長文集  6月1週  ○地球と月のひっぱりっこ(感)  sa-06-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2017/03/14 09:52:19
【長文が二つある場合、音読の練習はどちら
か一つで可。】
【1】「やった! 跳べた。」
 高田さんが跳べたとき、クラス中のみんな
がざわめきました。高田さんはそのまま動き
ません。じっと立っています。女子が何人か
かけよりました。うれしそうな声をあげなが
ら、高田さんの肩をゆすったり、背中をたた
いたりしています。【2】やっと、高田さん
が顔をあげてこちらを向きました。
「みんな、ありがとう。」
 とても小さな声で、あまり聞きとれません
でしたが、確かに口がそう動きました。誰か
らともなく拍手が起こります。パチパチパチ
パチ。【3】このクラスで最後の体育の授業
、ずっと跳び箱を跳べなかった高田さんがつ
いに跳んだのです。クラスの誰もが待ち望ん
でいた瞬間でした。
 跳び箱の授業は、二月に入ってから始まり
ました。【4】みんなが大はしゃぎで段を上
げている中で、高田さんは何度跳んでも、跳
び箱にまたがって止まってしまうのでした。
「まだ、跳べないの。」
と言う人もいました。跳ぶ前に、
「ドッスーン。」
などとからかう人もいました。【5】もし、
ぼくが高田さんだったら、とっくに、できな
いと言って投げ出してしまったことでしょ 
う。
 しかし、高田さんは、あきらめませんでし
た。何度も何度も挑戦していました。【6】
放課後、先生と練習している日もありまし 
た。その姿に、それまで冷やかしたり笑った
りしていた人も、だんだん応援するようにな
ったのです。
 やがて体育は次の種目になりましたが、特
別に高田さんのために跳び箱が用意されまし
た。【7】高田さんは、毎回黙々と練習して
いました。クラスでいちばん早く七段を跳べ
るようになった川上君が、何度もアドバイス
していました。∵
「踏み切りが大事だから。そう、もう一回や
ってみて。」
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 【8】また、女子は声をそろえて、
「惜しい!」
「もう少し!」
と声をかけました。先生の出る幕は、もうな
いくらいでした。
 チャイムが鳴って、体育の時間が終わりま
した。みんなで高田さんを取り囲むようにし
て、体育館をあとにしました。【9】高田さ
んの顔は、まだ真っ赤だけれど、何だか輝い
ているように見えました。やればできる。が
んばればできないことなんかない、という声
がどこからか聞こえてくるようでした。【0


(言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 
φ)∵
 地球と月のひっぱりっこ――みち潮とひき
潮――

 【1】春になると、みなさんのなかには、
おとうさんやおかあさんにつれられて、潮ひ
がりにいく人もあることでしょう。
 潮ひがりは、たのしいものですね。
 【2】ふだん水のあるときには、貝がみえ
ないのに、潮がひく と、くまでで、ちょっ
とかいただけで、いくらでも、貝がでてくる
のですからね。
 海の水は、へいきんして一日に二かいずつ
、みちたり、ひいたりしています。【3】そ
れは、まるで、海がゆっくりといきをしてい
るみたいです。
 どうして、こんなことがおこるのでしょう
か。
 潮のみちひは、月や太陽が、海の水をさか
んにひっぱるために、おこるのです。
 【4】地球の運動のところで、引力のこと
をお話ししましたが、地球ばかりでなく、太
陽でも月でも、そのほかの星でも、すべての
ものはたがいにひっぱりあっています。【5
】引力は大きなものほどつよいのですが、近
くにあるものは、小さくても、遠くにあるも
のより、つよく引力をはたらかせます。
 【6】たとえば、太陽の引力は、月よりは
るかに大きいのです が、地球からのきょり
がずっと遠いので、海の水をひっぱる力は、
小さな月のほうが、太陽より二ばい半もつよ
いのです。
 【7】ですから、潮のみちひは、おもに月
の引力のためにおこるとかんがえて、さしつ
かえありません。
 月のひっぱる力は、近いところにあるもの
ほどつよくはたらきます。【8】ですから、
地球の上で、月とむかいあっているところに
は、月の引力がいちばんつよくはたらき、海
の水が月のほうへひっぱられてもりあがり、
みち潮となります。【9】これにたいして、
地球の上で月と反対のがわにあるところは、
月からいちばんはなれているので、月の引力
はいちばんよわくなっていますが、ここで 
は、月とはんたいのほうこうに、地球の遠心
力がつよくはたらいているので、月とはんた
いのほうへ海の水がもりあがって、やはり、
みち潮となります。【0】∵

(「世界ふしぎめぐり三年生」より抜粋)