1. 【1】
冷蔵庫がまだあまり
普通の
家庭にはなかったころ、
冷蔵庫には、
毒があって
危険な
物質が
使われていました。この
物質は、
液体からガスに
変わるときに
周りを
冷やす性質を
持っていました。
2. 【2】しかし、このように
危険な
物質を、
家庭におく
冷蔵庫に
使うわけにはいきません。そこで、何かいい
方法はないものかと、
研究が行われました。その
結果、フロンという新しい
物質が見つかりました。
3. 【3】フロンは、色も
匂いもない
物質で、
安定した
性質を
持っています。
性質が
安定しているということは、ほかのものといっしょにしても、ほとんど
反応を
起こさないということです。また、
燃えることもないので、
火事の
心配がありません。【4】さらに、
簡単に
液体にしたりガスにしたりできるので、
取り扱いも楽です。そして、
安く作ることができるのも、大きな
長所でした。
4. こうして、フロンは「20
世紀最大の
発明」として
歓迎され、
世界中で
使われるようになっていきました。【5】フロンは、まさに
時代のフロンティア(
最前線)でした。
5. 日本では
特に、
精密機械の工場で、
部品を
洗うのに
使われました。
普通の水にはゴミやほこりが
溶けこんでいるため、
精密機械の工場では
使えなかったのです。
6. 【6】しかし、こんなに
長所ばかりがあると思われたフロンに、
意外な
欠点があることがわかってきました。
地球の上空にあるオゾン
層を、フロンが
破壊するということがわかってきたのです。
7. 【7】フロンの
長所である
安定した
性質が、
逆に
欠点にもなっていたのです。フロンは
壊れにくく、ほかのものと
反応もしないため、そのままガスとなって空気中に出て行きます。【8】そして空の高いところまで行くと、
太陽の強力な
紫外線によって
初めて分解されることになります。そのときに、フロンから出た
塩素がオゾン
層を
壊していくのです。∵
8. 【9】オゾン
層は、
太陽の強力な
紫外線から
地球上の
生き物を
守っているバリアのようなものです。このバリアが
壊されると、
紫外線が
地球上に
降り注ぎ、
生き物に大きな
害を
与えます。【0】こうして、ヒーローだったはずのフロンは、いつの間にか
悪者になってしまいました。
9. しかし、人間が
破壊したものは、人間の手によって
修復できるはずです。オゾン
層を
破壊することは、人間にとってオーゾン(
大損)ですから、今、
世界中でオゾン
層を
守る対策が
進められています。
10.「フロンさん、元気出してね。
君が
悪いわけじゃなく、たまたまオゾン
君と
仲が
悪かっただけなんだから。」
11.「うん、フロン、がんばる。フロンでも(ころんでも)ただでは
起きないわ。」
12.「そう。オゾン
君も、だんだん元気が出てきたようだから。」
13.「オイゾンも、これからがんばって、
紫外線からみんなを
守るでごわす。」
14. フロー、フロー、オゾン!
15.
言葉の森
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