長文集  4月3週  ★たびをする草や木のみ(感)  sa-04-3
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2012/06/15 08:09:23
 たびをする草や木のみ――たんぽぽややし
のみ――

 【1】みなさんは、もう学校でならって、
知っているでしょう か。植物のたねのなか
には、たびをするものがあるのですよ。
 いろいろのたねがたびをしますが、いちば
んたのしそうなのは、たんぽぽの空中りょ行
でしょうね。
 【2】春、たんぽぽの花がさききってしま
うと、花びらがちったあとに円いわたのよう
な白いものがのこります。
 やがて風がふくと、一本一本のわた毛が、
ふわり、ふわりと、空にまいあがるのです。
そのわた毛の下には、ひとつずつ、たねがつ
いています。
 【3】きもちよさそうに、空をとんでいっ
たたんぽぽのわた毛 は、風しだいで、たん
ぼのあぜにおりたり、みなさんのおうちをの
ぞいて、にわにおりたりします。
 そして、そこの地面にこしをおろして、あ
くる年の春、めをだ し、花をさかせるので
す。
 【4】海をたびする植物には、やしのみが
あります。やしのみ は、みなさんの頭くら
いあります。
 海岸などに生えていますので、海の中にお
ちたものが、ふわりふわりと、海のたびをし
て、遠い遠い島にながれつき、そこで、めを
だすことがあります。
 【5】人間のきものなどにくっついて、は
こばれるのは、いのこづち、ぬすびとはぎな
どの草のみです。
 みなさんが、きれいな花をとろうとおもっ
て、やぶの中にはいると、きものにいっぱい
ついて、なかなかとれない草のみがあるでし
ょう。【6】それが、いのこづちや、ぬすび
とはぎのみなのです。こうして、ほうぼうへ
つれていってもらって、めをだすばしょをみ
つけるのです。
 きみじかなのは、ほうせんかのたねでしょ
う。
 花がちって、あとにみができます。【7】
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
みなさんが、たねをとろうとおもって、ちょ
っと手をかけでもすると、パチンと、すごい
いきおいで、かわがはじけて、中のたねは、
四方八方へ、とびちってしまいます。
 【8】ひとところへ、たくさんのたねがお
ちたのでは、めがでてから、おたがいに、よ
うぶんをとりっこしたり、太陽のひかりをう
けられないものができたりしますから、でき
るだけ、いきおいをつけて、遠くへちらばっ
てとぶのです。∵
 【9】てっぽううりも、これとおなじよう
なことをします。
 たまはじきだけというきのこも、なん万こ
という胞子のはいっているたねを、音をたて
てはじきだします。
 【0】それでは、このように、じぶんの力
でりょ行できない木のみ――たとえば、かき
のみなどは、どうするのでしょうか。
 これらのみは、鳥にたべてもらって、ふん
といっしょに地面に落ちて、めをだします。
かきのみや、なんてんのみなどが、じゅくし
て、うつくしく色づくのは、鳥にはやくたべ
てもらいたいからだといえましょう。
 こうしてみると、植物のたねのたびは、た
のしいハイキングや、遠足ではなくて、めを
だすばしょをさがしてあるく、ひっこしなの
ですね。

(「世界ふしぎめぐり三年生」より抜粋)