かつお節、みそ、納豆、漬物 、パン、チー ズ、乳酸菌飲料 、ビール、ワイン。これらのお いしさの共通点は、独得の風味 です。その共通の風味をもたら している秘密は、どれもが発酵 食品だということにあります。 同じ発酵食品でも、発酵を行 う微生物のちがいによって、い くつかのグループに分けること ができます。一つ目は、かつお 節のように、主にカビの作用に よるものです。二つ目は、納 豆、乳酸菌飲料、チーズのよう に、主に細菌の作用によるもの です。三つ目は、ビール、ワイ ン、パンのように、主に酵母の 作用によるものです。そして、 みそ、しょうゆ、漬物のよう に、三つの作用が重なり合って 生まれるものもあります。 このように、目に見えない微 生物は、生育するときに周りの 材料を分解して、消化しやすく 変化させたり、独得のおいしい 風味を与えたりします。ところ が、微生物には反対の働きもあ って、材料を分解するときに食 中毒をひきおこす有害物質を作 ったり、悪臭を放つ不快な物質 |
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を作ったりすることもあります 。これを、私たちは腐敗と表現 しています。 地球上のあらゆるところに生 育する微生物 は、忍者のよう に目には見えませんが、私たち の暮らしに深く関わってきまし た。私たちが健康で環境にやさ しい生き方をするためにも、微 生物との共存がこれからいっそ う大切になってくるでしょう。 「カビさんが役に立っているな んて、初めて知りました。」 「そうカビ。」 「細菌さんも、がんばっている んですね。」 「最近だけどね。」 「酵母さんも、たまに失敗する ことがあるんですか。」 「コウボうも筆の誤りと言うぐ らいだから。」 言葉の森長文(ちょうぶん) 作成委員会( μ) |