長文 8.4週
1.
寝ようとしたら、ブーンという
音がして、あわてて
灯りをつけたことがありませんか。そして、
小さな蚊がどこにいるか
見つけようとしたことがあるでしょう。
2.
日本では
昔、
蚊を
防ぐために
蚊帳という
道具を
使っていました。これは、一ミリメートルほどの
細かい網でできている
四角いテントのようなもので、
部屋の
中で
四方から
吊り下げるようになっています。
網目が
細かいので、
蚊は
中に
入れませんが、
涼しい風は
通すことができます。
昔の
日本人は、
蚊の
多い暑い夏の
夜を、
蚊帳の
中で
風鈴の
音を
聞きながら
涼しく過ごしたのです。
3. しかし、
昭和の
後期になると、
殺虫剤や
下水道が
普及した
結果、
蚊自体が
少なくなり、
蚊帳は
次第に使われなくなっていきました。
4. ところが、
今、この
蚊帳が
再び注目されています。
蚊帳は、
電気も
薬品も
使わない
点で、
人間にも
地球にももちろん
蚊にも
優しい道具だと
考えられるようになってきたのです。
5.
日本は、マラリヤの
被害に
悩まされるアフリカ
諸国にたくさんの
蚊帳を
送っています。これによって
多くの
子供たちの
命が
助かっているそうです。
日本ではほとんど
使われることのなくなった
蚊帳も、
世界では
大活躍をしているのです。
日本人のこれからの
役割は、より
安くより
安全な
蚊帳を
世界中に
広めることではないでしょうカ。
6.「ブーン。」
7.「あ、
蚊や。
蚊帳に
入ろう。」
8.「しまった。
蚊帳に
入られたカ。ヤーン。」
9.
言葉の
森長文作成委員会(α)