長文 4.3週
1. たびをする草や木のみ――たんぽぽややしのみ――

2. 【1】みなさんは、もう学校でならって、知っているでしょうか。植物しょくぶつのたねのなかには、たびをするものがあるのですよ。
3. いろいろのたねがたびをしますが、いちばんたのしそうなのは、たんぽぽの空中りょ行でしょうね。
4. 【2】春、たんぽぽの花がさききってしまうと、花びらがちったあとに円いわたのような白いものがのこります。
5. やがて風がふくと、一本一本のわた毛が、ふわり、ふわりと、空にまいあがるのです。そのわた毛の下には、ひとつずつ、たねがついています。
6. 【3】きもちよさそうに、空をとんでいったたんぽぽのわた毛は、風しだいで、たんぼのあぜにおりたり、みなさんのおうちをのぞいて、にわにおりたりします。
7. そして、そこの地面じめんにこしをおろして、あくる年の春、めをだし、花をさかせるのです。
8. 【4】海をたびする植物しょくぶつには、やしのみがあります。やしのみは、みなさんの頭くらいあります。
9. 海岸かいがんなどに生えていますので、海の中におちたものが、ふわりふわりと、海のたびをして、遠い遠いしまにながれつき、そこで、めをだすことがあります。
10. 【5】人間のきものなどにくっついて、はこばれるのは、いのこづち、ぬすびとはぎなどの草のみです。
11. みなさんが、きれいな花をとろうとおもって、やぶの中にはいると、きものにいっぱいついて、なかなかとれない草のみがあるでしょう。【6】それが、いのこづちや、ぬすびとはぎのみなのです。こうして、ほうぼうへつれていってもらって、めをだすばしょをみつけるのです。
12. きみじかなのは、ほうせんかのたねでしょう。
13. 花がちって、あとにみができます。【7】みなさんが、たねをとろうとおもって、ちょっと手をかけでもすると、パチンと、すごいいきおいで、かわがはじけて、中のたねは、四方八方へ、とびちってしまいます。
14. 【8】ひとところへ、たくさんのたねがおちたのでは、めがでてから、おたがいに、ようぶんをとりっこしたり、太陽たいようのひかりをうけられないものができたりしますから、できるだけ、いきおいをつけて、遠くへちらばってとぶのです。∵
15. 【9】てっぽううりも、これとおなじようなことをします。
16. たまはじきだけというきのこも、なん万こという胞子ほうしのはいっているたねを、音をたててはじきだします。
17. 【0】それでは、このように、じぶんの力でりょ行できない木のみ――たとえば、かきのみなどは、どうするのでしょうか。
18. これらのみは、鳥にたべてもらって、ふんといっしょに地面じめん落ちお て、めをだします。かきのみや、なんてんのみなどが、じゅくして、うつくしく色づくのは、鳥にはやくたべてもらいたいからだといえましょう。
19. こうしてみると、植物しょくぶつのたねのたびは、たのしいハイキングや、遠足ではなくて、めをだすばしょをさがしてあるく、ひっこしなのですね。

20.(「世界せかいふしぎめぐり三年生」より抜粋ばっすい