1.【長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。】
2.【1】「やった!
跳べた。」
3. 高田さんが
跳べたとき、クラス中のみんながざわめきました。高田さんはそのまま
動きません。じっと立っています。女子が何人かかけよりました。うれしそうな声をあげながら、高田さんの
肩をゆすったり、
背中をたたいたりしています。【2】やっと、高田さんが顔をあげてこちらを
向きました。
4.「みんな、ありがとう。」
5. とても小さな声で、あまり聞きとれませんでしたが、
確かに口がそう
動きました。
誰からともなく
拍手が
起こります。パチパチパチパチ。【3】このクラスで
最後の
体育の
授業、ずっと
跳び箱を
跳べなかった高田さんがついに
跳んだのです。クラスの
誰もが
待ち望んでいた
瞬間でした。
6.
跳び箱の
授業は、二月に入ってから
始まりました。【4】みんなが大はしゃぎで
段を上げている中で、高田さんは何
度跳んでも、
跳び箱にまたがって止まってしまうのでした。
7.「まだ、
跳べないの。」
8.と言う人もいました。
跳ぶ前に、
9.「ドッスーン。」
10.などとからかう人もいました。【5】もし、ぼくが高田さんだったら、とっくに、できないと言って
投げ出してしまったことでしょう。
11. しかし、高田さんは、あきらめませんでした。何
度も何
度も
挑戦していました。【6】
放課後、先生と
練習している日もありました。その
姿に、それまで
冷やかしたり
笑ったりしていた人も、だんだん
応援するようになったのです。
12. やがて
体育は
次の
種目になりましたが、
特別に高田さんのために
跳び箱が
用意されました。【7】高田さんは、毎回
黙々と練習していました。クラスでいちばん早く七
段を
跳べるようになった川上
君が、何
度もアドバイスしていました。∵
13.「
踏み切りが
大事だから。そう、もう一回やってみて。」
14. 【8】また、女子は声をそろえて、
15.「
惜しい!」
16.「もう少し!」
17.と声をかけました。先生の出る
幕は、もうないくらいでした。
18. チャイムが鳴って、
体育の時間が
終わりました。みんなで高田さんを
取り囲むようにして、
体育館をあとにしました。【9】高田さんの顔は、まだ
真っ赤だけれど、何だか
輝いているように見えました。やればできる。がんばればできないことなんかない、という声がどこからか聞こえてくるようでした。【0】
19.(
言葉の森
長文作成委員会 φ)∵
20.
地球と月のひっぱりっこ――みち
潮と
ひき潮――
21. 【1】春になると、みなさんのなかには、おとうさんやおかあさんにつれられて、
潮ひがりにいく人もあることでしょう。
22.
潮ひがりは、たのしいものですね。
23. 【2】ふだん水のあるときには、貝がみえないのに、
潮がひくと、くまでで、ちょっとかいただけで、いくらでも、貝がでてくるのですからね。
24. 海の水は、へいきんして一日に二かいずつ、みちたり、ひいたりしています。【3】それは、まるで、海がゆっくりといきをしているみたいです。
25. どうして、こんなことがおこるのでしょうか。
26.
潮のみちひは、月や
太陽が、海の水をさかんにひっぱるために、おこるのです。
27. 【4】
地球の
運動のところで、引力のことをお話ししましたが、
地球ばかりでなく、
太陽でも月でも、そのほかの星でも、すべてのものはたがいにひっぱりあっています。【5】引力は大きなものほどつよいのですが、近くにあるものは、小さくても、遠くにあるものより、つよく引力をはたらかせます。
28. 【6】たとえば、
太陽の引力は、月よりはるかに大きいのですが、
地球からのきょりがずっと遠いので、海の水をひっぱる力は、小さな月のほうが、
太陽より二ばい半もつよいのです。
29. 【7】ですから、
潮のみちひは、おもに月の引力のためにおこるとかんがえて、さしつかえありません。
30. 月のひっぱる力は、近いところにあるものほどつよくはたらきます。【8】ですから、
地球の上で、月とむかいあっているところには、月の引力がいちばんつよくはたらき、海の水が月のほうへひっぱられてもりあがり、みち
潮となります。【9】これにたいして、
地球の上で月と
反対のがわにあるところは、月からいちばんはなれているので、月の引力はいちばんよわくなっていますが、ここでは、月とはんたいのほうこうに、
地球の遠心力がつよくはたらいているので、月とはんたいのほうへ海の水がもりあがって、やはり、みち
潮となります。【0】∵
31.(「
世界ふしぎめぐり三年生」より
抜粋)