長文集  9月1週  初めての二人だけの旅  ki-09-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/06/09 09:36:50
 【1】夏休みに、私と弟の二
人だけで、京都のおばあちゃん
の家に行くことになりました。
今年からお母さんが仕事を始め
たので、子供だけで行くことに
なったのです。子供だけで新幹
線に乗るのは初めてです。私は
楽しみで仕方ないのに、お母さ
んは何だか不安そうです。
【2】「ほんとに寝ちゃ駄目よ
。大丈夫ね。」
お母さんが何度も私の顔をのぞ
きこんで言いました。私は、自
信満々で、
「大丈夫だよ。心配いらないか
ら。」
と言いました。お母さんは、で
もまだ不安そうな顔で、
「頼(たの)んだからね。ハル
が寝ちゃったら早めに起こして
ね。」
と繰り返します。【3】お母さ
んは本当に心配性(しょう)な
んだからと心の中で思いまし 
た。
 新幹線に乗るときは、いつも
シウマイ弁当を食べます。私は
シウマイが大好きなので、この
お弁当は大好物です。売店で、
シウマイ弁当とお菓子を買いま
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した。【4】私はチョコレー 
ト、ハルはグミです。それを抱
えて新幹線に乗り込みました。
 ドアのところでお母さんがま
た心配そうな顔をしたので、私
とハルは、元気いっぱいに手を
振りました。切符を見ながら席
を探して、座るとすぐにお弁当
を食べる用意を始めます。
【5】「いただきます。」
二人で手を合わせました。わく
わくしながら蓋を開けると、シ
ウマイが五つ並んでいます。ま
るで仲良く座っているみたいで
す。
「やっぱり新幹線に乗ったらシ
ウマイ弁当だよね。」
私は、ハルに言いました。【6
】ハルも、∵
「ぼくも大好き。」
と言いながら、一つ目のシウマ
イをパクリと口に入れました。
私は、おいしいものは最後に味
わって食べるのが好きです。お
行儀が悪いと渋い顔をするお母
さんもいないので、私は五つ全
部を取っておくことにしました

 【7】私がとっておきのシウ
マイに箸をつけようとしたとき
です。ハルが、
「ああっ。」
と叫びました。驚いた私の足元
を、コロコロとシウマイが転が
っていきます。ハルの落とした
シウマイでした。それも、最後
の一つです。ハルは今にも泣き
出しそうな顔をしています。【
8】なんだかかわいそうになり
、私は自分のシウマイを一つ、
ハルにあげました。もしお母さ
んが一緒なら、お母さんが自分
のシウマイを分けていたと思い
ます。ああ、早く食べてしまえ
ばよかったなあと残念に思いま
したが、ハルがとても喜んだの
でよかったです。【9】それ 
に、通路をはさんで隣に座って
いたおばあさんが、
「さすがお姉ちゃん、偉いわね
。」
と声をかけてくれました。恥ず
かしかったけれど、嬉しかった
です。ハルは、シウマイのお礼
だと言って、自分のグミを半分
分けてくれました。ハルもいい
ところがあるなと思いました。
 【0】本を読んだり、しりと
りをしたり、なぞなぞを出し合
ったりするうちに、いつの間に
か京都に着きました。お母さん
はまだ心配しているかなあ。京
都に着いたことを早く伝えたい
なと思いました。

(言葉の森長文(ちょうぶん)
作成委員会  ω)