長文 7.1週
1.【1】「あれ、まだ
誰も
起きていないのかな。」
2.
今日は、
お父さんとザリガニとりに
行く約束をしています。だから、ぼくは
早起きをしました。ぼくが
起きたとき、
お父さんはまだ
寝ていたので、
3.「早く
起きなさい。
遅刻しますよ。」
4.と、いつもの
お母さんのせりふをまねて、
お父さんを
起こしました。【2】
朝ごはんを
食べているときも、
頭の中は、ザリガニとりのことでいっぱいでした。
5. さあ、いよいよ
出発です。ぼくが
先頭に立って
歩きました。ザリガニがいる川までは、
歩いて二十
分くらいかかります。
太陽が
照りつけ、
汗がにじみ出てきます。【3】ぼくは、ずんずん
歩きました。川には
誰もいなかったので、早く
来てよかったと
思いました。
お父さんは、
6.「水がよどんでいるところにいるんだよ。」
7.と
言いながら、ザリガニが
潜んでいそうな
場所を
探します。【4】
お父さんは、大きな石がごろごろしているところを見つけると、大きな
網で
何度も
川底をすくいました。でも、
全然とれません。
何度やっても、
網には、ごみのようなものがくっついてくるだけです。
8. 【5】
仕方がないので、
場所を
変えてみました。
今度は、大きな水たまりのようなところです。
網ですくうと、ヘドロのようなものの中に
何かが
動いています。ぼくは、
思わず、
9.「あ、いたいた。」
10.と
叫びました。小さなザリガニがピチピチと
動いています。【6】
元気のいいザリガニが
何匹か
網にかかっていたのです。ぼくもやってみたくなって、
網でヘドロをすくってみました。
思ったより
重くて、
網を
引き上げるのが
大変でしたが、
網の中をよく見てみると、三
匹∵ぐらいのザリガニが
引っかかっていました。【7】ぼくは、うれしくなりました。
怒っているみたいにハサミを
振りかざしているザリガニもいました。ぼくは、ハサミに気をつけながらザリガニをバケツに入れました。
11. そのあとも、
お父さんと
交代でザリガニとりを
続け、たくさんのザリガニをつかまえることができました。【8】こんなにたくさんとれるとは
思っていなかったので、びっくりしました。
12.「ザリガニは
共食いをしてしまうから、
少し減らした
方がいいな。」
13.と
お父さんが
言ったので、
残念でしたが、
半分くらい川に
返しました。
14. 【9】
帰りに、水そうとザリガニのえさを
買いました。
家に
帰ってから、ザリガニたちを水そうに
移すと、
少し驚いているようで、
落ち着かない
様子でした。ぼくは、ザリガニたちが早く
慣れてくれるといいなあと
心の中で
思いました。【0】
15.(
言葉の森
長文作成委員会 Λ)
長文 7.2週
1. スカートやズボンを
買うときは、まずウエストのサイズを
確かめます。では、
地球のウエスト、つまり
円周はどうやって
測るのでしょう。
2.
現代の
科学者たちは、メジャーの
代わりに
人工衛星を
使います。
北極と
南極を
通る二つの
衛星で、
地球を
外がわから
測るのです。そのようにして
算出された
数値は、
約四
万八千キロメートル。
大変なウエストサイズです。
3. しかし、
今からおよそ二千二百年
前、すでに
地球を
測った人がいたのです。エラトステネスは、ギリシャの
数学者で
天文学者でもありました。
彼の
時代には
人工衛星などないので、
地球が
丸いことさえ
知らない人がたくさんいました。もちろん、
地球を
測ることのできるほど
長い巻尺もありません。エラトステネスが
使ったのは、一本の
棒きれでした。
4. エジプトのシエネという
都市にいたときのことです。エラトステネスは、一年でいちばん
昼間の
長い夏至の
正午に、
太陽が
真上に
来ることに気づきました。
太陽の
光が
影を
作らずに
井戸の
底まで
届いていたからです。しかし、そこから
北に八百五十キロメートルほど
行ったところにあるアレクサンドリアでは、
同じ夏至の日の
正午に
影が見えたのです。そこで、エラトステネスはあることを
思いつきます。
5.
彼はまず、アレクサンドリアにまっすぐな
棒を立てました。
正午にその
棒が
作る影を
観察するためです。
影の
角度を
測ったところ、
垂直方向に対して七・二
度でした。エラトステネスは
地球が
丸いことと
円周の
全体が三百六十
度であることを
知っていました。三百六十を七・二で
割ると五十ですから、
棒の
角度七・二
度は
円周の五十
分の一になります。ということは、シエネとアレクサンドリアの
間の
距離も、
地球の
円周の五十
分の一と
等しいはずです。そこで二つの町の
距離を五十
倍し、
地球の
円周は、
約四
万キロメートルから∵四
万六千キロメートルだという
結論に
達したのです。それは、
驚くほど
正確な
数値でした。
6.「エラトステネスさん、
棒で
測るなんて、いつ
思いついたんですか。」
7.「ぼうっとしているときにね。」
8.
言葉の森
長文作成委員会(Μ)
長文 7.3週
1. 【1】けんじはともだちと、まちはずれのはらっぱであそんでいました。かれたかやが、たくさんはえていました。【2】ひとりの子が、マッチをもってきました。
2.「かやは、よくもえるぞ。もそうよ。」
3.「うん、もそうもそう。」
4. 【3】火をつけると、かれたかやは、めらめらとよくもえます。あっというまに、ぐんぐんもえひろがりました。
5.【4】「たいへんだ、けそう。」
6. 子どもたちは、あわててけそうとしました。けれども、もうまにあいません。ゴオーッという音をたてて、火のいきおいは、はげしくなるばかり。
7. 【5】カーンカーンカーン。
8. まちのはんしょうが、なりだしました。子どもたちは、青くなってにげだしました。【6】けんじは、ひとりだけにげません。いっしょうけんめい火をけしつづけました。
9. 【7】まちの人たちがかけつけてきて、やっと火はきえました。
10.「おまえか、こんないたずらをしたのは。」
11. しょうぼうの人が、けんじをつかまえてしかりました。【8】けんじは、
12.「すみません。」
13.と、あたまをさげました。けんじのまゆは、火ですっかりやけていました。
14. 【9】わるいことをして、にげてしまうようなことは、けんじには、どうしてもできなかったのです。【0】
15.
16. (
宮脇 紀雄著 「
偉人の
話」より)
長文 7.4週
1.
かつお節、みそ、
納豆、
漬物、パン、チーズ、
乳酸菌飲料、ビール、ワイン。これらのおいしさの
共通点は、
独得の
風味です。その
共通の
風味をもたらしている
秘密は、どれもが
発酵食品だということにあります。
2.
同じ発酵食品でも、
発酵を
行う微生物のちがいによって、いくつかのグループに
分けることができます。一つ目は、
かつお節のように、
主にカビの
作用によるものです。二つ目は、
納豆、
乳酸菌飲料、チーズのように、
主に
細菌の
作用によるものです。三つ目は、ビール、ワイン、パンのように、
主に
酵母の
作用によるものです。そして、みそ、しょうゆ、
漬物のように、三つの
作用が
重なり合って生まれるものもあります。
3. このように、目に見えない
微生物は、
生育するときに
周りの
材料を
分解して、
消化しやすく
変化させたり、
独得のおいしい
風味を
与えたりします。ところが、
微生物には
反対の
働きもあって、
材料を
分解するときに
食中毒をひきおこす
有害物質を
作ったり、
悪臭を
放つ不快な
物質を作ったりすることもあります。これを、
私たちは
腐敗と
表現しています。
4.
地球上のあらゆるところに
生育する
微生物は、
忍者のように目には見えませんが、
私たちの
暮らしに
深く関わってきました。
私たちが
健康で
環境にやさしい
生き方をするためにも、
微生物との
共存がこれからいっそう
大切になってくるでしょう。
5.「カビさんが
役に立っているなんて、
初めて知りました。」
6.「そうカビ。」
7.「
細菌さんも、がんばっているんですね。」
8.「
最近だけどね。」
9.「
酵母さんも、たまに
失敗することがあるんですか。」
10.「コウボうも
筆の
誤りと
言うぐらいだから。」
11.
言葉の森
長文作成委員会(μ)
長文 8.1週
1.【1】「早く
夜にならないかなあ。」
2.ぼくは、そうつぶやきました。
3.「また
言ってる。これで
何回目?」
4.
お母さんは、おかしくてたまらないという
顔をして
笑いました。
今日の
夜は
夏祭りなのです。ぼくは、カレンダーに赤のペンで
丸をつけて
楽しみにしていました。【2】
綿あめに
かき氷、
たこ焼きにチョコバナナなど、いろいろなものを
食べられるのです。
5. ついに
待ちに
待った
夜です。
お母さんがくれた五百円をお
財布に入れて、ぼくは
校門に
急ぎました。【3】
校門に
着くと、コウジとユウキが
待っていて、ぼくを見つけると、
6.「おう、早く
行こうぜ。」
7.と
僕をひっぱりました。たくさんのちょうちんがぶら下がっていて、いつもの
校庭ではないみたいです。まるでおばあちゃんの
家の
近くの
商店街みたいだなと
思いました。
8. 【4】
何を
食べようかときょろきょろしていると、ソースのこげるにおいが
漂ってきました。ぼくたち三人は、
9.「いいにおいだなあ。
焼きそば食べよう。」
10.と、
鼻をクンクンさせながら
列に
並びました。ぼくとユウキが先に
買って、コウジの
順番になりました。【5】コウジは、お
店のおじさんに、
11.「いっぱい入っているのをください。」
12.と
お願いしたので、ぼくとユウキは、
思わず顔を
見合わせて
笑ってしまいました。コウジは、クラスの中でも
食いしん坊で
有名なのです。【6】おじさんは、
重なった
焼きそばの中からひとつひっぱりだして、
13.「これはたくさん入ってるだろ。」
14.と
言いました。ぼくは、うらやましいなあと
心の中で
思いまし∵た。もしぼくがコウジだったら、あんなふうに大人に
お願いできません。【7】なんだか
恥ずかしいからです。
お母さんにもよく、ぼくは
引っ込み思案だと
言われているのです。
15.
焼きそばは、
家で
食べるよりも
味が
濃くて、
お祭りの
焼きそばの
味がしました。
お母さんの
作る焼きそばもおいしいけれど、ぼくはこういう
焼きそばも
好きです。【8】
多分、
お父さんも
屋台の
焼きそばの
方が
好きだと
思います。どうしてかというと、
濃い味が
好きだからです。
16. そのあとは、カキ
氷とチョコバナナを
食べました。チョコバナナを
買うときのことです。ぼくは、大きいのが
食べたいなあと
思いました。【9】ぼくは、
思い切って、
17.「ちょっと大きめなのをください。」
18.と
言ってみました。
胸がドキドキしました。お
店のおばさんは、
19.「じゃあ、大きそうなのを
選んでいいよ。どれがいい?」
20.と、ぼくに
選ばせてくれました。ぼくは
飛び上がるほど
嬉しくて、
一番長いと
思うものを
指差しました。【0】おばさんから
受け取るとき、いつもよりずっと大きい
声で
21.「ありがとうございます。」
22.と
言えました。
少しお
兄さんになった気がしました。そのチョコバナナは、いつものチョコバナナよりもずっとおいしかったです。
23.(
言葉の森
長文作成委員会 ω)
長文 8.2週
1.
物を
食べると、いろいろな
味を
感じます。たとえば目かくしをしていても、それが
知っている
味なら、
今食べたものが
何か、
当てることができるでしょう。また、
初めて食べたものでも、「
塩辛い」とか「
甘酸っぱい」などと、
言葉で
表すことができます。この
味は、いったいどこでどうやって
感じているのでしょうか。
2.
味を
感じる体の
部分は
舌である、というのは、よく
知られていることです。その
証拠に、
味見をするときは、ちょっと
舌を出してなめてみます。この
舌をよく見てみると、
表面はなめらかではなく、ざらざらで、
更によく見ると小さなでこぼこやつぶつぶがあります。
実は、このつぶつぶが、
味蕾と
呼ばれるものです。
3. 「
蕾」というのが「つぼみ」という
漢字であることからわかるように、
味蕾は花のつぼみのような
形をしています。
味蕾は
舌の
表面だけではなく、上あごの
奥やのどにもあります。ですから、
舌だけで
味を
感じているのではないようです。
4. ところで、
動物の中でも
肉食動物は、においをかぎ
分ける能力である
嗅覚がとても
発達している
代わりに、
味覚はそれほど
優れていません。犬やネコも、この
肉食動物の
仲間です。おおざっぱに
苦味、
酸味、
辛味、
甘味などはわかり、
苦いものがきらいで
甘いものが
好きなのは
人間と
同じです。
肉食動物は、
生肉を
あっという間に食べてしまうため、それほどおいしさを
味わう必要がなかったのです。それ
に対し、いつまでもゆっくりと草を
食べている
草食動物は、
肉食動物よりは
味覚が
発達していると
言われています。
5. みなさんの
家にも、おいしいものしか
食べない、グルメな犬やネコがいるかもしれません。これは、おいしいものをいろいろもらってしまったので、
学習して「
違いがわかる」ようになってしまったのです。
現代の犬たちが、おしゃれなカフェで犬
用のケーキを
食べているなんて、犬のご
先祖のオオカミには、
想像もできなかったにちがいありません。∵
6.
言葉の森
長文作成委員会(Μ)
長文 8.3週
1.【1】「おや、かわいそうに。」
2. ある
朝のこと。なんのきなしに、りょうかんさまがゆかの下を見ると、たけのこがあたまをだしています。【2】たけのこは、ゆかにあたまがとどいて、もうのびることができないでいます。
3.【3】「きのどくなことじゃ。まてまて。」
4. りょうかんさまはかなづちをもってくると、めりめりめりと、ゆかいたをはがしてしまいました。
5.【4】「たけのこさんや、もう、だいじょうぶだ。さあ、のびておくれ。」
6. 【5】りょうかんさまはそういってうれしそうなかおをしました。
7. 【6】十日ばかりたちました。たけのこはぐんぐんのびて、こんどはやねにつかえました。【7】するとりょうかんさまは、やねのむぎわらをぬいて、やねにあなをあけ、そこからたけのこをだしてやりました。
8. 【8】うちの中にはえた、たけのこのそばにすわって、りょうかんさまはにこにこしながら、ながめていました。
9.【9】「あっ、これはまあ。」
10. りょうかんさまのうちのまえをとおりかかった、村のおひゃくしょうさんはこれを見て、あいた口がふさがりませんでした。【0】
11.
12. (
宮脇 紀雄著 「
偉人の
話」より)
長文 8.4週
1.
南の
国に
行くと、バナナの木のジャングルがあります。日本でも、
南の
方に
行けば、バナナの木を見ることができます。
2. バナナは
高さがニ、三メートルにもなりますから、このように「バナナの木」と
言っていますが、
実はバナナは木の
仲間ではありません。見上げるほど
背が
高くても、草の
仲間なのです。だから、バナナの木を
切っても、木のような
年輪は見られません。
3. バナナは
栄養たっぷりで
腹持ちもいいので、ごはんのかわりにもなります。
南の
国では
大昔から、
一年中身のまわりに
実っているバナナをとって
食べることができたので、
お腹をへらすことがありませんでした。
4. バナナは
実を
食べるだけではなく、
南の
国では、
葉っぱも
使われています。なにしろ、大きい草ですから、
葉も大きくて
幅が
広いのです。しかも、ほのかによいかおりがします。
5. そこで、
南の
国では、
四角く折って
器にし、そこに
材料を入れて、
蒸して
食べるおかずを
作ったり、ごはんをのせるお
皿のかわりにしたりしています。
6. また、
南の
国では、
紙をつくるよい
材料がないので、
葉っぱを
安い紙のかわりにもしています。きれいに
折りたたんで、お
供え物の
灯篭にしたり、子どものおもちゃとして
使ったりもします。
細く切ったバナナの
葉を
編んで、エンゼルフィッシュの
形にしたおもちゃは、
今でもよく
作られています。これは、ちょうど、日本で
折り紙の
鶴を
作るようなものです。バナナの
葉のエンゼルフィッシュは、ひもをつけて、モビールにすることもできるので、赤ちゃんのベッドの上にも、よくつるしてあるそうです。
7. バナナは人を
笑わせることもできます。「
道に
捨てられたバナナの
皮で、すべってころぶ人」というのが、
昔から、
映画やマンガなどで
使われています。
8. こんなに
役に立つバナナを
見習って、
私たちもがんバナナいといけませんね。
9.
言葉の森
長文作成委員会(λ)
長文 9.1週
1. 【1】
夏休みに、
私と
弟の二人だけで、
京都のおばあちゃんの
家に
行くことになりました。
今年から
お母さんが
仕事を
始めたので、
子供だけで
行くことになったのです。
子供だけで
新幹線に
乗るのは
初めてです。
私は
楽しみで
仕方ないのに、
お母さんは
何だか不安そうです。
2.【2】「ほんとに
寝ちゃ
駄目よ。
大丈夫ね。」
3.
お母さんが
何度も
私の
顔をのぞきこんで
言いました。
私は、
自信満々で、
4.「
大丈夫だよ。
心配いらないから。」
5.と
言いました。
お母さんは、でもまだ
不安そうな
顔で、
6.「
頼んだからね。ハルが
寝ちゃったら早めに
起こしてね。」
7.と
繰り返します。【3】
お母さんは
本当に心配性なんだからと
心の中で
思いました。
8.
新幹線に
乗るときは、いつもシウマイ
弁当を
食べます。
私はシウマイが
大好きなので、このお
弁当は大
好物です。
売店で、シウマイ
弁当と
お菓子を
買いました。【4】
私はチョコレート、ハルはグミです。それを
抱えて
新幹線に
乗り込みました。
9. ドアのところで
お母さんがまた
心配そうな
顔をしたので、
私とハルは、
元気いっぱいに手を
振りました。
切符を見ながら
席を
探して、
座るとすぐにお
弁当を
食べる用意を
始めます。
10.【5】「いただきます。」
11.二人で手を
合わせました。わくわくしながら
蓋を
開けると、シウマイが五つ
並んでいます。まるで
仲良く座っているみたいです。
12.「やっぱり
新幹線に
乗ったらシウマイ
弁当だよね。」
13.
私は、ハルに
言いました。【6】ハルも、∵
14.「ぼくも
大好き。」
15.と
言いながら、一つ目のシウマイをパクリと口に入れました。
私は、おいしいものは
最後に
味わって
食べるのが
好きです。お
行儀が
悪いと
渋い顔をする
お母さんもいないので、
私は五つ
全部を
取っておくことにしました。
16. 【7】
私がとっておきのシウマイに
箸をつけようとしたときです。ハルが、
17.「ああっ。」
18.と
叫びました。
驚いた
私の
足元を、コロコロとシウマイが
転がっていきます。ハルの
落としたシウマイでした。それも、
最後の一つです。ハルは
今にも
泣き出しそうな
顔をしています。【8】なんだかかわいそうになり、
私は
自分のシウマイを一つ、ハルにあげました。もし
お母さんが
一緒なら、
お母さんが
自分のシウマイを
分けていたと
思います。ああ、早く
食べてしまえばよかったなあと
残念に
思いましたが、ハルがとても
喜んだのでよかったです。【9】それに、
通路をはさんで
隣に
座っていたおばあさんが、
19.「さすがお
姉ちゃん、
偉いわね。」
20.と
声をかけてくれました。
恥ずかしかったけれど、
嬉しかったです。ハルは、シウマイの
お礼だと
言って、
自分のグミを
半分分けてくれました。ハルもいいところがあるなと
思いました。
21. 【0】本を
読んだり、しりとりをしたり、なぞなぞを
出し合ったりするうちに、
いつの間にか京都に
着きました。
お母さんはまだ
心配しているかなあ。
京都に
着いたことを早く
伝えたいなと
思いました。
22.(
言葉の森
長文作成委員会 ω)
長文 9.2週
1. 【1】そのころ、とおい
東のほうには、こがねの
国があるといわれていました。それは、インドの
東のほうにある、小さなしまで、金ぎんやほう石などが、いっぱいあるということです。
2.【2】「じぶんが、そのたからの
国を見つけよう。」
3.と、コロンブスはむねをおどらせました。【3】たくさんの本をよんだり、いろいろな人にきいたりして、
4.「ちきゅうはまるいのだ。だから、ヨーロッパから
西へ
西へとすすんでいけば、インドの
東のほうにたどりつくはずだ。【4】
東にむかって、りくちにそっていくより、
海をまっすぐ
西へいったほうがちかい。」
5.と、コロンブスはおもいました。【5】そのかんがえを人びとにはなしましたが、だれも、ほんとうにしません。
6. そのころの人たちは、ちきゅうがまるいということをしりませんでした。【6】ちきゅうは、たいらなだいのようなかたちをしていて、そのはしは、たきのようになっているものと、おもっていたのです。
7. 【7】ふなのりたちは、とおい
東の
国ぐにへも、さかんにしょうばいにでかけましたが、いつもりくちにそって、
東へいくのでした。
8. 【8】だれも、
西へ
西へといけば、おなじ
東の
国ぐにへいけるのだということは、かんがえませんでした。
9. 【9】それどころか、
西のほうへ
海をどこまでもいくと、
海はたきのようになっていて、ふねごとまきこまれて、じごくへおちてしまうとおそれていたのです。
10. 【0】コロンブスは、いっしょうけんめいに、それがまちがいであることをせつめいしました。するとみんなは、
11.「あの男は、きがへんだ。でなければ、ゆめみたいなことをいって、お金をもうけようとしているのだろう。」
12. そういって、だれも、あいてにしませんでした。
13.
14. (
宮脇 紀雄著 「
偉人の
話」より)
長文 9.3週
1. 【1】コロンブスたちが、スペインのみなとにかえってくると、人びとはおどろいたりよろこんだり、大さわぎをしてむかえました。【2】コロンブスは、もうとっくに、しんでしまったとおもっていたのです。
2. 【3】コロンブスは、女王さまにおれいをもうしあげ、いろいろめずらしいはなしや、おそろしいぼうけんのはなしをしました。
3. 【4】にぎやかなおいわいのえんかいが、ひらかれました。そのとき、ひとりが、
4.「
西へ
西へといって、あたらしいりくちが見つかったからって、それは、だれにでもできることだ。たいしたことでもあるまい。」
5.と、わるくちをいいました。【5】あまりコロンブスがもてはやされるので、ねたんだのです。
6. すると、コロンブスは、テーブルの上のたまごをとって、
7.「どなたかこのたまごを、たてることができますか。」
8.と、いいました。【6】みんなやってみましたが、だれにもできません。
9.「こうするのです。」
10. こつんと、コロンブスはたまごのはしをつぶしてたてました。
11.【7】「そうするのなら、だれにでもできるじゃないか。」
12. みんないいました。【8】そこでコロンブスは、
13.「そうです。人がやったあとなら、だれにもできるということが、わかったでしょう。【9】はじめにやるのが、むずかしいのです。」
14.と、いいました。わるくちをいった人は、はずかしそうにだまってしまいました。【0】
15.
16. (
宮脇 紀雄著 「
偉人の
話」より)
長文 9.4週
1. マンボウの大きさは、だいたい
畳一
枚ほどもあり、
体の
後ろ半分が
切り取られたような
形をしているため、まるで
頭だけが
泳いでいるように見えます。
2. 人気のあるマンボウですが、
実は水族館での
飼育はたいへん
難しいのです。その
理由は、えさをうまく
食べられないことや、
泳ぎが下手で
水槽の
壁に
体をぶつけて
弱ってしまうことが
多いためです。
3.
魚の
仲間は
驚くほど
卵をたくさん
産みます。その中でもナンバーワンはマンボウで、メスが一
度に
産む卵の
数は、三
億個近くにもなります。
4. マンボウの
お母さんは、
卵を
産みっぱなしで、
保護するということをしません。
卵や
孵化したマンボウの子どもは、
海中に
漂っている
間に、どんどんほかの
生き物に
食べられてしまいます。
最初のごく小さいうちは、イワシやサンマ、アジなどのえじきになり、
少し大きくなったマンボウの子どもは、マグロやカツオ、
海鳥、ウミガメなどに
襲われてしまいます。
5. けれども、マンボウの子どもたちも、ただ
何の
抵抗もせずに
食べられているわけはありません。子どものマンボウの
体には
長いとげがたくさんあります。まるで
お菓子のコンペイトウのようで、大人のマンボウとは
似ても
似つかない
形です。大きな
魚に対しては、この
程度のとげはなんの
役にも立ちませんが、
小型の
魚に
食べられる
確率は小さくなります。このとげは、
成長するにつれて
短くなり、マンボウ
独特の
形に
変わっていきます。
6. マンボウの
兄弟たちは、大人になるまでにどんどん
数が
減っていきます。
生き残ることができるのは、三
億個もあった
卵のうち、たったの三十
個ほどです。
7.∵
8.「マンボウさん、のんびりしていますね。」
9.「ヒマンボウ。」
10.「えさは、
吸い込むだけですか。」
11.「カマンボウ。」
12.「いつも
海に
浮いているだけですね。」
13.「シズマンボウ。」
14.「もっと
別のセリフ、ないですか。」
15.「スマンボウ。」
16.
言葉の森
長文作成委員会(κ)