおかげで、
今もイギリスの
北の湖には
美しい景色が
広がり、
動物たちが
人間に
追い払われることなく
暮らしています。
6. ナショナル・トラストの
活動は、
今ではイギリスだけではなく
全世界に
広がっています。
一度こわされてしまった
自然は、なかなか
元の
姿に
戻りません。ハリー・ポッターの
魔法を
使うわけにはいかない
私たちは、やはりコツコツと
努力して
自然を
守っていく
必要があるのでしょう。
7.
言葉の森
長文
作成委員会 τ
長文 8.2週
1.
人間は
昔から、
香りに
興味を
持ち、
香りの
原料つまり
香料を
探してきました。
2.
香料には
動物性のものと
植物性のものとがあります。
動物性のものとしては、ジャコウ
鹿からとれるムスクが
代表的です。
植物性の
香料として
一般的なものは、なんと
言っても花々です。
例えば、ブルガリアのダマスクローズは、
古くから
貴重な
香料とされてきました。この花のエッセンスは
高値で
取引され、
今でも
世界中で
愛されています。
3. しかし、
植物性の
香料は花だけではありません。どちらかといえばなじみの
薄い、しかし
大変広く使われている
香料、それがフルーツの
一種であるベルガモットです。この
果実のエッセンスは、
女性用の
香水の
約三
分の一に、また
男性用のコロンの
約半分に入っています。このフルーツからとれるエッセンスには、いろいろな
香りをまとめて一つの
香りにするという
働きがあり、これがほかの
香料にはない
特性なのです。
4. ベルガモットはミカン
科の
植物で、
秋から
冬にかけてオレンジほどの大きさの
実をつけます。
香水になるエッセンスは、この
果実の
皮からとれます。ベルガモットの
主な
産地は、イタリア
半島のカラブリア
地方で、ほかの
土地ではほとんど
育ちません。というのも、この
植物は、
暖かくしかも
南向きの
土地で、
強い風の
吹かない、
湿度の
低いところでないと
育たないからです。
5. この
植物の
起源そのものは
深いなぞに
包まれています。
野生のベルガモットというものはなく、この
植物を
種から
育てることもできません。ベルガモットは、ほかの
柑橘系の木々に
挿し木をして
育てるしかないのです。
野生のベルガモットがあれば、
香水も、もっとヤセイものになっていたでしょう。
6.
神秘に
包まれた
香りの
世界。だからこそ、より
魅力的なのかもしれません。∵
7.
言葉の森
長文作成委員会(Μ)
長文 8.3週
1. 【1】
木の葉や
草の
葉がみどりいろなのは、
葉の
中にようり
ょくたいというみどりいろのつぶつぶが、たくさんあるからです。
2. 【2】そして、このつぶには、ようり
ょくそという、みどりいろのもとになるものと、カロチンというきいろのもとになるものとが、ふくまれています。
3. 【3】あきになると、ようり
ょくそがこわれてしまい、カロチンだけがのこるので、
葉のいろがきいろになるのです。
4. 【4】
赤くなるのは、アントシアンという
赤いろのもとになるものが、あきになるとつくられるからです。
5. 【5】マツやツバキの
葉のように、あきになっていろもかわらず、ちりもしないものは、すこしずつおちて、あたらしい
葉といれかわっているのです。
6. 【6】
草はふゆのさむさから、からだをまもることができません。そこで、さむいふゆがやってこないうちに、たねをつくって、たねでふゆをこします。
7. 【7】たねは、あついじょうぶなかわでまもられているので、ふゆのさむさにも、たえることができるのです。
8. 【8】といっても、すべての
草が
根まで、すっかりかれてしまって、たねだけをのこすというわけではありません。【9】
草の
中には、
土の
中の
根や
地下けいでふゆをこしはるになるとまい
年、あたらしいめをだすものも、すくなくありません。チューリップなどがそうです。【0】
9.
木は、ふゆになるとかれるといっても、
葉をおとすだけで、みきやえだが、かれてしまうわけではありません。はるになると、あざやかなみどりの
葉をつけます。
10.
11. 「なぜだろうなぜかしら」(
実業之日本社)より
長文 8.4週
1. 【1】ゾウは、たくさんのえさを
食べます。一
日に
大人三
人分ぐらいの
重さのえさを
食べます。
起きているときは、ほとんど
食べている
時間です。【2】えさは、
草やわらや
木の
皮です。
動物園では、パンや
野菜やくだものも
食べています。
食べるだけではなく
水もたくさん
飲みます。【3】その
量は、
牛乳パック七十
本くらいです。あの
大きな体を
保つには、こんなにたくさんの
食べ物や
水が
必要なのです。
2. 【4】ゾウは、
長い鼻を
上手に
使って
生活しています。
鼻を
丸めて
重いものを
持ったり、
鼻の
先で
小さなものをつかんだりします。【5】
鼻でつかんだ
食べ物を
口に
入れたり、
鼻から
水を
吸い上げて
飲んだりします。
3. 【6】
土や
水を
体にかけるときは、
一度鼻のなかに
吸いこんでからシャワーのように
吹きだします。
4. 【7】ゾウとゾウのあいさつの
仕方は、
人間が
握手をするように、
鼻と
鼻とをからみ
合わせます。
5. ゾウは、
記憶力もよく、
自分に
優しくしてくれた
人をよく
覚えています。
6. 【8】また、ゾウは、
人間には
聞こえない
声を
使って、
仲間どうし
連絡をとることもあります。
7. 【9】
動物園に
行ったときは、どうぞ(う)ゾウをよく
見てきてください。きっとゾウたちも「
待ってるゾウ!」と
言っていることでしょう。【0】
8.
言葉の
森長文作成委員会 Β
長文 9.1週
1. シロツメクサは、日本人にとても
愛されている草花のひとつです。天気のいい休日になると、シロツメクサが生えている
場所で、シートを
広げてお
弁当を
食べる家族連れの
姿を見ることができます。シロツメクサの上は、ふんわりしていて
座り心地がよいのです。お
弁当のあとには、子どもたちは花を
編んでかわいい
冠にしたり、
茎をからませて
両側から
引っ張る草相撲をしたりして
遊ぶこともできます。
2.
私たちになじみの
深いシロツメクサですが、
実はもともとは日本ではなく、ヨーロッパが
原産の
植物です。
江戸時代、ヨーロッパのガラス
製品は
大変な
貴重品でした。
遠くヨーロッパから
船でガラス
製品を
運んでくるとき、
船がゆれてガラスが
割れてしまわないように
箱の中につめものとして入れられたものが、このシロツメクサなのです。つめものの草だからツメクサという
名前がつきました。
3. シロツメクサは
生命力の
強い植物なので、つめものとして日本にやってきて
役目を
終えたあと、ゴミとして
捨てられた
場所で
再び息を
吹き返し、
次第に日本中に
広がっていきました。
今では
北海道から
沖縄まで、日本
全国で見られるようになっています。シロツメクサのように
外国が
原産で、
何らかの理由で日本に
定着した
植物のことを
帰化植物と
言います。セイヨウタンポポやヒメジョオンなども
帰化植物として
有名です。
4. ところで、このシロツメクサの
英語名はクローバーですが、クローバーといえば、四つ
葉のクローバーが
幸運のシンボルであることはよく
知られています。しかし、四つ
葉を見つけようと
思っても、クローバかり
多くてなかなか見つからないことがほとんどです。ところが、
世の中には、五つ
葉や六つ
葉のクローバーもあるのです。
今までに見つかった
最高記録はなんと十八
枚葉。これは日本で
発見され、ギネスブックにも
載りました。十八
枚葉のクローバーなんて見つけたら、びっくりして白目をむいて
倒れてしまいそうです。これぞまさにシロ(ツ)メクサ!
5.
言葉の森
長文作成委員会(Ν)
長文 9.2週
1. 【1】チューリップは、
昼間咲いて、
夕方から
夜にかけては花びらを
閉じます。そしてこれを
何日か
繰り返し、やがて
枯れていきます。
2. 【2】アサガオの花は、日が
沈んでから
約十
時間経つと
咲きます。これは、
夏ならだいたい
朝の五
時ごろです。【3】ですから、
私たちが
朝起きたときには、もうきれいに
咲きそろっていて、
昼ごろにはしぼんでしまう、一日だけの花です。
3. 【4】ユウガオやマツヨイグサは、その名のとおり、
夕方や
夜に
咲く花です。【5】ほかにも、スイレンの
仲間のヒツジグサという
植物は、
昔の
時刻の
呼び方で「
未の
刻」(
今の
午後二
時ごろ)に
咲くので、この名がつけられました。
4. 【6】
月下美人という花は、
直径が二十センチメートルくらいもある大きな花で、まっ白でたくさんの花びらを
持ち、よい
香りを
漂わせて
咲きます。【7】しかし、その花は一年に一
度か二
度しか
咲かず、しかも
夜遅く咲き始め、たった二
時間くらいでもうしぼんでしまいます。
5. 【8】花は
普通、虫たちに
花粉を
運んでもらうため、虫がよく
動き回る昼間に
咲くようになっています。しかし、
熱帯雨林に
育つ月下美人は、
夜に
動く虫たちだけではなく、
小型のコウモリも
花粉を
運んでくれます。【9】そのため、
月下美人は
暗い中でも目立ちやすい
真っ白い花をつけ、
強い香りをさせて、コウモリを
呼ぶのです。
6. 【0】
月下美人の花は、
咲いている
時も、しぼんでからも
食べられます。
台湾では、スープなどの
材料にされています。また、
咲いている花をお
酒につけると、
咲いた
形のままとっておくことができ、
美しい「
月下美人酒」ができあがります。
7.
言葉の森
長文
作成委員会 τ
長文 9.3週
1. 【1】
人は、うまれて六~七
か月たつとはがはえはじめ、二さいか三さいごろまでには、二〇
本ほどになります。この
小さいときにはえるはをに
ゅうしといいます。
2. 【2】このはは、
子どもが
大きくなるにつれて、だんだんぬけてはえかわり、二〇さいごろに、あたらしいはがはえそろい三二
本になります。これをえいきゅうしといいます。
3. 【3】はは、あごのほねにくっついています。あごのほねは、
子どもが
大きくなるにつれて
大きくなります。【4】それで、
小さいあごにはえたはじめのはのままでは、
ぐあいがわるくなります。はえかわって
大きいあごにあうしっかりしたはがひつようになります。
4. 【5】二〇さいをすぎると、あごのほねは、もうそれほど
大きくなりません。はがふたたびはえかわることはありません。
5.
6.
7. 【6】
毛糸は、ちぢれたり、もつれたり、こまかいえだ
毛がからみあったりして、できています。そのもやもやした
毛のあいだには、
空気がたくさんふくまれています。
8. 【7】
毛糸の
中の
空気は、ちょうど、スポンジにふくまれた
水のように、あまりうごいたり、ながれたりしないで、じっとしているせいしつがあります。
9. 【8】この
空気は、
外のつめたい
空気が、うちに、はいりこむのをふせぎます。
10. 【9】また、この
空気はからだからにげだそうとするねつをつかまえて、たくわえるので、わたしたちのからだを、ほかほかしたかこいのようなかんじに、つつみます。
11. それで
毛糸でつくったものは、あたたかいのです。【0】
12.
13. 「なぜだろうなぜかしら」(
実業之日本社)より
長文 9.4週
1. 【1】
日本人は、あいさつをするとき、おじぎをします。
中国や
韓国でも、
日本人と
同じようにおじぎをします。【2】
一方、アメリカやヨーロッパの
多くの
国では、あいさつをするとき、
握手をしたり、
抱き合ったり、キスをしたりします。【3】
抱き合ったり、キスしたりするのは、
日本人には
少し抵抗がありますが、
世界には、もっとユニークなあいさつの
仕方もあります。
2. 【4】たとえば、ニュージーランドの
先住民であるマオリは、
鼻と
鼻とをすり
合わせてあいさつをします。
相手のにおいを
嗅ぎ合う動物の
習性がこのようなあいさつの
形になったのです。【5】
動物と
同じように、
相手のにおいを
嗅ぎあって、
お互いにあやしい
者ではないということを
確認し
合うという
意味があるのでしょう。
3. 【6】また、チベットでは
自分のお
尻をさすりながらあいさつをする
風習があります。
自分にはしっぽがないので、
相手より
身分は
下でも、
動物ではないということをアピールしているのです。
4. 【7】エチオピアのマシル
人は、
相手にお
酒や
牛乳を
吹きかけてあいさつをします。
男性には
顔に、
女性には
手のひらに
吹きかけるのだそうです。ずいぶん
手荒いあいさつですが、マシル
人にとって、これは
幸福を
吹きかけるというおまじないの
意味があるのです。
5. 【8】このように、
世界にはいろいろなあいさつの
仕方がありますが、どんなあいさつにも
自分をアピールしたり、
お互いを
認め合ったり、
親愛の
情を
示したりする
意味がこめられています。【9】いろいろなあいさつの
背景を
知っておくと、どんなあいさつをされても
自然に
受け入れることができます。
顔にお
酒を
吹きかけられるのは
避け(サケ)たいですが……。【0】
6.
言葉の
森長文作成委員会 Λ