長文 9.4週
1. 海水は塩辛いしおから もので、わたしたちはそれを当たり前のことだと思っています。実際じっさい、そこに含まふく れる塩分えんぶん大変たいへんりょうです。海水をすべて蒸発じょうはつさせ、残っのこ 塩分えんぶん陸地りくち敷きつめるし    と、百五十メートルもの厚いあつ そうができると言われています。この大量たいりょうしおは、一体どこから来たのでしょうか。
2. 塩分えんぶんのふるさとのひとつは川です。地球ちきゅう上に存在そんざいする川の大半は淡水たんすいなので、これは意外いがい感じかん がします。雨が降るふ と水が地中にしみ込ん  こ で、土の中にあるミネラル分を溶かしと  ます。このミネラル分の中に塩分えんぶん含まふく れています。溶けと 出した塩分えんぶんは、川によって海まで運ばはこ れます。ただ、淡水たんすいの川に含まふく れる塩分えんぶんはごく少ないので、なめても塩辛いしおから とは感じかん ません。
3. 塩分えんぶんのもうひとつのふるさとは、海底かいてい火山です。活動かつどうする海底かいてい火山の爆発ばくはつ熱水ねっすい噴出ふんしゅつによって、地中からミネラル分が放出ほうしゅつされ、その中に含まふく れる塩分えんぶんが海水に溶け込むと こ のです。
4. このように、しおはいろいろなところから海を目指しめざ てやって来ますから、海にはしおがたまる一方のように思えます。その上、海からはどんどん水分が蒸発じょうはつしミネラル分だけがあとに残りのこ ます。これでは、塩分えんぶんがどんどん濃くこ なっていったとしても不思議ふしぎではありません。しかし現実げんじつには、海水の塩分えんぶん濃度のうどは、ほぼ一定いっていです。つまり、増えるふ  分と減るへ 分とがうまく釣り合っつ あ ているのです。では、塩分えんぶんは一体どこへ行くのでしょう。
5. まず、海の生物せいぶつしおを体の中に取り込みと こ ます。例えばたと  サンゴやエビ、カニなどは、硬いかた からを作るために塩類えんるい必要ひつようとします。これらの生き物い もの死ぬし と、そのから含まふく れていた塩類えんるい海底かいていにたまります。こうして塩分えんぶん一部いちぶ取り除かと のぞ れます。このようにして、海水中の塩分えんぶんは、増えるふ  りょう減るへ りょうのバランスがとれているのです。
6. では、この海底かいていにたまった塩分えんぶんはどうなるのでしょうか。海底かいていを∵含むふく 地殻ちかく巨大きょだいなプレートで成り立っな た ています。それらのプレートは少しずつ移動いどうし、二つ以上いじょうのプレートが出合うところでは、一方がとなりのプレートの下に入り込みはい こ ます。沈みしず 込んこ 海底かいてい高温こうおんのマントルの中で溶けと ていきます。当然とうぜん海底かいていにたまっていた塩分えんぶん一緒いっしょ溶けと てしまいます。
7. 地中から海へ、そしてまた地中へ。しおは、この壮大そうだいたびを気の遠くなるような年月の間繰り返しく かえ てきました。今日の一杯いっぱいのお味噌汁みそしるにも、塩分えんぶんの長いたび歴史れきし刻まきざ れているのです。

8.「塩分えんぶんさん、最初さいしょの生まれはどこなんですか。」
9.「実はじつ 、スーパーの食品しょくひん売り場なんだよ。」
10.「うそでシオ。」

11. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(Μ)