長文集  5月1週  ○砂にうずまった町(感)  sa-05-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2017/03/14 09:52:05
【長文が二つある場合、音読の練習はどちら
か一つで可。】
【1】「ゴホッ、ゴホッ、エッヘン。」
 お母さんがひどい風邪を引きました。咳と
鼻水、それに熱もあるのです。昨日から寝込
んでしまいました。それで、仙台のおばあち
ゃんが手伝いに来てくれました。【2】でも
、おばあちゃんは、年をとっているし、うち
の台所に慣れていないので、お母さんの代わ
りを一人でやるのは大変です。だから、ぼく
は学校から帰ると、朝お父さんに言われたと
おり、お手伝いをすることにしました。
 【3】ぼくは、おばあちゃんが洗濯物(も
の)を入れに二階へ行っている間、赤ちゃん
の美咲のめんどうを見ることにしました。美
咲は、普段は機嫌がいいのですが、お母さん
がかまってくれないので、ぐずぐず泣いてば
かりいます。【4】ぼくは、美咲のベッドの
ところへ行って、ぬいぐるみを見せたりガラ
ガラを鳴らしたりしました。
 しばらく遊んでいると、美咲はスースーと
鼻を鳴らして眠り始めました。そこで、ぼく
は、次の仕事に取りかかりました。【5】お
ばあちゃんが取り込んだ洗濯物(もの)をた
たむのです。下着やシャツ、美咲の肌着など
、いろいろなものがあります。ぼくは、まる
でお店屋さんのような手つきでどんどんたた
んでいきました。中には、形が複雑でむずか
しいものもあったけれど、どうにか工夫して
たたみました。
【6】「しょうちゃん、味見をしてちょうだ
い。」
と、おばあちゃんが味見用の小皿をぼくにわ
たしました。煮物のいいにおいがただよって
います。
「うん、ちょっとうすいかな。」
 ぼくは、小皿を返しながら言いました。煮
物の中のニンジンは、ぼくが切ったものです
。∵
 【7】食事がすんで、お皿を洗うのもぼく
がやりました。洗剤が残っていたら体によく
ないので、しっかりとすすぎました。それが
終わると、おばあちゃんと一緒にお風呂に入
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
ってきた美咲に、パウダーをつけたり服を着
せたりする仕事です。【8】お風呂が大好き
な美咲は、とてもうれしそうに元気いっぱい
手足を動かしていま す。だから、そでに手
を通すだけでも一苦労でした。ようやく身支
度ができると、散らばったバスタオルやおむ
つを片付けて、湯冷ましを飲ませます。
【9】「しょうちゃん、ありがとう。よく手
伝ってくれるのねえ。三年生っていうのは、
こんなにいろいろできるんだね。」
 寝る前に、おばあちゃんが感心したように
言いました。ぼくは、今日は遊びをがまんし
て、がんばってよかったなと思いました。【
0】

(言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 
φ)∵
 砂にうずまった町――おそろしいさばくの
あらし――

 【1】わたしたちのすんでいる日本には、
山があって、また野原があって、木が青あお
としげり、きれいな水がながれています。
 ところが、この地球上には、木も生えなけ
れば花もさかないし、水もない、さばくとい
うところがあります。
 【2】さばくというと、みなさんは、はて
しなくつづく、たいらな砂原をかんがえるか
もしれませんが、かならずしも、そうではあ
りません。
 【3】さばくには、大きな砂山が、なみの
うねるようにつらなっていたり、大小の石や
岩がつみかさなっていたり、ごつごつした岩
はだがあらわれていたりして、たいらな砂原
はすくないくらいで す。
 【4】さばくのりょ行で、こまるのは、あ
ついことです。日かげはないし、砂はやけて
いるし、太陽のでているあいだは、とても、
あるいてなどいられません。
 【5】へディンは、夜のうちにあるいて、
昼まは、砂にあなをほり、その中にねること
にして、たびをつづけていきました。
 昼まのあつさにひきかえて、さばくの夜は
、はんたいに、ぐっと温度がさがります。【
6】ときには、れい度よりもひくくなり、し
もがふることさえあります。
 ですから、さばくをりょ行する人たちは、
たいてい毛おりのきものをきて、毛おりのぬ
のを頭にまいています。
 これは、昼まは、つよい日ざしをさけ、夜
は、さむさをふせぐためなのです。
 【7】さばくでは、砂あらしというのも、
おそろしいものです。
 いままでしずかだったさばくに、とつぜん
風がふきだすと、砂ぼこりで、まえをあるい
ている、なかまのすがたも、まったくみえな
くなるほどです。
 【8】さばくに砂山がおおいのは、この砂
あらしのためにできたものですが、その砂山
もひとつところにとまっていないで、どんど
んうごいていきます。
 へディンがしらべたところによると、タク
ラマカンのさばくでは一年のあいだに、五十
メートルも砂山がうごいていたということで
∵す。
 【9】そのために、むかし、タクラマカン
さばくの西のはしにさかえていた、たくさん
の町が、砂の下にうずまってしまいました。
 この砂の下にうずまった町については、ふ
るくから、いろいろとふしぎなことがつたえ
られていました。
 【0】そこには、たくさんの金や銀がうず
まっているのだが、だれひとりもちかえった
ものがいない。というのは、このさばくに 
は、おそろしい王がいて、人びとが金や銀を
さがしだしてよろこんでかえろうとすると、
道をまよわせて、金や銀をもとのところへか
えすまでは、さばくをでることをゆるさない
というのです。

(「世界ふしぎめぐり三年生」より抜粋一部
調整)