長文集  5月3週  ★牛のお通りで電車がとまる(感)  sa-05-3
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2012/06/15 08:09:23
 牛のお通りで電車がとまる――牛をうやま
うインドの人――

 【1】町のまん中で、なにかじけんがあっ
たのでしょうか。いままで走っていた電車が
とまってしまいました。自動車も、うごきま
せん。
 人ごみをのぞいてみますと、牛が二頭、一
頭は電車のせんろに、一頭はそれとならんで
、のんきな顔つきで、ねそべっています。
【2】「こまったなあ。はやくどいてもらわ
なくては、通ることができない。」
と、電車の車しょうも、自動車のうんてん手
も、こまった顔です。
 【3】つなをつけてひっぱるとか、ぼうで
おいはらったらよいとおもいますが、だれも
、そんなことをしようとおもわないようで 
す。
 【4】そのうちに、牛はゆっくりとおきあ
がって、町の大通り を、さんぽでもするよ
うに、のそのそとあるいていきました。電車
も、自動車も、なにごともなかったようにう
ごきだしました。
 【5】これは、日本のはなしではありませ
ん。インドのカルカッタという町での、でき
ごとなのです。
 インドでは、こういったことはたびたびみ
られます。【6】インドの人たちは牛をたい
へんだいじにします。だいじにするというよ
りも、牛を、神さまが、かりにすがたをあら
わしたものだとおもってうやまうのです。
 【7】ですから、カルカッタの町にはなん
百頭という牛が野ばなしで、まい日、のその
そとあるきまわっています。
 町の人たちは、まい朝、その牛に、たべも
のをささげます。
 【8】ときには、牛が店さきのたべものな
どを、しっけいすることもありますが、それ
でも、おこって牛をおいはらうようなこと 
は、けっしてしません。牛が、通り道にねこ
ろんで、通りをふさいだりしていても、牛が
うごきだすまで、のんびりと、まっているの
です。
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 【9】インドでは、たいていの人がヒンズ
ー教というおしえをしんじていますが、ヒン
ズー教のしん者(じゃ)たちは、牛ほどやく
にたつ動物はないとおもっているのです。【
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(「世界ふしぎめぐり三年生」より抜粋)