長文 4.1週
1.【長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。】
2.【1】「また、止まってる。」
3. お母さんが
部屋に入ってきました。二年生のときの絵や作文、
写真などがいろいろなところから出てくるたび、
私は
片付けの手を止めてしまいます。
4.【2】「ちょっと思い出にひたっていただけ。」
5.と
言い訳をしましたが、
机の上には、たくさんのプリントや本や教科書が山のようになっています。
6.「思い出もいいけれど、これじゃあ夜までかかっても
終わらないわよ。」
7.【3】「
大丈夫、
大丈夫。ちゃんと
終わるって。」
8.「そう。
桃子おばちゃんたちとお
食事に行くから早く
終えてね。」
9. 春休みなので、親せきの
桃子おばちゃんたちと
夕飯を食べに行く
約束をしています。【4】それも、
私の
大好きなイタリアンだというではありませんか。もし、
終わらなくて、行けなくなったら
大変です。
私は
急に
心配になって、
次々と
要らなそうなプリントを
ゴミ箱に
捨て始めました。
10. 【5】すると、プリントにまじって、クラスのひとみちゃんがかいたイラストが出てきました。ひとみちゃんは、絵が上手で、いつもアニメの
主人公などをかいてくれるのです。うまいなあ。あっ、また手が止まった。【6】
私は、はっとして、
片付けを
続けました。教科書をまとめて
壁の
本棚に
移し、ノートは
押入れの中に入れました。テストは百点のと九十点のを上にして、
箱にしまいました。
11.
机の上の山がだいぶ
片付いてくると、
今度は細かいものが目につき
始めました。【7】下の方が
欠けてしまったキラキラの
鉛筆のキャップや、切れてしまったうさぎのヘアゴム、キティちゃんのメモの切れはし。どうしてこんなものをとってあったのだろうというものばかりです。【8】まったく、
要らないものはちゃんと
捨ててよね、と自分に言いたくなりました。∵
12.
机の上がきれいになり、
本棚にも新しい教科書を入れるスペースができると、
私はすがすがしい気分になってきました。【9】まるで、だれか
他人の
部屋に来たような
感じがします。その上、
勉強もがんばりたくなってきたから
不思議です。やっぱり
大事なのは
環境だなと
私は思いました。これで、おばちゃんたちとのお
食事にも行けそうです。【0】
13.(
言葉の森
長文作成委員会 φ)∵
14. 【1】
昔、田んぼにはナマズやドジョウなどの
生き物がたくさんすんでいました。しかし、
戦後、これらの
生き物は
急速に
減ってしまいました。その
原因の一つは、田んぼの
水路がコンクリートなどで
固められたために
生き物がすみにくくなったことです。【2】もう一つの
原因は、田んぼに、強い
農薬がまかれたためにやはり
生き物がすみにくくなったことです。
15. 田んぼには、
稲を弱らせてしまう虫が
発生します。たとえば、ウンカです。【3】
梅雨のころ、雲に
乗って中国からやってくるウンカは、日本の田んぼで数を
増やし、
稲の
汁を
吸ってつぎからつぎへと
枯らしてしまいます。ひどいときは、田んぼの
稲が
全滅してしまうほどです。今年もウンカの大
発生か。【4】ウンカ
悪いなあなどと言ってはいられません。またヨコバイも、
稲に
病気をうつすやっかいな虫です。
農薬をまくことで、一時
的に
害虫の力を
抑えて
増え方を
横バイにすることはできますが、虫たちが
農薬に
抵抗性を
持ち、やがて前よりも
農薬に強くなってしまうという
問題があります。
16. 【5】また、
農薬をまいたあと、
逆にウンカが大
発生してしまうこともあります。その
理由は、
農薬によって、ウンカやヨコバイを食べるクモやアメンボなどの
天敵が
減ってしまうからです。
17. 【6】そこで、
農薬を
使わないで
稲を
育てる方法がいろいろと考えられてきました。その一つは、小ブナを田んぼに
泳がせることで、
害虫を食べてもらったり、
草取りを
手伝ってもらったりする
方法です。【7】
草取りは
農家にとってはたいへんな
重労働ですが、コイやフナが田んぼを
泳ぎまわっていると、水がかきまわされてにごるので、
雑草が生えにくくなるのです。小ブナのおかげで、
農薬もほとんど
使わずにすみます。
18. 【8】田んぼにアイガモを
飼って、
害虫を食べさせるという
方法もあります。アイガモは、
稲の
天敵であるウンカの
卵まで食べてし∵まうので、
殺虫剤は
不要です。
雑草は、水かきでけられたり、食べられたりして、生えてこなくなります。【9】その上、アイガモのふんは、とてもいい
肥料になるので、
化学肥料をやらなくてもすむのです。まさに一石二鳥。アイガモを
使う方法はいかがですか。「あ、いいカモ!」【0】
19.
言葉の森
長文作成委員会(κ)
長文 4.2週
1. ねむって冬をこす
動物――くまやかえるの冬みん――
2. 【1】冬のころ、はたけや、にわの土をほりかえすと、中から、かえるやとかげなどがでてくることがありますね。
3. 【2】いいきもちでねていたところを、おこされたといわんばかりに、目をぱちくりさせて、あわててまた土の中にもぐりこみます。
4. 【3】かえるや、とかげは、こうやって、冬のあいだ、土の中でねむっているのです。
5. 長い冬のあいだじゅう、ずっとねむりとおすなんて、ずいぶんねぼうですが、これは、どういうわけなのでしょう。
6. 【4】かえるやとかげは、まわりの
温度につれて、からだの
温度がかわるという、きみょうなせいしつをもっています。ですから、冬になってあたりがさむくなると、じぶんたちの体おんも、きゅうにさがるのです。
7. 【5】そうなると、もう、かつどうすることができません。あたたかいあなや土の中にもぐって、じっとしているのです。【6】こきゅうも、ゆるやかになり、
血のめぐりも、ほとんどとまっているといってよいくらいです。たべものは、もちろんたべません。
8. 【7】はんぶん
死んだようなようすで、冬をこすのです。これを、冬みんといいます。
9. このほかに、りすや、やまねなども、冬じゅう、木のほらでねむってすごします。
10. 【8】小さな
動物ばかりではありません。おどろいたことに、あの大きなくまも、冬じゅう、あなの中でねむっているのです。
11. これは、かえるや、とかげのように、からだがひえるためではありません。【9】冬になると、ありや、かになど、くまの大すきなたべものが、そのへんにいなくなるし、木のみなどもなくなりますから、秋のうちに、たくさんたべておいて、冬のあいだは、あなにはいって、じっとしているわけなのです。【0】
12.(「
世界ふしぎめぐり三年生」より
抜粋)
長文 4.3週
1. たびをする草や木のみ――たんぽぽややしのみ――
2. 【1】みなさんは、もう学校でならって、知っているでしょうか。
植物のたねのなかには、たびをするものがあるのですよ。
3. いろいろのたねがたびをしますが、いちばんたのしそうなのは、たんぽぽの空中りょ行でしょうね。
4. 【2】春、たんぽぽの花がさききってしまうと、花びらがちったあとに円いわたのような白いものがのこります。
5. やがて風がふくと、一本一本のわた毛が、ふわり、ふわりと、空にまいあがるのです。そのわた毛の下には、ひとつずつ、たねがついています。
6. 【3】きもちよさそうに、空をとんでいったたんぽぽのわた毛は、風しだいで、たんぼのあぜにおりたり、みなさんのおうちをのぞいて、にわにおりたりします。
7. そして、そこの
地面にこしをおろして、あくる年の春、めをだし、花をさかせるのです。
8. 【4】海をたびする
植物には、やしのみがあります。やしのみは、みなさんの頭くらいあります。
9.
海岸などに生えていますので、海の中におちたものが、ふわりふわりと、海のたびをして、遠い遠い
島にながれつき、そこで、めをだすことがあります。
10. 【5】人間のきものなどにくっついて、はこばれるのは、いのこづち、ぬすびとはぎなどの草のみです。
11. みなさんが、きれいな花をとろうとおもって、やぶの中にはいると、きものにいっぱいついて、なかなかとれない草のみがあるでしょう。【6】それが、いのこづちや、ぬすびとはぎのみなのです。こうして、ほうぼうへつれていってもらって、めをだすばしょをみつけるのです。
12. きみじかなのは、ほうせんかのたねでしょう。
13. 花がちって、あとにみができます。【7】みなさんが、たねをとろうとおもって、ちょっと手をかけでもすると、パチンと、すごいいきおいで、かわがはじけて、中のたねは、四方八方へ、とびちってしまいます。
14. 【8】ひとところへ、たくさんのたねがおちたのでは、めがでてから、おたがいに、ようぶんをとりっこしたり、
太陽のひかりをうけられないものができたりしますから、できるだけ、いきおいをつけて、遠くへちらばってとぶのです。∵
15. 【9】てっぽううりも、これとおなじようなことをします。
16. たまはじきだけというきのこも、なん万こという
胞子のはいっているたねを、音をたててはじきだします。
17. 【0】それでは、このように、じぶんの力でりょ行できない木のみ――たとえば、かきのみなどは、どうするのでしょうか。
18. これらのみは、鳥にたべてもらって、ふんといっしょに
地面に
落ちて、めをだします。かきのみや、なんてんのみなどが、じゅくして、うつくしく色づくのは、鳥にはやくたべてもらいたいからだといえましょう。
19. こうしてみると、
植物のたねのたびは、たのしいハイキングや、遠足ではなくて、めをだすばしょをさがしてあるく、ひっこしなのですね。
20.(「
世界ふしぎめぐり三年生」より
抜粋)
長文 4.4週
1.【長文が二つある場合、読解問題用の長文は一番目の長文です。】
2.
大昔の鳥の
祖先は、ほかの
動物と同じように四本足を
使って歩いていました。長い年月のあいだに、前足が
翼に
進化し、今のように空を
飛べるようになったのです。鳥は、
爬虫類の
仲間から
進化してきたので、トカゲの前足の
骨組みと鳥の
翼の
骨組みは、たいへんよく
似ており、この二つをくらべると、前足が
翼に
変わったことがよくわかります。また、前足だけではなく、体をおおっている羽毛の
一部も
翼に
変わりました。風に
向かって
進むと、何
枚も
重なった
風切羽によって、鳥は体を空中に
浮かせることができます。
3. しかし、
翼だけがいくら
立派でも、
飛ぶことはできません。
翼を
動かす部分も
大事です。鳥の
胸の
骨には大きな
出っ張りがあり、
船底のような形をしています。そこに、
翼をはばたかせる
筋肉がついています。鳥の
胸の
筋肉は、たいへん
発達しており、この
筋肉の力で大きな
翼をはばたかせることができます。
4.
自由に空を
飛ぶためには、体が
重くてはいけません。
普通、体を作っているもので、いちばん
重いのは
骨です。そこで鳥の
骨は、竹のように中が
空洞になっていたり、スポンジのようにスカスカになっているなど、体を
軽くするための
工夫が見られます。しかし、スカスカの
骨といっても、すぐ
折れてしまうような弱いものではなく、たいへんかたくて
丈夫にできています。
5. また、体
全体を
軽くするために、
骨の数も少なくなっています。あごの
骨は
歯と
一緒になって、くちばしに
変わりました。
歯がないため、鳥は
食べ物をすべて丸のみにしてしまいます。「
鵜のみ」にするのは、
鵜だけではなかったということです。ただ、そのままではたいへん
消化が
悪いので、おなかの中で食べた
物を
砕くことができるようになっています。その
役目をするのが
砂肝です。
砂肝は
砂嚢とも
呼ばれ、その名のとおり
砂が入っています。
砂粒によって∵
食べ物をすりつぶすのです。
6.
変わっているのはくちばしだけではありません。
背骨の数も少なくなっていて、しかも
棒のようにまっすぐです。首が
自由に
動くのに
比べて、
背骨は
自由な
動きがほとんどできません。
羽づくろいをする鳥を見ると、体
全体をひねることができないので、首だけをぐるりとうしろに回しています。しかし、そのおかげで、空を
飛ぶときに体が
安定する上、
離着陸の
衝撃から体
全体が
守られるようになったのです。
7. 体を
軽くしなくてはいけない一方で、鳥は
飛ぶために多くのエネルギーを
必要とし、どんどん
食べ物を食べなくてはなりません。そこで鳥は、食べてすぐエネルギーに
変わるような
食物をとるようになりました。多くの鳥は草食ではなく肉食です。
植物性のものを食べる鳥もいますが、
種子や
果実など、すぐにエネルギーになるものを食べます。
8. 鳥は、少しでも体を
軽くするために、もう一つ
工夫をしています。それは、フンをためこまないということです。もし、鳥が
便秘になったら
大変なことです。フンの
重さで
飛べなくなってしまうからです。公園などでハトにフンをかけられてハッと
驚いても、「フン!」などと
憤慨せずに、「フーン、
飛ぶためには
仕方がないのだな」と
優しく理解してあげましょう。
9.
言葉の森
長文作成委員会(κ)∵
10. 【1】
冷蔵庫がまだあまり
普通の
家庭にはなかったころ、
冷蔵庫には、
毒があって
危険な
物質が
使われていました。この
物質は、
液体からガスに
変わるときに
周りを
冷やす性質を
持っていました。
11. 【2】しかし、このように
危険な
物質を、
家庭におく
冷蔵庫に
使うわけにはいきません。そこで、何かいい
方法はないものかと、
研究が行われました。その
結果、フロンという新しい
物質が見つかりました。
12. 【3】フロンは、色も
匂いもない
物質で、
安定した
性質を
持っています。
性質が
安定しているということは、ほかのものといっしょにしても、ほとんど
反応を
起こさないということです。また、
燃えることもないので、
火事の
心配がありません。【4】さらに、
簡単に
液体にしたりガスにしたりできるので、
取り扱いも楽です。そして、
安く作ることができるのも、大きな
長所でした。
13. こうして、フロンは「20
世紀最大の
発明」として
歓迎され、
世界中で
使われるようになっていきました。【5】フロンは、まさに
時代のフロンティア(
最前線)でした。
14. 日本では
特に、
精密機械の工場で、
部品を
洗うのに
使われました。
普通の水にはゴミやほこりが
溶けこんでいるため、
精密機械の工場では
使えなかったのです。
15. 【6】しかし、こんなに
長所ばかりがあると思われたフロンに、
意外な
欠点があることがわかってきました。
地球の上空にあるオゾン
層を、フロンが
破壊するということがわかってきたのです。
16. 【7】フロンの
長所である
安定した
性質が、
逆に
欠点にもなっていたのです。フロンは
壊れにくく、ほかのものと
反応もしないため、そのままガスとなって空気中に出て行きます。【8】そして空の高いところまで行くと、
太陽の強力な
紫外線によって
初めて分解されることになります。そのときに、フロンから出た
塩素がオゾン
層を
壊していくのです。∵
17. 【9】オゾン
層は、
太陽の強力な
紫外線から
地球上の
生き物を
守っているバリアのようなものです。このバリアが
壊されると、
紫外線が
地球上に
降り注ぎ、
生き物に大きな
害を
与えます。【0】こうして、ヒーローだったはずのフロンは、いつの間にか
悪者になってしまいました。
18. しかし、人間が
破壊したものは、人間の手によって
修復できるはずです。オゾン
層を
破壊することは、人間にとってオーゾン(
大損)ですから、今、
世界中でオゾン
層を
守る対策が
進められています。
19.「フロンさん、元気出してね。
君が
悪いわけじゃなく、たまたまオゾン
君と
仲が
悪かっただけなんだから。」
20.「うん、フロン、がんばる。フロンでも(ころんでも)ただでは
起きないわ。」
21.「そう。オゾン
君も、だんだん元気が出てきたようだから。」
22.「オイゾンも、これからがんばって、
紫外線からみんなを
守るでごわす。」
23. フロー、フロー、オゾン!
24.
言葉の森
長文作成委員会(τ)
長文 5.1週
1.【長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。】
2.【1】「ゴホッ、ゴホッ、エッヘン。」
3. お母さんがひどい
風邪を引きました。
咳と
鼻水、それに
熱もあるのです。
昨日から
寝込んでしまいました。それで、
仙台のおばあちゃんが
手伝いに来てくれました。【2】でも、おばあちゃんは、年をとっているし、うちの
台所に
慣れていないので、お母さんの
代わりを一人でやるのは
大変です。だから、ぼくは学校から帰ると、朝お父さんに言われたとおり、
お手伝いをすることにしました。
4. 【3】ぼくは、おばあちゃんが
洗濯物を入れに二
階へ行っている間、赤ちゃんの
美咲のめんどうを見ることにしました。
美咲は、
普段は
機嫌がいいのですが、お母さんがかまってくれないので、ぐずぐず
泣いてばかりいます。【4】ぼくは、
美咲のベッドのところへ行って、ぬいぐるみを見せたりガラガラを鳴らしたりしました。
5. しばらく
遊んでいると、
美咲はスースーと
鼻を鳴らして
眠り始めました。そこで、ぼくは、
次の
仕事に
取りかかりました。【5】おばあちゃんが
取り込んだ
洗濯物をたたむのです。
下着やシャツ、
美咲の
肌着など、いろいろなものがあります。ぼくは、まるでお
店屋さんのような手つきでどんどんたたんでいきました。中には、形が
複雑でむずかしいものもあったけれど、どうにか
工夫してたたみました。
6.【6】「しょうちゃん、
味見をしてちょうだい。」
7.と、おばあちゃんが
味見用の
小皿をぼくにわたしました。
煮物のいいにおいがただよっています。
8.「うん、ちょっとうすいかな。」
9. ぼくは、
小皿を
返しながら言いました。
煮物の中のニンジンは、ぼくが切ったものです。∵
10. 【7】
食事がすんで、お
皿を
洗うのもぼくがやりました。
洗剤が
残っていたら体によくないので、しっかりとすすぎました。それが
終わると、おばあちゃんと
一緒にお
風呂に入ってきた
美咲に、パウダーをつけたり
服を
着せたりする
仕事です。【8】お
風呂が
大好きな
美咲は、とてもうれしそうに元気いっぱい手足を
動かしています。だから、そでに手を通すだけでも
一苦労でした。ようやく
身支度ができると、
散らばったバスタオルやおむつを
片付けて、
湯冷ましを
飲ませます。
11.【9】「しょうちゃん、ありがとう。よく
手伝ってくれるのねえ。三年生っていうのは、こんなにいろいろできるんだね。」
12.
寝る前に、おばあちゃんが
感心したように言いました。ぼくは、今日は
遊びをがまんして、がんばってよかったなと思いました。【0】
13.(
言葉の森
長文作成委員会 φ)∵
14.
砂にうずまった町――おそろしいさばくのあらし――
15. 【1】わたしたちのすんでいる日本には、山があって、また野原があって、木が青あおとしげり、きれいな水がながれています。
16. ところが、この
地球上には、木も生えなければ花もさかないし、水もない、さばくというところがあります。
17. 【2】さばくというと、みなさんは、はてしなくつづく、たいらな
砂原をかんがえるかもしれませんが、かならずしも、そうではありません。
18. 【3】さばくには、大きな
砂山が、なみのうねるようにつらなっていたり、大小の石や岩がつみかさなっていたり、ごつごつした岩はだがあらわれていたりして、たいらな
砂原はすくないくらいです。
19. 【4】さばくのりょ行で、こまるのは、あついことです。日かげはないし、
砂はやけているし、
太陽のでているあいだは、とても、あるいてなどいられません。
20. 【5】へディンは、夜のうちにあるいて、昼まは、
砂にあなをほり、その中にねることにして、たびをつづけていきました。
21. 昼まのあつさにひきかえて、さばくの夜は、はんたいに、ぐっと
温度がさがります。【6】ときには、れい
度よりもひくくなり、しもがふることさえあります。
22. ですから、さばくをりょ行する人たちは、たいてい毛おりのきものをきて、毛おりのぬのを頭にまいています。
23. これは、昼まは、つよい日ざしをさけ、夜は、さむさをふせぐためなのです。
24. 【7】さばくでは、
砂あらしというのも、おそろしいものです。
25. いままでしずかだったさばくに、とつぜん風がふきだすと、
砂ぼこりで、まえをあるいている、なかまのすがたも、まったくみえなくなるほどです。
26. 【8】さばくに
砂山がおおいのは、この
砂あらしのためにできたものですが、その
砂山もひとつところにとまっていないで、どんどんうごいていきます。
27. へディンがしらべたところによると、タクラマカンのさばくでは一年のあいだに、五十メートルも
砂山がうごいていたということで∵す。
28. 【9】そのために、むかし、タクラマカンさばくの西のはしにさかえていた、たくさんの町が、
砂の下にうずまってしまいました。
29. この
砂の下にうずまった町については、ふるくから、いろいろとふしぎなことがつたえられていました。
30. 【0】そこには、たくさんの金や
銀がうずまっているのだが、だれひとりもちかえったものがいない。というのは、このさばくには、おそろしい王がいて、人びとが金や
銀をさがしだしてよろこんでかえろうとすると、道をまよわせて、金や
銀をもとのところへかえすまでは、さばくをでることをゆるさないというのです。
31.(「
世界ふしぎめぐり三年生」より
抜粋一部調整)
長文 5.2週
1.
地球は音よりはやい――
地球の
運動――
2. 【1】むかし、キリスト教の教会では
神さまが
世界をお作りになったとき、人間のすんでいる
地球をまん中にして、
太陽や、月や、星が、そのまわりをまわるようにしたのだとおしえていました。そして、そのころは、すべての人が、そうしんじていたのです。
3. 【2】コペルニクスは、長いあいだ、星をかんそくして、
4.(それはちがう。
太陽はうごかないでいて、
地球や、月や、そのほかの星が、
太陽のまわりを、ぐるぐるまわっているのだ。)
5.と、かんがえましたが、なかなかそれをいいだすことができませんでした。【3】というのは、そのころの教会の力は、たいそうつよくて、もしも、教会のおしえにそむくことをいったら、どんなひどいめにあわされるかしれなかったからです。
6. けれども、コペルニクスは、ゆうきをだして、じぶんの正しいとしんじていることを本にしようとけっしんしました。【4】が、その本ができあがったとき、コペルニクスは、びょうきで
死んでしまいました。
7. そのあと、コペルニクスのかんがえをせつめいしてあるいたブルーノという
学者は、火あぶりにされ、さんせいする本を書いたガリレオは、さいばんにかけられました。
8. 【5】このとき、ガリレオは、むりやりに、じぶんのかんがえをとりけさせられましたが、
9.「それでも、
地球はうごくのだ。」
10.と、つぶやいたということです。
11. こうして、
地球がうごくというかんがえは、教会のきびしいはんたいにあいながらもだんだんにみとめられてきたのです。【6】今では、
地球がうごいているということは、だれでも知っている、あたりまえのことですが、むかしは、こんなにもたいへんなことだったのですね。
12. さて、
地球はこのように
太陽のまわりをまわっているのですが、ひとまわりするのに、およそ三百六十五日かかります。
13. 【7】わたしたちが、ふだん一年とよんでいるのは、この、
地球が
太陽をひとまわりする時間をいっているのです。∵
14. それでは、
地球は、どれくらいのはやさで、走っているとおもいますか。
15. 【8】おどろいてはいけませんよ。一時間に、およそ十万キロというはやさで走っているのです。
特急「ひかり」が、いちばんはやく走っているときで、一時間に二百二十キロ、音よりはやいといわれる
ジェット機でも、一時間に千三百キロくらいのはやさですから、
地球のはやさとは、とてもくらべものになりませんね。
16. 【9】わたしたちは、そんなにはやく走っている
地球の上にいて、よくたおれないものだと、ふしぎにおもいますね。それは、
地球には、引力といって、ものをひきつける力があって、人間をひっぱっているから、たおれないのです。【0】
17.(「
世界ふしぎめぐり三年生」より
抜粋一部調整)
長文 5.3週
1. 牛のお通りで電車がとまる――牛をうやまうインドの人――
2. 【1】町のまん中で、なにかじけんがあったのでしょうか。いままで走っていた電車がとまってしまいました。
自動車も、うごきません。
3. 人ごみをのぞいてみますと、牛が二頭、一頭は電車のせんろに、一頭はそれとならんで、のんきな顔つきで、ねそべっています。
4.【2】「こまったなあ。はやくどいてもらわなくては、通ることができない。」
5.と、電車の車しょうも、
自動車のうんてん手も、こまった顔です。
6. 【3】つなをつけてひっぱるとか、ぼうでおいはらったらよいとおもいますが、だれも、そんなことをしようとおもわないようです。
7. 【4】そのうちに、牛はゆっくりとおきあがって、町の大通りを、さんぽでもするように、のそのそとあるいていきました。電車も、
自動車も、なにごともなかったようにうごきだしました。
8. 【5】これは、日本のはなしではありません。インドのカルカッタという町での、できごとなのです。
9. インドでは、こういったことはたびたびみられます。【6】インドの人たちは牛をたいへんだいじにします。だいじにするというよりも、牛を、
神さまが、かりにすがたをあらわしたものだとおもってうやまうのです。
10. 【7】ですから、カルカッタの町にはなん百頭という牛が野ばなしで、まい日、のそのそとあるきまわっています。
11. 町の人たちは、まい朝、その牛に、たべものをささげます。
12. 【8】ときには、牛が店さきのたべものなどを、しっけいすることもありますが、それでも、おこって牛をおいはらうようなことは、けっしてしません。牛が、通り道にねころんで、通りをふさいだりしていても、牛がうごきだすまで、のんびりと、まっているのです。
13. 【9】インドでは、たいていの人がヒンズー教というおしえをしんじていますが、ヒンズー教のしん
者たちは、牛ほどやくにたつ
動物はないとおもっているのです。【0】
14.(「
世界ふしぎめぐり三年生」より
抜粋)
長文 5.4週
1.【長文が二つある場合、読解問題用の長文は一番目の長文です。】
2. シベリアやアラスカといった、
寒さの
厳しい地方で
暮らす人々は、古くから、人や
物を
運ぶために、犬ぞりを
使ってきました。シベリアン・ハスキーやサモエド、アラスカン・マラミュートといった
種類の、
寒さに強く、
力持ちの犬たちにそりを引かせるのです。これらの犬たちは、ふさふさした毛と
厚い脂肪を
持っているため、
北極の
氷の上で
眠っても
平気です。また、長い
距離を走っても
耐えられる、すぐれた体力の
持ち主です。
3. なかでもハスキー犬は、
探検家ピアリーやアムンゼンによる
北極や
南極探検に
使われ
有名になりました。また、ドッグレースや犬ぞりレースで、いつも
優秀な
成績を
収めていました。
4. あるとき、アラスカのノームという町に、ジフテリアという
恐ろしい病気がはやりました。
現在では多くの国で
予防接種が行われているので、ジフテリアはほとんど
流行することがありません。しかし、当時はまだ、おおぜいの人が
死ぬこともある
怖い病気でした。ジフテリアの
症状を
抑えるには、ワクチンという
薬が
必要ですが、この時ノームの町では、ワクチンが
底をついてしまいました。あまりに
患者が多かったからです。このままでは、人々がどんどん
死んでしまいます。
5. ノームの町からアラスカ
州の
政府があるアンカレッジに、
助けを
求める連絡が入りました。すぐにでも、ワクチンを
送らなければなりません。しかし、その時はとても天気が
悪く、
猛吹雪が
続き、
飛行機を
飛ばすことができません。
自動車でさえ走れないようなひどい
嵐です。ワクチンをラクチンに
運べるような
状況ではありませんでした。
6. 「そうだ。犬ぞりで
運ぼう。」
政府は、そう
決断しました。そして、すぐさま村々に
連絡が行きました。ただちに二十の犬ぞりチームが、ワクチンを
届けるために
準備をしました。
7. 外は、マイナス五十
度にもなる
厳しい寒さと、
荒れ狂う吹雪で∵す。この中を、二十の犬ぞりチームは五日間かけて走り通し、ワクチンは
無事にノームに
届けられたのです。このおかげで、数百人の
命が
救われました。
8. このときの
働きをたたえて、ハスキー犬の
銅像が、ニューヨークのセントラル・パークに立てられています。また、この
出来事を
記念して、毎年、
世界でいちばん
難しくいちばん長い犬ぞりレースがアラスカで行われるようになりました。このレースは、アンカレッジからノームまでを人間一人と犬たち十数
匹で走るレースです。ふつう、ゴールするのに三週間くらいかかるそうです。
9. 犬たちのがんばりも
相当なものですが、人間の
根性もたいしたものです。こんなに
大変なレースの後では、犬たちに
号令をかけ
続けた人間の声もしわがれて、きっと「ハスキー・ボイス」になってしまうことでしょう。
10.
寒い地方で
使われる犬ぞりのほかに、日本にもさまざまなそりがあります。
有名なところでは、エビぞり、ひげそり、のっそり、ごっそり、もっそり、こっそり、ひっそり、げっそり、などです。
11.
言葉の森
長文作成委員会(τ)∵
12. 【1】
哺乳類の赤ちゃんは、母親からミルクを
与えられて
育ちます。
動物のミルクの
成分は、みな同じではなく、それぞれに
特徴があります。【2】たとえば、オランウータンやチンパンジーなどは、母親がいつも
子供のそばにいてミルクを
与えることができる生活をしているので、ミルクは
薄く、
たんぱく質と
脂肪が少なくなっています。
13. 【3】ところが、ライオンなどの
狩りに出かける
動物は、母親が何時間も
留守にするため、その間は
子供にミルクを
与えることができません。長時間
子供のお
腹を
満たしておく
必要があるので、ミルクは
濃く、
たんぱく質と
脂肪をたくさん
含んでいます。
14. 【4】また、
寒い地方や水中にすむ
動物は、
体温をうばわれないように、
皮膚の下にたくさんの
脂肪をたくわえています。この
仲間であるアザラシやアシカのミルクはとても
濃く、
脂肪がたくさん
含まれています。
15. 【5】クジラやイルカの赤ちゃんは、水中でミルクを
飲みますが、まだ赤ちゃんなので長時間もぐっていることができません。そこで、
短い時間でもたくさんの
栄養を
取れるように、やはり
濃いミルクになっています。
16. 【6】人間のお
腹の
中には、たくさんの
細菌がすんでいて、その中には
役に立つものと
病気のもとになるものがあります。赤ちゃんのお
腹の
中にも、生まれて間もなく、さまざまな
細菌がすみつきはじめます。【7】
母乳には、赤ちゃんにとって
役に立つ微生物が
増えるための
成分や、
病気のもとになる
細菌を
増やさないようにする
成分が入っていて、赤ちゃんの
健康を
保つ大きな
役割りを
果たしています。
17. 【8】赤ちゃんが生まれて間もないころの
母乳は、
初乳と
呼ばれています。人間の体には、外から入ってきた
病気のもとを
撃退するための
免疫というシステムがありますが、生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ
免疫を
十分に
持っていません。【9】
初乳には、お母さんが∵
持っている
免疫物質がふくまれていて、それが赤ちゃんの体の中で
吸収されて、いろいろな
病気から赤ちゃんを
守っているのです。
18. おっぱいには、このようにいろいろなものがいっぱい入っています。
19. 【0】しかし、赤ちゃんが大きくなり、自分で
ご飯が食べられるようになると、やがて赤ちゃんは自分の力で生きていくようになります。
20. そこで、「おっぱいさん、グッパーイ」となるわけです。
21.
言葉の森
長文作成委員会(κ)
長文 6.1週
1.【長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。】
2.【1】「やった!
跳べた。」
3. 高田さんが
跳べたとき、クラス中のみんながざわめきました。高田さんはそのまま
動きません。じっと立っています。女子が何人かかけよりました。うれしそうな声をあげながら、高田さんの
肩をゆすったり、
背中をたたいたりしています。【2】やっと、高田さんが顔をあげてこちらを
向きました。
4.「みんな、ありがとう。」
5. とても小さな声で、あまり聞きとれませんでしたが、
確かに口がそう
動きました。
誰からともなく
拍手が
起こります。パチパチパチパチ。【3】このクラスで
最後の
体育の
授業、ずっと
跳び箱を
跳べなかった高田さんがついに
跳んだのです。クラスの
誰もが
待ち望んでいた
瞬間でした。
6.
跳び箱の
授業は、二月に入ってから
始まりました。【4】みんなが大はしゃぎで
段を上げている中で、高田さんは何
度跳んでも、
跳び箱にまたがって止まってしまうのでした。
7.「まだ、
跳べないの。」
8.と言う人もいました。
跳ぶ前に、
9.「ドッスーン。」
10.などとからかう人もいました。【5】もし、ぼくが高田さんだったら、とっくに、できないと言って
投げ出してしまったことでしょう。
11. しかし、高田さんは、あきらめませんでした。何
度も何
度も
挑戦していました。【6】
放課後、先生と
練習している日もありました。その
姿に、それまで
冷やかしたり
笑ったりしていた人も、だんだん
応援するようになったのです。
12. やがて
体育は
次の
種目になりましたが、
特別に高田さんのために
跳び箱が
用意されました。【7】高田さんは、毎回
黙々と練習していました。クラスでいちばん早く七
段を
跳べるようになった川上
君が、何
度もアドバイスしていました。∵
13.「
踏み切りが
大事だから。そう、もう一回やってみて。」
14. 【8】また、女子は声をそろえて、
15.「
惜しい!」
16.「もう少し!」
17.と声をかけました。先生の出る
幕は、もうないくらいでした。
18. チャイムが鳴って、
体育の時間が
終わりました。みんなで高田さんを
取り囲むようにして、
体育館をあとにしました。【9】高田さんの顔は、まだ
真っ赤だけれど、何だか
輝いているように見えました。やればできる。がんばればできないことなんかない、という声がどこからか聞こえてくるようでした。【0】
19.(
言葉の森
長文作成委員会 φ)∵
20.
地球と月のひっぱりっこ――みち
潮と
ひき潮――
21. 【1】春になると、みなさんのなかには、おとうさんやおかあさんにつれられて、
潮ひがりにいく人もあることでしょう。
22.
潮ひがりは、たのしいものですね。
23. 【2】ふだん水のあるときには、貝がみえないのに、
潮がひくと、くまでで、ちょっとかいただけで、いくらでも、貝がでてくるのですからね。
24. 海の水は、へいきんして一日に二かいずつ、みちたり、ひいたりしています。【3】それは、まるで、海がゆっくりといきをしているみたいです。
25. どうして、こんなことがおこるのでしょうか。
26.
潮のみちひは、月や
太陽が、海の水をさかんにひっぱるために、おこるのです。
27. 【4】
地球の
運動のところで、引力のことをお話ししましたが、
地球ばかりでなく、
太陽でも月でも、そのほかの星でも、すべてのものはたがいにひっぱりあっています。【5】引力は大きなものほどつよいのですが、近くにあるものは、小さくても、遠くにあるものより、つよく引力をはたらかせます。
28. 【6】たとえば、
太陽の引力は、月よりはるかに大きいのですが、
地球からのきょりがずっと遠いので、海の水をひっぱる力は、小さな月のほうが、
太陽より二ばい半もつよいのです。
29. 【7】ですから、
潮のみちひは、おもに月の引力のためにおこるとかんがえて、さしつかえありません。
30. 月のひっぱる力は、近いところにあるものほどつよくはたらきます。【8】ですから、
地球の上で、月とむかいあっているところには、月の引力がいちばんつよくはたらき、海の水が月のほうへひっぱられてもりあがり、みち
潮となります。【9】これにたいして、
地球の上で月と
反対のがわにあるところは、月からいちばんはなれているので、月の引力はいちばんよわくなっていますが、ここでは、月とはんたいのほうこうに、
地球の遠心力がつよくはたらいているので、月とはんたいのほうへ海の水がもりあがって、やはり、みち
潮となります。【0】∵
31.(「
世界ふしぎめぐり三年生」より
抜粋)
長文 6.2週
1. 家ちくといっしょにテントのたび――モンゴルの人のくらし――
2. 【1】わたしたちのくらしかたは、まず家をつくって、そこにおちついてくらします。
3. 学校へいくのも、おつとめにでるのも、その家からです。
4. よほどのことがなければ、ひっこしはしません。
5. 【2】ところが、村ぜんたいが、いつもひとところにおちついていないで、家をもって、あちこち、ひっこしてあるく人たちがいます。
6. モンゴルの人たちが、そうです。
7. 【3】モンゴルは、あつささむさのちがいが、たいへんはげしいところで、しめりけがすくなく、土地がひじょうにかわいています。
8. そのため、さばくやひろい草原がひろがっており、おおくの人びとが、牛、うま、らくだ、ひつじ、やぎなどをかってくらしています。【4】そして、いつも水や草のあるところをさがして、つぎつぎとひっこしてあるくのです。
9. ふつう一けんの家で、ひつじを二、三百頭、牛を五十頭、馬を二十頭くらいもっています。【5】ですから、村
全体がひっこすとなると、たいへんなさわぎとなります。
10. しかし、家は、ごくかんたんなもので、おりたたみができますから、たいしてせわはありません。
11. 【6】やなぎの木をくみあわせて、ほねぐみをつくり、それにひつじの毛がわを、すっぽり上からかぶせただけのすまいです。この家のことを、パオといっています。
12. 【7】パオは、くみたても、とりはずしも、二、三時間でできてしまうたいへんべんりな家です。
13. モンゴルの人たちのたべものは、おもに、ひつじや牛のちち、にくなどです。【8】朝は、チャオミイといって、ひつじのちちをいれたお茶に、いった
粟をいれてたべます。夕はんは、ゴリルといって、ひつじのにくに、うどんをまぜてにたものです。そして、一日のうちに、なんかいもお茶をのみます。【9】このお茶は、ひつじの毛がわととりかえて、手にいれます。
14. ねんりょうには、ひつじや牛のあぶらのほか、牛のふんをかわかしたものをつかっています。パオも、ひつじの毛がわでつくったものです。【0】
15.(「
世界ふしぎめぐり三年生」より
抜粋)
長文 6.3週
1. 遠くへたびをする鳥――わたり鳥のいろいろ――
2. 【1】春になると、つばめが南の国からとんできて、家ののき下などにすをつくるのを、みなさんは知っていますね。
3. そこの家の人たちは、
4.「ああ、ことしもまた、つばめがやってきた。【2】よくわすれないで、くるもんだ。かわいいものだな。」
5.といって、じぶんの子どもが、長いたびからかえってきたように、かわいくおもうものです。
6. つばめは、くるそうそう、どろをくわえてきては、もとあったすの手いれをして、やがて、そこにたまごをうみます。
7. 【3】ひながかえると、こんどは、せっせとえさをさがしてきて、ひなをそだて、秋になると、大きくなった子つばめをつれて、また南の国へかえっていきます。
8. 南の国って、いったいどこでしょう。
9. 【4】おどろいてはいけませんよ。フィリピンとかインドネシアとか、海をこえた、遠くのほうなのです。
10. これとはんたいに、秋になると、北の国から日本にやってきて、冬のあいだじゅういて、春にかえっていく鳥もあります。
11. 【5】がんや、かもなどが、そうです。
12. これは、どこからくるのかというと、ずっと北のほうの、シベリアとか、カムチャッカという、さむいところからです。
13. 夏のあいだじゅう、そこで、ひなをそだてて、秋に日本へやってくるのです。
14. 【6】このように、遠くからたびをしてくる鳥を、わたり鳥といっていますが、そのうちで、つばめのように夏のあいだ日本にいる鳥を、夏鳥といいます。
15. そして、がんや、かものように、冬のあいだいる鳥を冬鳥といっています。
16. 【7】冬鳥には、このほか、つる、つぐみ、まひわなどがあります。
17. ほととぎすやかっこう、つつどり、おおるり、さんこうちょう、ぶっぽうそうなどは、夏鳥です。
18. 【8】うぐいすも、春になると、町の近くにやってきます。けれど、これは、夏のあいだ山にすんでいて、冬になると、あたたかい海べや野原にでてきて、そこでひなをうみ、春のあいだ、
平野にすんでいるのです。
19. 【9】うぐいすのほかにも、ひよどりや、もずなどは、山と
平野のあいだだけを、いったりきたりしているのです。
20. こうしてみると、たいていの鳥がたびをしているみたいですね。∵
21. それでも、ひとつところにいて、どこにもたびをしない鳥も、いることはいます。
22. 【0】みなさん、ごぞんじでしょう。
23. すずめ、からす。これは、たしかに、一年じゅう、わたしたちの目のまえをとんでいますね。
24.(「
世界ふしぎめぐり三年生」より
抜粋一部調整)
長文 6.4週
1.【長文が二つある場合、読解問題用の長文は一番目の長文です。】
2. コロンブスの
時代、人々はまだ、
地球が丸いとは思っていませんでした。そのころ、ヨーロッパ
諸国は、
貿易を行いキリスト教を広めるため、さかんに船で東方にあるアジア
進出を
目指していました。この
時代を大
航海時代と
呼んでいます。
3. イタリア生まれのコロンブスは、東を
目指す人々とは
異なる考えを
持っていました。
彼は、
地球が丸いことを
信じていました。アフリカの南をまわってアジアを
目指すよりも、
大西洋を西へ
進んだほうが、ずっと早くアジアに
たどり着けるはずだと考えたのです。もう一つ、コロンブスに
航海を
決心させたものがあります。それは、マルコ・ポーロの「東方見聞
録」でした。そこに書かれていた、黄金の国ジパング(日本)は、ヨーロッパの人のあこがれの
的でした。
彼はスペインの女王の
援助を
受け、サンタ・マリア
号に
乗って、西回りでアジアに行く計画を
実行することになりました。
4. このとき、コロンブスが
要求したことは、もしインドを見つけたらその
宝の十分の一を自分がもらうこと、
発見した土地の
総督になること、スペインの
貴族になることなどでした。当時、
遠洋航海には
莫大な
資金が
必要でした。このため、イギリスやフランスは、コロンブスの
提案を
受け入れることができませんでした。コロンブスにとってもスペインの女王にとっても、
航海は大きな
賭けだったのです。
5. サンタ・マリア
号の
乗組員たちは、地図にも
載っていない
未知の
海域へと
航海に出ました。そして、二か月
以上の
航海を
経て、ようやく
陸地を見つけることができたのです。コロンブスの考えでは、そこはアジアのはずでした。
6.
地球儀を見るとわかりますが、ヨーロッパから西に
向かって
大西洋を
横断すると、
巨大な
アメリカ大陸にぶつかります。
アメリカ大陸を
越えて広い
太平洋を
横断しなければ、アジアに∵
到着することはできません。
実際の
地球は、コロンブスが考えているより、ずっと大きかったのです。
7.
アメリカ大陸の
存在を知らなかったのですから、コロンブスが
新大陸をアジアだと思ったのも
無理はありません。コロンブスは、
上陸した
島々に名前をつけ、スペインの
領土としました。
8. 当時、インドという
言葉は
漠然とアジア
全体を
指す言葉としても
使われていました。
アメリカ大陸にもともと
住んでいた人々を、コロンブスはインドの人という
意味でインディオスと
呼びました。
9. スペインに帰ったあと、
彼の
発見はたいへんな
評判になりました。
彼は一生、自分が
発見した
陸地をアジアだと
信じていたそうです。
10. コロンブスのタマゴの話は
有名です。この話を聞いて、ある人が同じようにタマゴを立てようとすると、タマゴはうまく立たずに、コロン。その人はブスっとしていたそうです。はい、
縮めて言うと、コロン。ブス。
11.
言葉の森
長文作成委員会(κ)∵
12. 【1】七五三というのは年のことですが、
実際は六
歳や四
歳で
お祝いをすることがあります。七五三の年は、数え年というもので、
実際の年より一つか二つ上になります。どうしてこういう年の数え方をするのでしょう。
13. 【2】今は
誕生日がくると一つ年をとる
満年齢が
普通です。しかし、
昔はそうではありませんでした。新しい年がくると、みんないっせいに一つ年をとったのです。
14. 【3】お年玉というのは、もともと年の
魂のことで、お正月に年の
魂であるお
餅を食べて、年を一つとったというわけです。
15. この数え年の考え方は
東洋のもので、
西洋では
昔から今のような
満年齢の数え方でした。【4】
西洋では、赤ちゃんが生まれてきたときから、
年齢を数えます。しかし、日本では、お母さんのおなかにいるときから赤ちゃんの
年齢を数えるため、生まれた
瞬間に一
歳としました。【5】もし、十二月三十一日に生まれたとしたら、その赤ちゃんは生まれたときにもう一
歳です。そして、
次の日に
元旦を
迎えると、すぐに二
歳になるのです。
16. 【6】だれもが同じ一月一日に一つ年をとるというのは、それだけ年が
改まるお正月の
意味が大きかったからなのかもしれません。
17. 今の
満年齢の数え方になったのは、
第二
次世界大戦後のことです。【7】生まれた日から数える
満年齢の考え方は、それなりに
正確で
実用的です。しかし、お正月にお
餅を食べていっせいに年をとった古き
時代のやり方には、
等しく命を
大事にする
文化があったように思えます。
18. 【8】お正月は、お
雑煮のお
餅を食べながら、モチっと日本の
文化について考えてみるのもいいかもしれません。
19. 七五三は、三
歳五
歳七
歳で
お祝いをします。【9】どうして、
年齢の
順に三五七と言わないかというと、
次のようなことがあるからです。
20.「えーと、そろそろうちの子も、あれだな。あの三五、えーと三五……」
21.「十五でしょ」【0】∵
22.
言葉の森
長文作成委員会(α)