長文集  3月4週  ○海苔の歴史(感)  se2-03-4
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2010/09/28 11:40:27
 【1】私たち日本人にとって、海苔はとて
もなじみ深いものですが、外国の人たちには
そうでもないようです。
 明治時代に日本にやってきた西洋人は、「
日本人は黒い紙を食べる」と言って不思議が
ったようですが、今でも海苔が苦手な外国人
は多いようです。【2】外国人のパーティー
に、巻きずしを作って持っていったら、その
美しさには感心されたが、海苔をはがして食
べるので、せっかくの巻きずしがぐちゃぐち
ゃになってしまったという話も聞きます。ど
うして海苔をはがしたのかというと、「皮だ
と思った」のだそうです。
 【3】あまり知られていませんが、二月六
日は「海苔の日」で す。なぜこの日が「海
苔の日」になったのかというと、今から千三
百年くらい前の日本最古の法律である「大宝
(たいほう)律令」が広められた日だからで
す。奈良時代のすぐ前、飛鳥時代の終わり頃
のことです。【4】その「大宝(たいほう)
律令」の中には、朝廷に納める税金として、
二十九種類の海産物がのっていました。その
うち八種類が海藻で、その中の一つが海苔で
したが、その海藻の中でも、海苔は一番の高
級品でした。
 【5】その後の時代も海苔は貴重品として
扱われてきましたが、ただ、この頃食べられ
ていたのは生海苔で、今私たちが食べている
ような乾物の海苔ではありませんでした。【
6】のちに、江戸時代になってから、浅草で
紙の漉き方にヒントを得た「漉き海苔」が登
場し、「浅草海苔」として全国に広まりまし
た。この頃、海苔巻きも大流行し、人気の食
べ物となったようです。
 【7】海苔の養殖は江戸時代から始まって
いましたが、まだ失敗も多く、海苔の生産は
不安定で、値段も一定しませんでした。しか
し、昭和二十四年、イギリスのドゥルー女史
が、海苔の一生を細かく調べることに成功し
ました。【8】この知識を基に、ようやく海
苔は人工的に養殖できるようになったのです
。∵
 海苔のサイズは、切る前の基本となる「全
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形」が横十九センチメートル、縦二十一セン
チメートルという、とても中途半端なサイズ
に統一されています。【9】これを、各メー
カーが色々な枚数にカットして、食べやすい
大きさにして売っています。このサイズは、
海苔を漉くときに使われていた木枠のサイズ
の名残なのです。
 【0】海苔を作るときには、紙を漉くとき
のようにこの簾(す)の上にどろどろになっ
た生海苔をすくいとり、乾かして作ります。
乾いたらやはり紙のように、この簾(す)を
ぺりっとはがしてできあがりです。だから、
のりは乾かしたときの表面にあたる表がつる
っとしていて、簾(す)からはがした裏面が
でこぼこになっているのです。

 言葉の森長(ちょう)文作成委員会 τ