1. 【1】ぼくは、
毎日六
時からアニマックスでドラゴンボールを見ています。おもしろくてやめられません。その日も、ぼくはお
兄ちゃんと、いつもどおりドラゴンボールを見ていました。
悟空とピッコロ大
魔王が
対戦しています。手に
汗握る戦いです。ぼくたちは
夢中でした。
2. 【2】そこへ、
何かがこげたような
匂いが
漂ってきました。ぼくは、
今日の
晩御飯はきっと
魚だなと
思いました。でも、
魚にしては
臭過ぎるような気がします。
3.「なんか
変な
匂いがするぞ。」
4.と
言いながらふと
台所を見ると、ガスコンロからぼわっと火が出ているではありませんか。【3】ぼくたちは、
5.「お
母さあん。お
母さあん。
大変、
火事だよう。」
6.と、
大声で二
階にいる
お母さんを
呼びました。
お母さんは、
7.「やだあ、
魚焼いてるの
忘れてた!」
8.と
叫びながらドンドンドンと
階段を
転がるように
降りてきました。【4】ガスコンロから
燃え上がる火を見て
動かなくなった
お母さんは、
急に、
9.「
新聞。いらない
新聞持ってきて。たくさん。早く!」
10.と、ぼくたちに
言います。ぼくとお
兄ちゃんはぶつかりあいながら
新聞を
取りに
走りました。【5】
お母さんは、
11.「ありがと。」
12.と
言うと、
勢いよく水を出し
新聞をぬらしました。
13. メラメラと火が
燃えているのは、グリルという
魚を
焼くところと
奥にあるたくさん
穴の
並んだところです。
お母さんはまず、
奥の
穴の上に
濡れた
新聞紙を
並べました。【6】
次に、グリルを
引き出すと、火が大きく
噴き出してきました。ぼくたちはびっくりして
声も出ません。
お母さんはグリルの上に
濡れた
新聞紙を
乗せると、すぐにグリルを
閉めました。
少し火が小さくなったような気がします。∵【7】
お母さんはまた、グリルを出して
濡れた
新聞紙を
乗せました。ぼくたちは
お母さんの
後ろでじっと見ています。それを
何度か
繰り返すとだんだん火が
消えてきました。ぼくはほっとして、
14.「よかった。
火事になるかと
思ったよ。」
15.と
言いました。
16.【8】「
危なかったね。」
17.と
言うお
兄ちゃんの
顔は、まるでおばけ
屋敷から出てきたときのようでした。ぼくは、お
兄ちゃんも
怖かったんだなと
思いました。
18.
お母さんは、
19.「やったやった。
危なかったけどなんとかなるもんだね。こういうのを
火事場の
馬鹿力って
言うんだね。」
20.と
得意そうです。【9】
怖かったけど、スリル
満点でした。
騒ぎが
終わったときにはドラゴンボールも
終わっていました。ぼくたちが、
21.「あーあ、ドラゴンボール
見逃しちゃったよ。」
22.と
言うと、
お母さんは、
23.「まあ、いいじゃん。
火事にならなかったんだから。」
24.と
笑いました。【0】
25.(
言葉の森
長文作成委員会 ω)