1.【長文が二つある場合、読解問題用の長文は一番目の長文です。】
2.
大昔の鳥の
祖先は、ほかの
動物と同じように四本足を
使って歩いていました。長い年月のあいだに、前足が
翼に
進化し、今のように空を
飛べるようになったのです。鳥は、
爬虫類の
仲間から
進化してきたので、トカゲの前足の
骨組みと鳥の
翼の
骨組みは、たいへんよく
似ており、この二つをくらべると、前足が
翼に
変わったことがよくわかります。また、前足だけではなく、体をおおっている羽毛の
一部も
翼に
変わりました。風に
向かって
進むと、何
枚も
重なった
風切羽によって、鳥は体を空中に
浮かせることができます。
3. しかし、
翼だけがいくら
立派でも、
飛ぶことはできません。
翼を
動かす部分も
大事です。鳥の
胸の
骨には大きな
出っ張りがあり、
船底のような形をしています。そこに、
翼をはばたかせる
筋肉がついています。鳥の
胸の
筋肉は、たいへん
発達しており、この
筋肉の力で大きな
翼をはばたかせることができます。
4.
自由に空を
飛ぶためには、体が
重くてはいけません。
普通、体を作っているもので、いちばん
重いのは
骨です。そこで鳥の
骨は、竹のように中が
空洞になっていたり、スポンジのようにスカスカになっているなど、体を
軽くするための
工夫が見られます。しかし、スカスカの
骨といっても、すぐ
折れてしまうような弱いものではなく、たいへんかたくて
丈夫にできています。
5. また、体
全体を
軽くするために、
骨の数も少なくなっています。あごの
骨は
歯と
一緒になって、くちばしに
変わりました。
歯がないため、鳥は
食べ物をすべて丸のみにしてしまいます。「
鵜のみ」にするのは、
鵜だけではなかったということです。ただ、そのままではたいへん
消化が
悪いので、おなかの中で食べた
物を
砕くことができるようになっています。その
役目をするのが
砂肝です。
砂肝は
砂嚢とも
呼ばれ、その名のとおり
砂が入っています。
砂粒によって∵
食べ物をすりつぶすのです。
6.
変わっているのはくちばしだけではありません。
背骨の数も少なくなっていて、しかも
棒のようにまっすぐです。首が
自由に
動くのに
比べて、
背骨は
自由な
動きがほとんどできません。
羽づくろいをする鳥を見ると、体
全体をひねることができないので、首だけをぐるりとうしろに回しています。しかし、そのおかげで、空を
飛ぶときに体が
安定する上、
離着陸の
衝撃から体
全体が
守られるようになったのです。
7. 体を
軽くしなくてはいけない一方で、鳥は
飛ぶために多くのエネルギーを
必要とし、どんどん
食べ物を食べなくてはなりません。そこで鳥は、食べてすぐエネルギーに
変わるような
食物をとるようになりました。多くの鳥は草食ではなく肉食です。
植物性のものを食べる鳥もいますが、
種子や
果実など、すぐにエネルギーになるものを食べます。
8. 鳥は、少しでも体を
軽くするために、もう一つ
工夫をしています。それは、フンをためこまないということです。もし、鳥が
便秘になったら
大変なことです。フンの
重さで
飛べなくなってしまうからです。公園などでハトにフンをかけられてハッと
驚いても、「フン!」などと
憤慨せずに、「フーン、
飛ぶためには
仕方がないのだな」と
優しく理解してあげましょう。
9.
言葉の森
長文作成委員会(κ)∵
10. 【1】
冷蔵庫がまだあまり
普通の
家庭にはなかったころ、
冷蔵庫には、
毒があって
危険な
物質が
使われていました。この
物質は、
液体からガスに
変わるときに
周りを
冷やす性質を
持っていました。
11. 【2】しかし、このように
危険な
物質を、
家庭におく
冷蔵庫に
使うわけにはいきません。そこで、何かいい
方法はないものかと、
研究が行われました。その
結果、フロンという新しい
物質が見つかりました。
12. 【3】フロンは、色も
匂いもない
物質で、
安定した
性質を
持っています。
性質が
安定しているということは、ほかのものといっしょにしても、ほとんど
反応を
起こさないということです。また、
燃えることもないので、
火事の
心配がありません。【4】さらに、
簡単に
液体にしたりガスにしたりできるので、
取り扱いも楽です。そして、
安く作ることができるのも、大きな
長所でした。
13. こうして、フロンは「20
世紀最大の
発明」として
歓迎され、
世界中で
使われるようになっていきました。【5】フロンは、まさに
時代のフロンティア(
最前線)でした。
14. 日本では
特に、
精密機械の工場で、
部品を
洗うのに
使われました。
普通の水にはゴミやほこりが
溶けこんでいるため、
精密機械の工場では
使えなかったのです。
15. 【6】しかし、こんなに
長所ばかりがあると思われたフロンに、
意外な
欠点があることがわかってきました。
地球の上空にあるオゾン
層を、フロンが
破壊するということがわかってきたのです。
16. 【7】フロンの
長所である
安定した
性質が、
逆に
欠点にもなっていたのです。フロンは
壊れにくく、ほかのものと
反応もしないため、そのままガスとなって空気中に出て行きます。【8】そして空の高いところまで行くと、
太陽の強力な
紫外線によって
初めて分解されることになります。そのときに、フロンから出た
塩素がオゾン
層を
壊していくのです。∵
17. 【9】オゾン
層は、
太陽の強力な
紫外線から
地球上の
生き物を
守っているバリアのようなものです。このバリアが
壊されると、
紫外線が
地球上に
降り注ぎ、
生き物に大きな
害を
与えます。【0】こうして、ヒーローだったはずのフロンは、いつの間にか
悪者になってしまいました。
18. しかし、人間が
破壊したものは、人間の手によって
修復できるはずです。オゾン
層を
破壊することは、人間にとってオーゾン(
大損)ですから、今、
世界中でオゾン
層を
守る対策が
進められています。
19.「フロンさん、元気出してね。
君が
悪いわけじゃなく、たまたまオゾン
君と
仲が
悪かっただけなんだから。」
20.「うん、フロン、がんばる。フロンでも(ころんでも)ただでは
起きないわ。」
21.「そう。オゾン
君も、だんだん元気が出てきたようだから。」
22.「オイゾンも、これからがんばって、
紫外線からみんなを
守るでごわす。」
23. フロー、フロー、オゾン!
24.
言葉の森
長文作成委員会(τ)