長文集  4月4週  ○フロンとオゾン(感)  sa-04-4
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2015/03/15 14:07:40
【長文が二つある場合、読解問題用の長文は
一番目の長文です。】
 大昔の鳥の祖先は、ほかの動物と同じよう
に四本足を使って歩いていました。長い年月
のあいだに、前足が翼に進化し、今のように
空を飛べるようになったのです。鳥は、爬虫
類の仲間から進化してきたので、トカゲの前
足の骨組みと鳥の翼の骨組みは、たいへんよ
く似ており、この二つをくらべると、前足が
翼に変わったことがよくわかります。また、
前足だけではなく、体をおおっている羽毛の
一部も翼に変わりました。風に向かって進む
と、何枚も重なった風切羽(かざきりばね)
によって、鳥は体を空中に浮かせることがで
きます。
 しかし、翼だけがいくら立派でも、飛ぶこ
とはできません。翼を動かす部分も大事です
。鳥の胸の骨には大きな出っ張りがあり、船
底(ふなぞこ)のような形をしています。そ
こに、翼をはばたかせる筋肉がついています
。鳥の胸の筋肉は、たいへん発達しており、
この筋肉の力で大きな翼をはばたかせること
ができます。
 自由に空を飛ぶためには、体が重くてはい
けません。普通、体を作っているもので、い
ちばん重いのは骨です。そこで鳥の骨は、竹
のように中が空洞になっていたり、スポンジ
のようにスカスカになっているなど、体を軽
くするための工夫が見られます。しかし、ス
カスカの骨といっても、すぐ折れてしまうよ
うな弱いものではな く、たいへんかたくて
丈夫にできています。
 また、体全体を軽くするために、骨の数も
少なくなっています。あごの骨は歯と一緒に
なって、くちばしに変わりました。歯がない
ため、鳥は食べ物をすべて丸のみにしてしま
います。「鵜のみ」にするのは、鵜だけでは
なかったということです。ただ、そのままで
はたいへん消化が悪いので、おなかの中で食
べた物を砕くことができるようになっていま
す。その役目をするのが砂肝(すなぎも)で
す。砂肝(すなぎも)は砂嚢とも呼ばれ、そ
の名のとおり砂が入っています。砂粒(すな
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
つぶ)によって∵食べ物をすりつぶすので 
す。
 変わっているのはくちばしだけではありま
せん。背骨の数も少なくなっていて、しかも
棒のようにまっすぐです。首が自由に動くの
に比べて、背骨は自由な動きがほとんどでき
ません。羽(は)づくろいをする鳥を見ると
、体全体をひねることができないので、首だ
けをぐるりとうしろに回しています。しかし
、そのおかげで、空を飛ぶときに体が安定す
る上、離着陸の衝撃から体全体が守られるよ
うになったのです。
 体を軽くしなくてはいけない一方で、鳥は
飛ぶために多くのエネルギーを必要とし、ど
んどん食べ物を食べなくてはなりません。そ
こで鳥は、食べてすぐエネルギーに変わるよ
うな食物をとるようになりました。多くの鳥
は草食ではなく肉食です。植物性のものを食
べる鳥もいますが、種子や果実など、すぐに
エネルギーになるものを食べます。
 鳥は、少しでも体を軽くするために、もう
一つ工夫をしていま す。それは、フンをた
めこまないということです。もし、鳥が便秘
になったら大変なことです。フンの重さで飛
べなくなってしまうからです。公園などでハ
トにフンをかけられてハッと驚いても、「フ
ン!」などと憤慨せずに、「フーン、飛ぶた
めには仕方がないのだな」と優しく理解して
あげましょう。

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(
κ)∵
 【1】冷蔵庫がまだあまり普通の家庭には
なかったころ、冷蔵庫には、毒があって危険
な物質が使われていました。この物質は、液
体からガスに変わるときに周りを冷やす性質
を持っていました。
 【2】しかし、このように危険な物質を、
家庭におく冷蔵庫に使うわけにはいきません
。そこで、何かいい方法はないものかと、研
究が行われました。その結果、フロンという
新しい物質が見つかりました。
 【3】フロンは、色も匂いもない物質で、
安定した性質を持っています。性質が安定し
ているということは、ほかのものといっしょ
にしても、ほとんど反応を起こさないという
ことです。また、燃えることもないので、火
事の心配がありません。【4】さらに、簡単
に液体にしたりガスにしたりできるので、取
り扱いも楽です。そして、安く作ることがで
きるのも、大きな長所でした。
 こうして、フロンは「20世紀最大の発明
」として歓迎され、世界中で使われるように
なっていきました。【5】フロンは、まさに
時代のフロンティア(最前線)でした。
 日本では特に、精密機械の工場で、部品を
洗うのに使われまし た。普通の水にはゴミ
やほこりが溶けこんでいるため、精密機械の
工場では使えなかったのです。
 【6】しかし、こんなに長所ばかりがある
と思われたフロンに、意外な欠点があること
がわかってきました。地球の上空にあるオゾ
ン層を、フロンが破壊するということがわか
ってきたのです。
 【7】フロンの長所である安定した性質が
、逆に欠点にもなっていたのです。フロンは
壊れにくく、ほかのものと反応もしないた 
め、そのままガスとなって空気中に出て行き
ます。【8】そして空の高いところまで行く
と、太陽の強力な紫外線によって初めて分解
されることになります。そのときに、フロン
から出た塩素がオゾン層を壊していくのです
。∵
 【9】オゾン層は、太陽の強力な紫外線か
ら地球上の生き物を守っているバリアのよう
なものです。このバリアが壊されると、紫外
線が地球上に降り注ぎ、生き物に大きな害を
与えます。【0】こうして、ヒーローだった
はずのフロンは、いつの間にか悪者(わるも
の)になってしまいました。
 しかし、人間が破壊したものは、人間の手
によって修復できるはずです。オゾン層を破
壊することは、人間にとってオーゾン(大 
損)ですから、今、世界中でオゾン層を守る
対策が進められています。

「フロンさん、元気出してね。君が悪いわけ
じゃなく、たまたまオゾン君と仲が悪かった
だけなんだから。」
「うん、フロン、がんばる。フロンでも(こ
ろんでも)ただでは起きないわ。」
「そう。オゾン君も、だんだん元気が出てき
たようだから。」
「オイゾンも、これからがんばって、紫外線
からみんなを守るでごわす。」
 フロー、フロー、オゾン!

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(
τ)