1. 【1】けんじはともだちと、まちはずれのはらっぱであそんでいました。かれたかやが、たくさんはえていました。【2】ひとりの子が、マッチをもってきました。
2.「かやは、よくもえるぞ。もそうよ。」
3.「うん、もそうもそう。」
4. 【3】火をつけると、かれたかやは、めらめらとよくもえます。あっというまに、ぐんぐんもえひろがりました。
5.【4】「たいへんだ、けそう。」
6. 子どもたちは、あわててけそうとしました。けれども、もうまにあいません。ゴオーッという音をたてて、火のいきおいは、はげしくなるばかり。
7. 【5】カーンカーンカーン。
8. まちのはんしょうが、なりだしました。子どもたちは、青くなってにげだしました。【6】けんじは、ひとりだけにげません。いっしょうけんめい火をけしつづけました。
9. 【7】まちの人たちがかけつけてきて、やっと火はきえました。
10.「おまえか、こんないたずらをしたのは。」
11. しょうぼうの人が、けんじをつかまえてしかりました。【8】けんじは、
12.「すみません。」
13.と、あたまをさげました。けんじのまゆは、火ですっかりやけていました。
14. 【9】わるいことをして、にげてしまうようなことは、けんじには、どうしてもできなかったのです。【0】
15.
16. (
宮脇 紀雄著 「
偉人の
話」より)