長文 12.4週
1. 「いちばん貧しいまず  人に仕えるつか  ため、町に出て行こい う。」
2.なに不自由ふじゆうない生活せいかつ送っおく ていたマザー・テレサが、そう決心けっしんして修道院しゅうどういんをあとにしたとき、持っも ていたお金はわずか五ルピーのみでした。いまの日本のお金にしてみると、およそ百五十円です。たったこれだけのお金でいったいなにができるというのでしょう。しかし、マザーはあきらめません。かみ与えあた られた自分じぶん使命しめい果たすは  ためにも、あきらめるわけにはいかないのです。
3. カルカッタの町には、多くおお 子供こどもたちが表情ひょうじょうもなく座り込んすわ こ でいました。学校へ通うかよ お金もなく、食べるた  ものも満足まんぞくになく、ただじっと座り込んすわ こ でいるのです。
4. 教育きょういくこそが貧しまず さから抜け出すぬ だ かぎになると直感ちょっかんしたマザーは、すぐさま子供こどもたちを集めあつ て青空教室きょうしつ開きひら ました。もちろんつくえもいすもありません。地面じめん黒板こくばん代わりか  にし、読み書きよ か 基礎きそから指導しどうしていきました。
5. そのうわさまたたく間    ま広まりひろ  、たくさんの子供こどもたちがつめかけるようになりました。すると、マザーの活動かつどう賛同さんどう手助けてだす をしてくれる強力きょうりょく協力きょうりょくしゃ次々つぎつぎ現われあら  ました。
6. たった五ルピーしか持たも ないマザーが、その活動かつどうを大きく広げひろ ていったのは、こうした人々のあいによるところが大きいのです。
7. 多くおお こころある人々に支えささ られ、マザーなき現在げんざいも、マザーの活動かつどうはカルカッタの町にしっかりと根づいね  ています。
8. わたしたちはみな、あい持っも ています。ただ、十分じゅうぶんに人に与えるあた  方法ほうほうがわからないだけなのかもしれません。
9.「いったい、いつ、まずしい人々の貧困ひんこんはやむのですか。」
10.そうたずねられたマザーは、
11.「あなたとわたし分かちわ  合いあ はじめたときに。」
12.と答えこた ました。

13. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(ω)