長文集  1月2週  ★(感)また人に好かれる人は  he2-01-2
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2012/06/15 08:09:22
 【1】また人に好かれる人は、他人に対し
てもよいイメージを抱くことに心がけながら
交際していきます。相手に対して悪いイメー
ジを抱きつづけると、潜在意識はイメージ通
りに反応していくことはご承知のとおりです
。【2】それは同時に、自分にとっても悪い
現象がおこることをよく知っているからです

 わたしたち人間は、嫌な人に対しては決し
てよいイメージを抱いてはいません。それと
反対に、好ましい人にはよいイメージを持っ
ていることに気づきます。【3】男女間の恋
人同士を見ればよくわかるでしょう。顔のあ
ばたもえくぼに見えてくるのです。
 ところが、自分の抱いている悪いイメージ
によって、その人が嫌いになっているという
ことに気づかないのです。【4】そして、い
つまでも悪いイメージを持ちつづけて、結局
は何一つ得にならないばかりか、損ばかりし
ていることになるのです。
 このイメージも、創造的に活用することが
大事です。【5】相手の長所にだけ目をむけ
るように、イメージ作りをしていけば、好き
だった人はますます好きになり、きらいだっ
た人とも次第にうちとけ合うようになります

 人に好かれる大きな魅力は、利己的でなく
利他的であるということです。【6】自分の
利益より他人の利益を先にすることをまず考
え、奉仕の精神で他人に接するように心がけ
ることです。そして困っている人を見れば、
すすんで力を貸してあげるのです。
 この心得が、お釈迦さまのいう「功徳」を
つむことにつながるものと、わたしは考えて
います。【7】自分の利益を先にして、相手
に恩を売るのは、決して功徳にはなりません

 キリストの言葉に「与えよ、さらば与えら
れん」と説いているのも、単にギブ・アンド
・テークの打算的な考えではなく、功徳と同
じ深い内容の意味を持っているものと思いま
す。
 【8】人間はとかく打算に走りやすく、自
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分の利益につながらないことはしたがりませ
ん。また、他人に何かをしてやる場合でも、
必ずその見返りを期待しています。その見返
りが多い少ないで、争いがおこります。【9
】このように、目さきの損得ばかりを考えて
行動していくと、優劣を意識する場合と同じ
ように、必ずさまざまな破壊的現象がおこり
ます。∵
 釈迦やキリストのような人類の聖人と呼ば
れる人は、そんなことは遠の昔にお見通しで
す。【0】その上でわたしたちに、「与える
こと」のほんとうの意味を説いているのです
。損や得をぬきにし て、純粋な心で他人に
ほどこせば、本人は気分がさわやかであるば
かりか、相手からも感謝され、その恩はいつ
かきっと返ってくる。もし仮に相手が忘れた
としても、よそから必ず何倍にもなって返っ
てくる。その上功徳をつめば、それだけ人間
の徳は高くなるとい う、高遠な因果の教え
を説いているのです。
 集団生活をしていて、わたしたちが生涯に
出会うことのできる人の数はかぎられていま
す。それだけ人生における出会い(縁)とい
うものは大切なものです。特に友だちと名の
つく人は、生涯掛けがえのない存在です。フ
ランスの作家ロマン=ロラン(一八六六〜一
九四四)は、このことを次のようにいってい
ます。
「わたしは世界に二つの宝を持っている。わ
たしの友とわたしの魂と」
 またゲーテは、次のようにいっています。
「空気と光と、そして友だちの愛、これだけ
が残っていれば、気をおとすことはない」
 わたしたちが一生を通じて得られる友だち
の中で、生涯の友が得られるのは、若い年代
の時といいます。みなさんも、この絶好の黄
金の時期を決して無にしないように、今まで
述べてきたことをよく理解し、積極的に活用
して下さい。

(百瀬昭次 『君たちは偉大だ』)