【1】また人に好かれる人は、他人に対し てもよいイメージを抱くことに心がけながら 交際していきます。相手に対して悪いイメー ジを抱きつづけると、潜在意識はイメージ通 りに反応していくことはご承知のとおりです 。【2】それは同時に、自分にとっても悪い 現象がおこることをよく知っているからです 。 わたしたち人間は、嫌な人に対しては決し てよいイメージを抱いてはいません。それと 反対に、好ましい人にはよいイメージを持っ ていることに気づきます。【3】男女間の恋 人同士を見ればよくわかるでしょう。顔のあ ばたもえくぼに見えてくるのです。 ところが、自分の抱いている悪いイメージ によって、その人が嫌いになっているという ことに気づかないのです。【4】そして、い つまでも悪いイメージを持ちつづけて、結局 は何一つ得にならないばかりか、損ばかりし ていることになるのです。 このイメージも、創造的に活用することが 大事です。【5】相手の長所にだけ目をむけ るように、イメージ作りをしていけば、好き だった人はますます好きになり、きらいだっ た人とも次第にうちとけ合うようになります 。 人に好かれる大きな魅力は、利己的でなく 利他的であるということです。【6】自分の 利益より他人の利益を先にすることをまず考 え、奉仕の精神で他人に接するように心がけ ることです。そして困っている人を見れば、 すすんで力を貸してあげるのです。 この心得が、お釈迦さまのいう「功徳」を つむことにつながるものと、わたしは考えて います。【7】自分の利益を先にして、相手 に恩を売るのは、決して功徳にはなりません 。 キリストの言葉に「与えよ、さらば与えら れん」と説いているのも、単にギブ・アンド ・テークの打算的な考えではなく、功徳と同 じ深い内容の意味を持っているものと思いま す。 【8】人間はとかく打算に走りやすく、自 |
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分の利益につながらないことはしたがりませ ん。また、他人に何かをしてやる場合でも、 必ずその見返りを期待しています。その見返 りが多い少ないで、争いがおこります。【9 】このように、目さきの損得ばかりを考えて 行動していくと、優劣を意識する場合と同じ ように、必ずさまざまな破壊的現象がおこり ます。∵ 釈迦やキリストのような人類の聖人と呼ば れる人は、そんなことは遠の昔にお見通しで す。【0】その上でわたしたちに、「与える こと」のほんとうの意味を説いているのです 。損や得をぬきにし て、純粋な心で他人に ほどこせば、本人は気分がさわやかであるば かりか、相手からも感謝され、その恩はいつ かきっと返ってくる。もし仮に相手が忘れた としても、よそから必ず何倍にもなって返っ てくる。その上功徳をつめば、それだけ人間 の徳は高くなるとい う、高遠な因果の教え を説いているのです。 集団生活をしていて、わたしたちが生涯に 出会うことのできる人の数はかぎられていま す。それだけ人生における出会い(縁)とい うものは大切なものです。特に友だちと名の つく人は、生涯掛けがえのない存在です。フ ランスの作家ロマン=ロラン(一八六六〜一 九四四)は、このことを次のようにいってい ます。 「わたしは世界に二つの宝を持っている。わ たしの友とわたしの魂と」 またゲーテは、次のようにいっています。 「空気と光と、そして友だちの愛、これだけ が残っていれば、気をおとすことはない」 わたしたちが一生を通じて得られる友だち の中で、生涯の友が得られるのは、若い年代 の時といいます。みなさんも、この絶好の黄 金の時期を決して無にしないように、今まで 述べてきたことをよく理解し、積極的に活用 して下さい。 (百瀬昭次 『君たちは偉大だ』) |