1. 海水は
塩辛いもので、
私たちはそれを当たり前のことだと思っています。
実際、そこに
含まれる
塩分は
大変な
量です。海水をすべて
蒸発させ、
残った
塩分を
陸地に
敷きつめると、百五十メートルもの
厚い層ができると言われています。この
大量の
塩は、一体どこから来たのでしょうか。
2.
塩分のふるさとのひとつは川です。
地球上に
存在する川の大半は
淡水なので、これは
意外な
感じがします。雨が
降ると水が地中に
しみ込んで、土の中にあるミネラル分を
溶かします。このミネラル分の中に
塩分が
含まれています。
溶け出した
塩分は、川によって海まで
運ばれます。ただ、
淡水の川に
含まれる
塩分はごく少ないので、なめても
塩辛いとは
感じません。
3.
塩分のもうひとつのふるさとは、
海底火山です。
活動する
海底火山の
爆発や
熱水の
噴出によって、地中からミネラル分が
放出され、その中に
含まれる
塩分が海水に
溶け込むのです。
4. このように、
塩はいろいろなところから海を
目指してやって来ますから、海には
塩がたまる一方のように思えます。その上、海からはどんどん水分が
蒸発しミネラル分だけがあとに
残ります。これでは、
塩分がどんどん
濃くなっていったとしても
不思議ではありません。しかし
現実には、海水の
塩分濃度は、ほぼ
一定です。つまり、
増える分と
減る分とがうまく
釣り合っているのです。では、
塩分は一体どこへ行くのでしょう。
5. まず、海の
生物が
塩を体の中に
取り込みます。
例えばサンゴやエビ、カニなどは、
硬い殻を作るために
塩類を
必要とします。これらの
生き物が
死ぬと、その
殻に
含まれていた
塩類は
海底にたまります。こうして
塩分の
一部は
取り除かれます。このようにして、海水中の
塩分は、
増える量と
減る量のバランスがとれているのです。
6. では、この
海底にたまった
塩分はどうなるのでしょうか。
海底を∵
含む地殻は
巨大なプレートで
成り立っています。それらのプレートは少しずつ
移動し、二つ
以上のプレートが出合うところでは、一方が
隣のプレートの下に
入り込みます。
沈み込んだ
海底は
高温のマントルの中で
溶けていきます。
当然、
海底にたまっていた
塩分も
一緒に
溶けてしまいます。
7. 地中から海へ、そしてまた地中へ。
塩は、この
壮大な
旅を気の遠くなるような年月の間
繰り返してきました。今日の
一杯のお
味噌汁にも、
塩分の長い
旅の
歴史が
刻まれているのです。
8.「
塩分さん、
最初の生まれはどこなんですか。」
9.「
実は、スーパーの
食品売り場なんだよ。」
10.「うそでシオ。」
11.
言葉の森
長文作成委員会(Μ)