長文集  12月4週  ○いちばん貧しい人に  ku-12-4
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/09/04 15:12:40
 「いちばん貧しい人に仕える
ため、町に出て行こう。」
何不自由ない生活を送っていた
マザー・テレサが、そう決心し
て修道院をあとにしたとき、持
っていたお金はわずか五ルピー
のみでした。今の日本のお金に
してみると、およそ百五十円で
す。たったこれだけのお金でい
ったい何ができるというのでし
ょう。しかし、マザーはあきら
めません。神に与えられた自分
の使命を果たすためにも、あき
らめるわけにはいかないので 
す。
 カルカッタの町には、多くの
子供たちが表情もなく座り込ん
でいました。学校へ通うお金も
なく、食べるものも満足になく
、ただじっと座り込んでいるの
です。
 教育こそが貧しさから抜け出
す鍵になると直感したマザーは
、すぐさま子供たちを集めて青
空教室を開きました。もちろん
机もいすもありません。地面を
黒板代わりにし、読み書きの基
礎から指導していきました。
 その噂はまたたく間に広まり
、たくさんの子供たちがつめか
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けるようになりました。する 
と、マザーの活動に賛同し手助
けをしてくれる強力(きょうり
ょく)な協力者が次々と現われ
ました。
 たった五ルピーしか持たない
マザーが、その活動を大きく広
げていったのは、こうした人々
の愛によるところが大きいので
す。
 多くの心ある人々に支えられ
、マザーなき現在も、マザーの
活動はカルカッタの町にしっか
りと根づいています。
 私たちはみな、愛を持ってい
ます。ただ、十分に人に与える
方法がわからないだけなのかも
しれません。
「いったい、いつ、まずしい人
々の貧困はやむのですか。」
そうたずねられたマザーは、
「あなたと私が分かち合いはじ
めたときに。」
と答えました。

 言葉の森長文(ちょうぶん)
作成委員会( ω)