1.
地球は音よりはやい――
地球の
運動――
2. 【1】むかし、キリスト教の教会では
神さまが
世界をお作りになったとき、人間のすんでいる
地球をまん中にして、
太陽や、月や、星が、そのまわりをまわるようにしたのだとおしえていました。そして、そのころは、すべての人が、そうしんじていたのです。
3. 【2】コペルニクスは、長いあいだ、星をかんそくして、
4.(それはちがう。
太陽はうごかないでいて、
地球や、月や、そのほかの星が、
太陽のまわりを、ぐるぐるまわっているのだ。)
5.と、かんがえましたが、なかなかそれをいいだすことができませんでした。【3】というのは、そのころの教会の力は、たいそうつよくて、もしも、教会のおしえにそむくことをいったら、どんなひどいめにあわされるかしれなかったからです。
6. けれども、コペルニクスは、ゆうきをだして、じぶんの正しいとしんじていることを本にしようとけっしんしました。【4】が、その本ができあがったとき、コペルニクスは、びょうきで
死んでしまいました。
7. そのあと、コペルニクスのかんがえをせつめいしてあるいたブルーノという
学者は、火あぶりにされ、さんせいする本を書いたガリレオは、さいばんにかけられました。
8. 【5】このとき、ガリレオは、むりやりに、じぶんのかんがえをとりけさせられましたが、
9.「それでも、
地球はうごくのだ。」
10.と、つぶやいたということです。
11. こうして、
地球がうごくというかんがえは、教会のきびしいはんたいにあいながらもだんだんにみとめられてきたのです。【6】今では、
地球がうごいているということは、だれでも知っている、あたりまえのことですが、むかしは、こんなにもたいへんなことだったのですね。
12. さて、
地球はこのように
太陽のまわりをまわっているのですが、ひとまわりするのに、およそ三百六十五日かかります。
13. 【7】わたしたちが、ふだん一年とよんでいるのは、この、
地球が
太陽をひとまわりする時間をいっているのです。∵
14. それでは、
地球は、どれくらいのはやさで、走っているとおもいますか。
15. 【8】おどろいてはいけませんよ。一時間に、およそ十万キロというはやさで走っているのです。
特急「ひかり」が、いちばんはやく走っているときで、一時間に二百二十キロ、音よりはやいといわれる
ジェット機でも、一時間に千三百キロくらいのはやさですから、
地球のはやさとは、とてもくらべものになりませんね。
16. 【9】わたしたちは、そんなにはやく走っている
地球の上にいて、よくたおれないものだと、ふしぎにおもいますね。それは、
地球には、引力といって、ものをひきつける力があって、人間をひっぱっているから、たおれないのです。【0】
17.(「
世界ふしぎめぐり三年生」より
抜粋一部調整)