長文集  9月3週  ★アルフレッドのゆいごんじょうは(感)  si-09-3
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2012/06/15 08:09:23
 【1】アルフレッドのゆいごんじょうは、
十二月十七日、サン=レモのやしきでひらか
れました。立ちあったのは、リュドビグの長
男イマニュエル、ロベルトの長男ヤルマル、
それにソールマンと弁護士です。
【2】「なんですって。わたしが、ノーベル
さんのゆいごんをとりしきることになってい
るんですって……。」
 ソールマンは、おどろきました。たしかに
、ゆいごんじょうのおもて書きには、ソール
マンの名があります。【3】ゆいごんじょう
が、弁護士によってよみあげられるにつれ、
ソールマンはさらに大きなおどろきにうたれ
、まばたきもしません。
「わたし、アルフレッド=ノーベルは、あと
にのこすざいさんについて、つぎのようにゆ
いごんする……。」
 【4】アルフレッドは、ごくわずかなお金
をおくる友人、しんるいの名をあげたあと、
こう書いていました。
「のこりのすべての金の利子を、毎年、その
まえの年に、人類のために役だつしごとをし
た人々に、賞としてわけること。
 【5】利子は五つにわけ、
一、物理学
一、化学
一、医学生理学
一、文学
一、国際平和
の、それぞれの分野で、重要な発明発見をし
、あるいは理想にみちた作品をあらわし、あ
るいはまた戦争をふせぐことにつとめた人物
にあたえること。」
 【6】ゆいごんじょうを、弁護士がよみお
わると、ソールマン が、ぼうぜんとして、
いいました。
「このしごとを、わたしがやるのですか。た
った二十六さいのこのわたしが……。」
【7】「ソールマンさん……。ロシア語では
、ゆいごんをとりしきる人のことを『たまし
いの代理人』というのですよ。しっかりなさ
い。おじのアルフレッドは、あなたがこれを
やれるとみこんだか ら、あ∵なたをえらん
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だのですよ。」
 【8】イマニュエルが、なき父リュドビグ
そっくりの、かしこそうな目をむけてはげま
しました。
 そうはげますイマニュエルは、ヤルマルと
ともに、ゆいごんじょうがもしなかったら、
アルフレッドのばく大なざいさんをもらえる
はずの人なのです。
【9】「わかりました。では、このしごとを
、わたしのしょうがいのしごととして、おひ
きうけします。」
 そうちかったソールマンは、十二月二十九
日、ストックホルムの教会で、アルフレッド
のそうしきがおわったあと、しごとにとりか
かりました。【0】
 
(「ノーベル」大野進著より)