1.【長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。】
2.【1】「ゴホッ、ゴホッ、エッヘン。」
3. お母さんがひどい
風邪を引きました。
咳と
鼻水、それに
熱もあるのです。
昨日から
寝込んでしまいました。それで、
仙台のおばあちゃんが
手伝いに来てくれました。【2】でも、おばあちゃんは、年をとっているし、うちの
台所に
慣れていないので、お母さんの
代わりを一人でやるのは
大変です。だから、ぼくは学校から帰ると、朝お父さんに言われたとおり、
お手伝いをすることにしました。
4. 【3】ぼくは、おばあちゃんが
洗濯物を入れに二
階へ行っている間、赤ちゃんの
美咲のめんどうを見ることにしました。
美咲は、
普段は
機嫌がいいのですが、お母さんがかまってくれないので、ぐずぐず
泣いてばかりいます。【4】ぼくは、
美咲のベッドのところへ行って、ぬいぐるみを見せたりガラガラを鳴らしたりしました。
5. しばらく
遊んでいると、
美咲はスースーと
鼻を鳴らして
眠り始めました。そこで、ぼくは、
次の
仕事に
取りかかりました。【5】おばあちゃんが
取り込んだ
洗濯物をたたむのです。
下着やシャツ、
美咲の
肌着など、いろいろなものがあります。ぼくは、まるでお
店屋さんのような手つきでどんどんたたんでいきました。中には、形が
複雑でむずかしいものもあったけれど、どうにか
工夫してたたみました。
6.【6】「しょうちゃん、
味見をしてちょうだい。」
7.と、おばあちゃんが
味見用の
小皿をぼくにわたしました。
煮物のいいにおいがただよっています。
8.「うん、ちょっとうすいかな。」
9. ぼくは、
小皿を
返しながら言いました。
煮物の中のニンジンは、ぼくが切ったものです。∵
10. 【7】
食事がすんで、お
皿を
洗うのもぼくがやりました。
洗剤が
残っていたら体によくないので、しっかりとすすぎました。それが
終わると、おばあちゃんと
一緒にお
風呂に入ってきた
美咲に、パウダーをつけたり
服を
着せたりする
仕事です。【8】お
風呂が
大好きな
美咲は、とてもうれしそうに元気いっぱい手足を
動かしています。だから、そでに手を通すだけでも
一苦労でした。ようやく
身支度ができると、
散らばったバスタオルやおむつを
片付けて、
湯冷ましを
飲ませます。
11.【9】「しょうちゃん、ありがとう。よく
手伝ってくれるのねえ。三年生っていうのは、こんなにいろいろできるんだね。」
12.
寝る前に、おばあちゃんが
感心したように言いました。ぼくは、今日は
遊びをがまんして、がんばってよかったなと思いました。【0】
13.(
言葉の森
長文作成委員会 φ)∵
14.
砂にうずまった町――おそろしいさばくのあらし――
15. 【1】わたしたちのすんでいる日本には、山があって、また野原があって、木が青あおとしげり、きれいな水がながれています。
16. ところが、この
地球上には、木も生えなければ花もさかないし、水もない、さばくというところがあります。
17. 【2】さばくというと、みなさんは、はてしなくつづく、たいらな
砂原をかんがえるかもしれませんが、かならずしも、そうではありません。
18. 【3】さばくには、大きな
砂山が、なみのうねるようにつらなっていたり、大小の石や岩がつみかさなっていたり、ごつごつした岩はだがあらわれていたりして、たいらな
砂原はすくないくらいです。
19. 【4】さばくのりょ行で、こまるのは、あついことです。日かげはないし、
砂はやけているし、
太陽のでているあいだは、とても、あるいてなどいられません。
20. 【5】へディンは、夜のうちにあるいて、昼まは、
砂にあなをほり、その中にねることにして、たびをつづけていきました。
21. 昼まのあつさにひきかえて、さばくの夜は、はんたいに、ぐっと
温度がさがります。【6】ときには、れい
度よりもひくくなり、しもがふることさえあります。
22. ですから、さばくをりょ行する人たちは、たいてい毛おりのきものをきて、毛おりのぬのを頭にまいています。
23. これは、昼まは、つよい日ざしをさけ、夜は、さむさをふせぐためなのです。
24. 【7】さばくでは、
砂あらしというのも、おそろしいものです。
25. いままでしずかだったさばくに、とつぜん風がふきだすと、
砂ぼこりで、まえをあるいている、なかまのすがたも、まったくみえなくなるほどです。
26. 【8】さばくに
砂山がおおいのは、この
砂あらしのためにできたものですが、その
砂山もひとつところにとまっていないで、どんどんうごいていきます。
27. へディンがしらべたところによると、タクラマカンのさばくでは一年のあいだに、五十メートルも
砂山がうごいていたということで∵す。
28. 【9】そのために、むかし、タクラマカンさばくの西のはしにさかえていた、たくさんの町が、
砂の下にうずまってしまいました。
29. この
砂の下にうずまった町については、ふるくから、いろいろとふしぎなことがつたえられていました。
30. 【0】そこには、たくさんの金や
銀がうずまっているのだが、だれひとりもちかえったものがいない。というのは、このさばくには、おそろしい王がいて、人びとが金や
銀をさがしだしてよろこんでかえろうとすると、道をまよわせて、金や
銀をもとのところへかえすまでは、さばくをでることをゆるさないというのです。
31.(「
世界ふしぎめぐり三年生」より
抜粋一部調整)