1.【長文が二つある場合、読解問題用の長文は一番目の長文です。】
2. シベリアやアラスカといった、
寒さの
厳しい地方で
暮らす人々は、古くから、人や
物を
運ぶために、犬ぞりを
使ってきました。シベリアン・ハスキーやサモエド、アラスカン・マラミュートといった
種類の、
寒さに強く、
力持ちの犬たちにそりを引かせるのです。これらの犬たちは、ふさふさした毛と
厚い脂肪を
持っているため、
北極の
氷の上で
眠っても
平気です。また、長い
距離を走っても
耐えられる、すぐれた体力の
持ち主です。
3. なかでもハスキー犬は、
探検家ピアリーやアムンゼンによる
北極や
南極探検に
使われ
有名になりました。また、ドッグレースや犬ぞりレースで、いつも
優秀な
成績を
収めていました。
4. あるとき、アラスカのノームという町に、ジフテリアという
恐ろしい病気がはやりました。
現在では多くの国で
予防接種が行われているので、ジフテリアはほとんど
流行することがありません。しかし、当時はまだ、おおぜいの人が
死ぬこともある
怖い病気でした。ジフテリアの
症状を
抑えるには、ワクチンという
薬が
必要ですが、この時ノームの町では、ワクチンが
底をついてしまいました。あまりに
患者が多かったからです。このままでは、人々がどんどん
死んでしまいます。
5. ノームの町からアラスカ
州の
政府があるアンカレッジに、
助けを
求める連絡が入りました。すぐにでも、ワクチンを
送らなければなりません。しかし、その時はとても天気が
悪く、
猛吹雪が
続き、
飛行機を
飛ばすことができません。
自動車でさえ走れないようなひどい
嵐です。ワクチンをラクチンに
運べるような
状況ではありませんでした。
6. 「そうだ。犬ぞりで
運ぼう。」
政府は、そう
決断しました。そして、すぐさま村々に
連絡が行きました。ただちに二十の犬ぞりチームが、ワクチンを
届けるために
準備をしました。
7. 外は、マイナス五十
度にもなる
厳しい寒さと、
荒れ狂う吹雪で∵す。この中を、二十の犬ぞりチームは五日間かけて走り通し、ワクチンは
無事にノームに
届けられたのです。このおかげで、数百人の
命が
救われました。
8. このときの
働きをたたえて、ハスキー犬の
銅像が、ニューヨークのセントラル・パークに立てられています。また、この
出来事を
記念して、毎年、
世界でいちばん
難しくいちばん長い犬ぞりレースがアラスカで行われるようになりました。このレースは、アンカレッジからノームまでを人間一人と犬たち十数
匹で走るレースです。ふつう、ゴールするのに三週間くらいかかるそうです。
9. 犬たちのがんばりも
相当なものですが、人間の
根性もたいしたものです。こんなに
大変なレースの後では、犬たちに
号令をかけ
続けた人間の声もしわがれて、きっと「ハスキー・ボイス」になってしまうことでしょう。
10.
寒い地方で
使われる犬ぞりのほかに、日本にもさまざまなそりがあります。
有名なところでは、エビぞり、ひげそり、のっそり、ごっそり、もっそり、こっそり、ひっそり、げっそり、などです。
11.
言葉の森
長文作成委員会(τ)∵
12. 【1】
哺乳類の赤ちゃんは、母親からミルクを
与えられて
育ちます。
動物のミルクの
成分は、みな同じではなく、それぞれに
特徴があります。【2】たとえば、オランウータンやチンパンジーなどは、母親がいつも
子供のそばにいてミルクを
与えることができる生活をしているので、ミルクは
薄く、
たんぱく質と
脂肪が少なくなっています。
13. 【3】ところが、ライオンなどの
狩りに出かける
動物は、母親が何時間も
留守にするため、その間は
子供にミルクを
与えることができません。長時間
子供のお
腹を
満たしておく
必要があるので、ミルクは
濃く、
たんぱく質と
脂肪をたくさん
含んでいます。
14. 【4】また、
寒い地方や水中にすむ
動物は、
体温をうばわれないように、
皮膚の下にたくさんの
脂肪をたくわえています。この
仲間であるアザラシやアシカのミルクはとても
濃く、
脂肪がたくさん
含まれています。
15. 【5】クジラやイルカの赤ちゃんは、水中でミルクを
飲みますが、まだ赤ちゃんなので長時間もぐっていることができません。そこで、
短い時間でもたくさんの
栄養を
取れるように、やはり
濃いミルクになっています。
16. 【6】人間のお
腹の
中には、たくさんの
細菌がすんでいて、その中には
役に立つものと
病気のもとになるものがあります。赤ちゃんのお
腹の
中にも、生まれて間もなく、さまざまな
細菌がすみつきはじめます。【7】
母乳には、赤ちゃんにとって
役に立つ微生物が
増えるための
成分や、
病気のもとになる
細菌を
増やさないようにする
成分が入っていて、赤ちゃんの
健康を
保つ大きな
役割りを
果たしています。
17. 【8】赤ちゃんが生まれて間もないころの
母乳は、
初乳と
呼ばれています。人間の体には、外から入ってきた
病気のもとを
撃退するための
免疫というシステムがありますが、生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ
免疫を
十分に
持っていません。【9】
初乳には、お母さんが∵
持っている
免疫物質がふくまれていて、それが赤ちゃんの体の中で
吸収されて、いろいろな
病気から赤ちゃんを
守っているのです。
18. おっぱいには、このようにいろいろなものがいっぱい入っています。
19. 【0】しかし、赤ちゃんが大きくなり、自分で
ご飯が食べられるようになると、やがて赤ちゃんは自分の力で生きていくようになります。
20. そこで、「おっぱいさん、グッパーイ」となるわけです。
21.
言葉の森
長文作成委員会(κ)