1. スカートやズボンを
買うときは、まずウエストのサイズを
確かめます。では、
地球のウエスト、つまり
円周はどうやって
測るのでしょう。
2.
現代の
科学者たちは、メジャーの
代わりに
人工衛星を
使います。
北極と
南極を
通る二つの
衛星で、
地球を
外がわから
測るのです。そのようにして
算出された
数値は、
約四
万八千キロメートル。
大変なウエストサイズです。
3. しかし、
今からおよそ二千二百年
前、すでに
地球を
測った人がいたのです。エラトステネスは、ギリシャの
数学者で
天文学者でもありました。
彼の
時代には
人工衛星などないので、
地球が
丸いことさえ
知らない人がたくさんいました。もちろん、
地球を
測ることのできるほど
長い巻尺もありません。エラトステネスが
使ったのは、一本の
棒きれでした。
4. エジプトのシエネという
都市にいたときのことです。エラトステネスは、一年でいちばん
昼間の
長い夏至の
正午に、
太陽が
真上に
来ることに気づきました。
太陽の
光が
影を
作らずに
井戸の
底まで
届いていたからです。しかし、そこから
北に八百五十キロメートルほど
行ったところにあるアレクサンドリアでは、
同じ夏至の日の
正午に
影が見えたのです。そこで、エラトステネスはあることを
思いつきます。
5.
彼はまず、アレクサンドリアにまっすぐな
棒を立てました。
正午にその
棒が
作る影を
観察するためです。
影の
角度を
測ったところ、
垂直方向に対して七・二
度でした。エラトステネスは
地球が
丸いことと
円周の
全体が三百六十
度であることを
知っていました。三百六十を七・二で
割ると五十ですから、
棒の
角度七・二
度は
円周の五十
分の一になります。ということは、シエネとアレクサンドリアの
間の
距離も、
地球の
円周の五十
分の一と
等しいはずです。そこで二つの町の
距離を五十
倍し、
地球の
円周は、
約四
万キロメートルから∵四
万六千キロメートルだという
結論に
達したのです。それは、
驚くほど
正確な
数値でした。
6.「エラトステネスさん、
棒で
測るなんて、いつ
思いついたんですか。」
7.「ぼうっとしているときにね。」
8.
言葉の森
長文作成委員会(Μ)