長文集  7月1週  世界一のカレー  hi-07-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/06/09 09:47:59
【1】「いただきます。」
 私は、世界の食べ物の中でカレーがいちば
ん好きだ。カレーだ と、必ずおかわりをし
なくては気が済まない。カレーのどこが好き
なのかと聞かれてもおいしいものはおいしい
のだから理由などな い。
 この前、学校の林間学校で、飯盒炊さんを
してカレーライスを作ることになった。【2
】まず、学校の授業で、カレーに使われる材
料や、カレールーの歴史などについて調べ、
発表をした。そこで、カレーの材料にはいろ
いろな人が関わっていること、また、長い歴
史があることが分かった。そして、自分の家
で、一人でカレーライスを作ることが夏休み
の宿題の一つとなった。
 【3】カレーが大好きな私でも、生まれて
から一度もカレーを自分で作ったことはなか
った。母に教えてもらいながらやっとのこと
で作り上げたが、その時、こんなに大変なの
に林間学校で自分たちだけで作れるのかと不
安になった。
 【4】その不安を抱えたまま、林間学校が
始まり、二日目の夜に飯盒炊さんが行われた
。もし、作ることができなかったら、私たち
のその日の夜ご飯はなしになってしまう。私
は薪(まき)の係りだった。お米を研ぎ、野
菜を全て切り終わった後に火をつけた。【5
】その火はまるで、紅葉したモミジのように
真っ赤だった。途中 で、火が消えそうにな
って慌てたが、以前、火を作る練習をした 
時、火が消えそうになったらうちわであおげ
ばよいと習ったのを思い出した。みんなで、
一生懸命うちわであおぐと、消えかけていた
火が勢いを盛り返した。【6】しばらくする
と、飯盒から、水滴がたれてきた。薪(まき
)でさわってみると、ぐつぐついっている振
動が手にも響いてくる。
「やったあ。」
なぜみんなが喜んでいるのかというと、そう
なったらご飯が炊けたという合図だからだ。
【7】本当にできているか確かめるために、
火から下ろし、軍手をした手で飯盒のふたを
開けてみた。すると、真珠∵のような真っ白
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
なご飯が姿を現した。そのご飯を見たとき、
私はとにかくうれしかった。
 ご飯は、飯盒ごと逆さにして蒸しておき、
私たちはカレーの鍋の方に取り組んだ。【8
】しかし、このあと、私たちは小さな失敗を
してしまった。水を多く入れ過ぎてしまった
のだ。鍋の中はびちゃびちゃになっていたが
、私たちはあまり気にすることなく作業を続
けた。そして、やっとカレーの方も完成した

【9】「いただきます。」
と声をそろえ、一斉に食べ始めた。私は水が
多すぎて、おいしくないカレーになっていな
いかと思っていたが、その心配は無用だっ 
た。なぜなら、家のカレーよりもおいしかっ
たからだ。私は、もちろん、それをおかわり
した。
 【0】この飯盒炊さん以来、私はもっとカ
レーが好きになった。母が、今日の夕飯もカ
レーだと言っていたので、とても楽しみだ。

(言葉の森長文作成委員会 Λ)