「いちばん貧しい人に仕える ため、町に出て行こう。」 何不自由ない生活を送っていた マザー・テレサが、そう決心し て修道院をあとにしたとき、持 っていたお金はわずか五ルピー のみでした。今の日本のお金に してみると、およそ百五十円で す。たったこれだけのお金でい ったい何ができるというのでし ょう。しかし、マザーはあきら めません。神に与えられた自分 の使命を果たすためにも、あき らめるわけにはいかないので す。 カルカッタの町には、多くの 子供たちが表情もなく座り込ん でいました。学校へ通うお金も なく、食べるものも満足になく 、ただじっと座り込んでいるの です。 教育こそが貧しさから抜け出 す鍵になると直感したマザーは 、すぐさま子供たちを集めて青 空教室を開きました。もちろん 机もいすもありません。地面を 黒板代わりにし、読み書きの基 礎から指導していきました。 その噂はまたたく間に広まり 、たくさんの子供たちがつめか |
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けるようになりました。する と、マザーの活動に賛同し手助 けをしてくれる強力(きょうり ょく)な協力者が次々と現われ ました。 たった五ルピーしか持たない マザーが、その活動を大きく広 げていったのは、こうした人々 の愛によるところが大きいので す。 多くの心ある人々に支えられ 、マザーなき現在も、マザーの 活動はカルカッタの町にしっか りと根づいています。 私たちはみな、愛を持ってい ます。ただ、十分に人に与える 方法がわからないだけなのかも しれません。 「いったい、いつ、まずしい人 々の貧困はやむのですか。」 そうたずねられたマザーは、 「あなたと私が分かち合いはじ めたときに。」 と答えました。 言葉の森長文(ちょうぶん) 作成委員会( ω) |