長文 8.4週
1. 文字は、初めはじ 石などに刻まきざ れていました。しかし、それでは時間もかかるし、おもすぎて持ち運ぶも はこ こともできません。人間が、カイコのまゆからきぬぬのを作ったり、植物しょくぶつから繊維せんいをとり出してぬのを作ったりすることができるようになると、そのぬのを作る技術ぎじゅつ利用りようして、紙を発明はつめいすることができるようになりました。紙は、安いやす 上に、軽くかる て、しかも薄いうす ので、何まい重ねかさ 使うつか ことができました。この紙の発明はつめいで、文字が人間の社会に広がるようになったのです。
2. 日本にも、一六〇〇年以上いじょう前に、中国から紙を作る方法ほうほう伝わっつた  てきました。日本には紙にするのにとてもよい植物しょくぶつがあり、日本人は工夫くふう得意とくいだったので、あっというまに、厚いあつ 紙、薄いうす 紙、硬いかた 紙、軟らかいやわ   紙、白い紙、色のついた紙、そして、金やぎんをちらした紙、よい香りかお がする紙など、いろいろな紙が作り出されました。
3. その時代じだいに書かれた本には、「いろいろな紙をもらうと、この紙にあわせて、どんなふうに工夫くふうして字や絵をかこうかと考えてとても楽しい」とか、「いやなことがあっても、真っ白ま しろ上等じょうとうな紙のたばをもらうと、気持ちきも もはれて、ここに何を書こうかとうれしくなってくる」などという話が載っの ています。今でも、きれいな折り紙お がみ包みつつ 紙、真っ白ま しろなノートなどをもらったときに、同じような気持ちきも 感じかん られるのではないでしょうか。
4. 日本では、古い紙をもう一度  いちどすきかえして新しい紙にする技術ぎじゅつ発明はつめいされました。そのリサイクルの紙は真っ白ま しろでなくしっかりもしていませんでしたが、普通ふつうの人も買うことができる安いやす 本になりました。
5. 江戸えど時代じだいになると、紙の本はたくさんの人が持つも ことができるようになりました。そればかりか、子どものための、紙細工のおもちゃまでたくさん作られるようになりました。これを、おもちゃ絵と∵いいます。そこにはまめ絵本のような、本のかわりになるものや、はさみで切ってくみたてて遊ぶあそ 紙おもちゃなどさまざまな種類しゅるいのおもちゃがありました。きせかえ人形や、おしばいごっこの立ち絵、紙ずもうやめんこ、そして組み立て絵というものができたのもこのころです。ほかにもすごろくやかるたなど、今の時代じだいにも伝わるつた  おもちゃがこの時代じだい発達はったつしました。。
6. 江戸えど時代じだいの子どもたちも、今の子どもたちが、ゲームのカードをためたりマンガを買いそろえたりするのと同じことをやっていたのです。
7. 破れやぶ やすく、火には燃えも てしまう紙と知ってはいても、それでも紙でできたものには、集めあつ 愛さあい ずにはいられない魅力みりょくがあるようです。

8.「紙くんって、えらいんだね。今度こんどから紙さまって呼ぼよ うか。」
9.「いやあ、もっと気楽に読んでくれた方がいいよ。」
10.「じゃあ。ヘイ、カミーン。」

11. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(λ)