長文集  4月3週  ★われわれが歩いたり(感)  na2-04-3
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2012/06/15 08:09:23
 【1】われわれが歩いたり、走ったりする
運動を考えてみましょう。足を前後に往復さ
せて前進します。犬や馬もそうです。足は四
本ですが、やはり往復運動です。鳥はどうで
しょう。烏も羽を上下に動かして進みます。
【2】カエルが泳ぐのも往復運動ですし、魚
も尾びれを左右に往復させて推進力を生み出
しています。神様がお造りになった生物は、
みんな往復運動で前進します。
 それでは、人間が作った道具はどうでしょ
うか。【3】ノコギリも手で使うノコギリは
、前後に往復させて板を切ります。しかし、
これでは能率が悪いということで、回転ノコ
が考え出され、製材所などでは大変なスピー
ドで木を切っています。
 【4】ジェームス・ワットが発明し、産業
革命のもとになった蒸気機関も、そこから取
り出せた力は往復運動でしたが、蒸気機関車
は、ピストンの往復運動を回転運動に変えて
使っています。回転運動をフルに利用したも
のに自動車があります。
 【5】回転運動がふえるのは、速いからで
す。自動車と動物の走るスピードを比べてく
ださい。いかに速い競走馬でも、大衆車のス
ピードにもかないません。このことは、自動
車の方が馬よりはるかにすぐれているかのよ
うな印象をあたえます。【6】人間の知恵 
は、とうとう神様の知恵を追いぬいたと考え
る人もいるかもしれません。
 たしかに、車輪の発見は技術の発達史上に
おける大きな発見で、四本足で走る馬より、
回転する車の自動車のほうが楽だし、速くも
あります。【7】しかし、実際に走ってみる
と、楽に走れて速いのは平らで道のよいとこ
ろだけで、山あり谷ありといったデコボコ道
では、必ずしも楽ではありません。道のない
ところは車では進めません。人間や動物なら
、川は泳いで渡りますし、ガケもよじ登るこ
とができます。【8】やはり人間の知恵は神
様の知恵にかなわないわけです。
 現代社会は、言ってみればどこも平らです
が、それは人間が作ったもので、自然ではあ
りません。平らなところがふえたので、世の
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中すべてが平らであると思いこむ人がふえて
しまったようです。∵
 【9】舗装道路を車ですっ飛ばすように、
世の中を突っ走れると思っていたところに、
つまずきを生じたのが環境破壊であり、エネ
ルギー危機だったといえます。
 自動車もスピードを出しすぎたので事故が
ふえました。【0】そこで、高速道路でも事
故の多いところは少しデコボコをつけること
が一部で考えられています。人間の知恵から
再び神様の知恵に帰ろうというのでしょうか

 人間の知恵にはおのずと限界があることを
われわれは十分に理解しなければなりません
。人間の作ったものは、たいへん便利で能率
的ではあっても、場合によっては案外落とし
あながあるものなのです。そういう意味で、
われわれはもう一度、神様からあたえられた
自然を見直す必要がありそうです。