1.【長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。】
2. 【1】
日曜日のことです。
お父さんが、
3.「ちょっと
背中踏んで。」
4.と
言いました。
私は、
時々お父さんの
背中を
踏んであげます。手でマッサージをするよりも、
私が
踏む方が
気持ちがいいのだそうです。【2】
私が手でマッサージをしても、
お父さんにとっては
物足りないのでしょう。
5.
私は、
靴下を
脱ぐと、
6.「うん、いいよ。」
7.と
言いました。どうしてかというと、
靴下を
履いていると
滑りやすいからです。
8.【3】「
お父さん、
乗るよ。」
9.と
声をかけて、右足から
背中に
乗りました。そして、
お父さんの
背中の上でゆっくりと
足踏みをしました。
10.「ううん。
気持ちいいなあ。」
11.
お父さんは、うつぶせになったまま
声を出しました。
12. 【4】
背中の上は、バランスをとって
足踏みをするのが
少し難しいです。それも、
同じところだけでなく、
背中全体を
踏まなくてはなりません。足の
裏全体で
優しく踏むのは、
少しコツが
要ります。
13.
私は、
14.「
もう少し強く踏んでもいい。」
15.と
聞きました。【5】
お父さんは、
16.「うん。
思い切り踏んでいいよ。」
17.と
答えました。
私は、
少し力を入れて
踏み始めました。
18.
お父さんの
仕事は、
体をたくさん
動かす仕事です。
重いものを
運ぶこともあるので、
大変なのだと
思います。【6】
お父さんは、いつも
元気に
働いているので、
日曜日にはたっぷり休んでほしいと
思いました。∵
19.
私がしばらく
踏んでいると、
お父さんは
気持ちよさそうに
居眠りのふりを
始めました。
私は、ふざけて、もっと
強く踏み出しました。
20. 【7】
お父さんの
背中は、
広くて
厚みがあって、まるで小さな
丘のようです。
私は、
いつの間にかお父さんの
背中の上にいることを
忘れて、
丘の上で
行進しているような
気持ちになってきました。
21. 【8】
お父さんは、しばらく
寝たふりをしていましたが、
突然、
22.「いたたた。
踏み方が
強すぎる。」
23.と
言って
起き上がりました。
私は、
昔、
お母さんにやってもらったように、
24.「
痛いの、
痛いの、
飛んでけえ。」
25.と
言ってあげました。
26. 【9】すると、
お父さんは、にっこりして、
27.「よし、
元気になったから、どこかに
遊びに
行こう。」
28.と
言いました。
私はうれしくて、
お父さんに
飛びつきました。【0】
29.(
言葉の森
長文作成委員会 ω)∵
30. およげなくてもしずまないみずうみ――ふしぎな
死海――
31. 【1】
死海では、なぜからだがしずまないのか、そのわけをおはなししましょう。
32. ふつう、みずうみは、
海とちがって、ま水(しおけのない水)のわけです。【2】ところが、この
死海は、
海の水よりも、もっとしおからいのです。六ばいもしおけがおおいのです。
33. みなさんは、ま水の川や、プールよりも、しおけのある
海のほうが、よくおよげるということを、
知っているでしょう。
34. 【3】だから、
海よりもしおけのおおい
死海では、からだがうきあがってしまうのです。
35. それでは、ふつうのみずうみはま水なのに、この
死海は、なぜそんなにたくさんのしおけをふくんでいるのでしょうか。
36. 【4】それは、こういうわけです。
37. この
死海のあるところは、とちがひくくて、
海より四百メートルもひくいのです。
38. ですから、たくさんの川が、みんなこのみずうみにながれこんでいます。
39. 【5】ところで、このへんのとちは、しぜんのしおをふくんでいますので、川の水がすこしずつしおを
死海にはこんでいるのです。ところが
死海からは、どこへも水がながれていきません。【6】そのかわり、つよいたいようにてらされて、水だけがどんどんじょうはつしますから、しおがみずうみにのこって、だんだんしおけがこくなったのです。
40. 【7】さて、にんげんがしねないのに
死海というなまえがついているわけをおはなししましょう。
41. 【8】にんげんはしねないけれど、このみずうみには、さかながすんでいないのです。しおからすぎて、さかながすめないのです。
42. さかなをはなしてやっても、みんなしんでしまいます。
43. 【9】にんげんだって、水におぼれることはありませんが、あまりながく、このみずうみにはいっていると、からだのひふがぴりぴりしてきて、たいへんなことになります。それで、
死海というのです。【0】
44.(「
世界ふしぎめぐり二年生」より
抜粋)