長文集  8月2週  ○羽の構造  si-08-2
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/06/09 09:39:01
 羽には、様々な用途があります。あるとき
には婦人の帽子を飾 り、女性の美しさを際
立たせます。別のときにはペンになり、ラブ
レターをつづるかもしれません。またあると
きにはコートの中綿になり、私たちを温かく
包んでくれます。
 しかし、羽のありがたみをいちばん感じて
いるのは、何といっても鳥たちでしょう。羽
がなければ飛ぶことができません。更に、美
しい羽は、つがいの相手となるパートナーを
ひきつけるのにも役立ちます。また、鳥を寒
さから守る役目も果たします。これらの点で
は、鳥たちも人間とあまり変わりません。も
っとも、羽をペンの代わりにする鳥はいない
ようですが。
 鳥類が羽を持っていることは広く知られて
いますが、その作りをじっくり眺めたことの
ある人はあまり多くないかもしれません。羽
は実に見事にデザインされています。
 風切羽(かざきりばね)の中心には羽を支
える軸が走っていま す。よく見るとその裏
側には一本の溝が刻まれています。このちょ
っとした工夫のおかげで軸の強度は高まり、
曲がったりよじれたりしても折れにくくなっ
ています。
 鳥類はまた、普通の羽の間に、糸のような
細長い羽を持っています。この羽の根元にあ
る一種の感覚器は、羽の乱れを鳥に知らせま
す。羽が乱れてきたという信号が出ると、鳥
は翼を休め、くちばしで羽(は)づくろいを
して羽を整えます。この感覚器はまた、飛ん
でいる速度を鳥が判断するのに役立っている
のではないかとも言われています。
 表面から見える羽の下には、ダウンと呼ば
れる綿羽(わたばね)がぎっしりと生えてい
ます。カモの場合、その厚さはニセンチ近く
にもなります。綿羽(わたばね)の断熱性は
優れており、冬の身を切られるような寒さも
、ダウンのコートがあれば平気です。∵
 羽のおかげで、鳥も人間もファッションを
楽しむことができ、さらには寒さをしのぐこ
ともできます。鳥の羽は、まさに「一石三鳥
(さんちょう)」あるいはそれ以上の働きを
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しています。しかし、生まれつきそういう羽
を持っているカモたちにとっては、当たり前
のことなのカモしれません。

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(
τ)