1. 文字は、
初め石などに
刻まれていました。しかし、それでは時間もかかるし、
重すぎて
持ち運ぶこともできません。人間が、カイコのまゆから
絹の
布を作ったり、
植物から
繊維をとり出して
布を作ったりすることができるようになると、その
布を作る
技術を
利用して、紙を
発明することができるようになりました。紙は、
安い上に、
軽くて、しかも
薄いので、何
枚も
重ねて
使うことができました。この紙の
発明で、文字が人間の社会に広がるようになったのです。
2. 日本にも、一六〇〇年
以上前に、中国から紙を作る
方法が
伝わってきました。日本には紙にするのにとてもよい
植物があり、日本人は
工夫が
得意だったので、あっというまに、
厚い紙、
薄い紙、
硬い紙、
軟らかい紙、白い紙、色のついた紙、そして、金や
銀をちらした紙、よい
香りがする紙など、いろいろな紙が作り出されました。
3. その
時代に書かれた本には、「いろいろな紙をもらうと、この紙にあわせて、どんなふうに
工夫して字や絵をかこうかと考えてとても楽しい」とか、「いやなことがあっても、
真っ白で
上等な紙のたばをもらうと、
気持ちもはれて、ここに何を書こうかとうれしくなってくる」などという話が
載っています。今でも、きれいな
折り紙や
包み紙、
真っ白なノートなどをもらったときに、同じような
気持ちが
感じられるのではないでしょうか。
4. 日本では、古い紙を
もう一度すきかえして新しい紙にする
技術も
発明されました。そのリサイクルの紙は
真っ白でなくしっかりもしていませんでしたが、
普通の人も買うことができる
安い本になりました。
5.
江戸時代になると、紙の本はたくさんの人が
持つことができるようになりました。そればかりか、子どものための、紙細工のおもちゃまでたくさん作られるようになりました。これを、おもちゃ絵と∵いいます。そこには
豆絵本のような、本のかわりになるものや、はさみで切ってくみたてて
遊ぶ紙おもちゃなどさまざまな
種類のおもちゃがありました。きせかえ人形や、おしばいごっこの立ち絵、紙ずもうやめんこ、そして組み立て絵というものができたのもこのころです。ほかにもすごろくやかるたなど、今の
時代にも
伝わるおもちゃがこの
時代に
発達しました。。
6.
江戸時代の子どもたちも、今の子どもたちが、ゲームのカードをためたりマンガを買いそろえたりするのと同じことをやっていたのです。
7.
破れやすく、火には
燃えてしまう紙と知ってはいても、それでも紙でできたものには、
集めて
愛さずにはいられない
魅力があるようです。
8.「紙
君って、えらいんだね。
今度から紙
様って
呼ぼうか。」
9.「いやあ、もっと気楽に読んでくれた方がいいよ。」
10.「じゃあ。ヘイ、カミーン。」
11.
言葉の森
長文作成委員会(λ)