長文 7.1週
1.【1】「あら、なつかしい。」
2. 母が声をあげました。おばあちゃんの家を改築かいちくすることになって、荷物の整理に行ったときのことです。母の手には、手紙のたば握らにぎ れていました。色とりどりの便箋びんせん封筒ふうとう、かわいらしいメモ帳の切れ端き はしなどがたくさん出てきました。
3.【2】「昔は、携帯けいたいやメールなんかなかったでしょう。だから、こんなふうに手紙を交換こうかんしていたのよ。」
4.と母が言います。するとおばあちゃんが笑いわら ながら、
5.「毎日学校で会う友だちともやり取りしていて、よくそんなに書くことがあるものだと思ったわ。」
6.と言いました。
7. 【3】母は少し恥ずかしは   そうでしたが、わたしは見せてもらうことにしました。手紙のほとんどは、今でも家族ぐるみでつきあいのある母の同級生からのものです。特にとく おもしろかったのは、四年生のときにダジャレに夢中むちゅうになっていたころの手紙です。
8.【4】「大沢おおさわ先生のおおさわぎ」「そんなシャレやめなシャレ」「体育行く?」
9.などと書いてあり、大沢おおさわ先生らしい太った男の人のイラストがありました。さらに、
10.「真衣子まいこ、まーいい子。」
11.と母の名前を使ったダジャレもありました。
12. 【5】そのほかに、秘密ひみつの手紙もありました。封筒ふうとうの表書きに「真衣子まいこへ。だれにも見せないでね」とあったので、わたしは少しどきっとしました。封筒ふうとうの中には、色あせた水色のびんせんが入っていて、小さな字でぎっしりと文が書いてありました。
13. 【6】わたしはそれを読みたかったけれど、母はこれはだめ、とさっとかくしてしまいました。わたしはきっと好きす な子の話が書いてあるのだな、と思いました。わたしだってもう四年生だからわかるのになあ。
14. 【7】おばあちゃんは、箱のほこりを払いはら ながら、∵
15.「ママはね、小学生のころは、とてもおとなしかったのよ。授業じゅぎょう参観さんかんに行ってもほとんど発言しないような子でね。」
16.と驚くおどろ ようなことを言いました。今の母からは全く想像そうぞうできません。
17.【8】「ねえねえ、いつから今みたいにうるさくなったの?」
18.と聞くと
19.「あなたが生まれてからかしらねえ。」
20.と、おばあちゃんが答えました。わたしは、人間って変わるか  ものだなと心の中で思いました。母は知らぬ顔で、昔の本を束ねたば ています。
21. 【9】わたしは、もし子どものころの母と今、同じクラスだったら、わたしたち、仲良くなかよ なるかなあと考えました。なんとなく、好みこの ていそうだし、話も合いそうだなと思います。わたしは楽しくなってきて、
22.「おはよう、真衣子まいこ。」
23.と聞こえないようにつぶやいてみました。【0】

24.(言葉の森長文ちょうぶん作成さくせい委員会 φ)


長文 7.2週
1. 世界中せかいじゅう簡単かんたんたびすることができなかったむかしの人々にとって、ウミガメが毎年決まっき  季節きせつになると海岸かいがんにやってきてたまご産んう でいく様子ようすは、神秘しんぴてきだったことでしょう。そんなウミガメから、竜宮城りゅうぐうじょうというゆめのような話が生まれたのかもしれません。
2. では、日本にやってくるウミガメには、どんな種類しゅるいがあるのでしょうか。日本列島れっとう四季しきがはっきりしているので、季節きせつによって気温きおん海水温かいすいおんが大きく変わっか  てきます。その中で、日本にたまご産みう にくるのは、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイなどのカメです。関東かんとう地方より南の海岸かいがんたまご産むう アカウミガメは、春になると日本近海に姿すがたをあらわします。アオウミガメは、屋久島やくしまより南でたまご産みう 、タイマイは沖縄おきなわ本島ほんとうより南でたまご産みう ます。
3. 産卵さんらん場所ばしょとなる海岸かいがんおきには、オスがメスより一ヶ月かげつも前に来て待っま ています。やがてメスがやってくる時期じきになると、オスたちはメスのあとをついてまわるとともに、オスどうしで激しくはげ  争いあらそ 、メスを奪い合いうば あ ます。かんだり、ぶつかったり、オールのような足ではたいたりと、とても迫力はくりょくがあり、水族館すいぞくかんでゆったり泳いおよ でいるときの姿すがたからは想像そうぞうもつかないほどです。その後、オスは産卵さんらん場所ばしょのまわりの海から姿すがた消しけ ます。メスは近くの砂浜すなはま上陸じょうりくして産卵さんらんします。
4. お風呂ふろやプールに入ると、体が軽くかる 感じかん られます。それは、水の中につかっているものには浮力ふりょく働くはたら からです。海中のウミガメは、浮力ふりょくのおかげでおもさが陸上りくじょうにいるときよりもずっと軽くかる なります。しかし、浮力ふりょく働かはたら ない陸上りくじょうでは自由じゆうに体を動かすうご  ことができません。海から上がってたまご産むう ときには、外敵がいてきから自分やたまご守るまも こともできなければ、すばやく逃げるに  こともできません。そのため、産卵さんらんをひかえたメスは、夜になってから用心深くようじんぶか 砂浜すなはま上陸じょうりくし、安全あんぜん確かめたし  てから産卵さんらんにとりかかるのです。∵
5. アカウミガメは、左右の後ろ足を交互こうごにシャベルのように使っつか て、大きなあな掘りほ 、一回に百ほどのたまご産みう ます。一頭のメスは、夏の産卵さんらんの間に多いときで六回くらいたまご産みう ます。
6. では、ウミガメは危険きけんをおかしてまで、どうしてりくたまご産むう のでしょう。ウミガメは、陸上りくじょうで生活できるように進化しんかしてきた爬虫類はちゅうるい仲間なかまです。爬虫類はちゅうるい乾いかわ 場所ばしょでも体の水分が外へ出ていかないように、丈夫じょうぶなウロコのような皮膚ひふで体をおおっています。たまごも、水中に産むう 魚類ぎょるい両生類りょうせいるいのものと違いちが 鳥類ちょうるいたまごのようにから包まつつ れています。ウミガメのたまごは、からを通していきをしており、水中だといきができずに死んし でしまうのです。このため、ウミガメは一生の大部分ぶぶんを海で暮らすく  ようになった今でも、たまごだけはりく産みう にくるのです。
7. ウミガメのひとりごと、「わたしも、本当は、海でウミたいわあ」。

8. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(Κ)


長文 7.3週
1. 【1】父が母国をはなれたあと、母は三人の育ちそだ ざかりのむすこをかかえ、けんめいに生きてきました。「牛乳ぎゅうにゅうとやさいをうる店がちかくにないから、あなたがやってみては。お金は用だてます。」と、しんせつな友人がすすめてくれ、家のすぐそばに小さな店をひらきました。【2】もうけはみじめなほどすくないのですが、ともかく毎日いくらかでもお金がはいってくるのは助かりたす  ます。
2. それでもときには、あすのお金にもこまることがありました。そこでロベルトとリュドビグの兄弟は、アンデルセンの童話どうわそっくりのアルバイトをしました。【3】町かどに立って、通行人にマッチのわけうりをし、銅貨どうかをいくまいか、かせいだのです。
3. ロベルトとリュドビグが、ほこらしげにその日のうりあげを母にわたすのをみたとき、アルフレッドは、どれほどじぶんをなさけなくおもったかしれません。【4】からださえじょうぶなら、兄たちにけっしてまけてはいませんのに……。
4. アルフレッドが気をうしなってたおれた数日後の雪の日には、こんなことがありました。
5. 【5】店から昼食のしたくにかえった母が、ロベルトに一まいの硬貨こうかをわたし、「パンとすづけにしんをかってきてちょうだい。それでおひるをすませましょう。」とたのみました。
6. 【6】ロベルトは二つへんじででかけていったのですが、いつまでももどってきません。
7.「どこまでいったのかしら……。」
8. しびれをきらした母が、ドアをあけると、そこにロベルトが立っていました。そまつながいとうを雪でぐっしょりぬらし、青ざめてふるえながら。
9.【7】「ぼく、お金を雪のなかにおっことしたんだ。いくらさがしてもみつからなくて……。」
10. 十二さいの、父ににてがっしりしたからだのロベルトがなきじゃくりました。硬貨こうかをしまったポケットにあながあいていたのです。【8】母の、なかみのとぼしいさいふのことをおもって、ロベルトは、きっと、とほうにくれてしまったのでしょう。
11.(かわいそうに、ロベルト兄さん……。)
12.ベッドのなかのアルフレッドは、心でよびかけました。
13.【9】(ひるごはんくらい、たべなくてもへいきなのに……。)
14.「おばかさんねえ……。」
15. ロベルトをだきしめて、母がわらいました。∵
16.「雪のなかに貯金ちょきんしたとおもえばいいじゃない。」
17.「そうさ。」
18.と、リュドビグ。
19.【0】「でも、雪がとけたとき、フレイのやつがさきに貯金ちょきんをみつけなきゃいいけどなあ。」
20. フレイというのは、リュドビグのけんかなかまなのです。
21. みんな、おもわずふきだしました。
22. それから母と子の四人家族かぞくは、ひとさらずつのスープを、フーフーふきながらのみ、ほかになんにもたべなくても、心はみちたりていました。たがいのあたたかい理解りかい愛情あいじょうとユーモアでむすばれていましたから。
 
23.(「ノーベル」大野すすむちょより)


長文 7.4週
1. ドイツの心理学者がくしゃが、あじには、塩味しおみ酸味さんみ甘味あまみ苦味にがみの四つの基本きほん要素ようそがあって、どんなあじもその組み合わせでできているというせつ発表はっぴょうして以来いらい基本きほんあじについてはもうこれ以外いがいにないと思われていました。しかし、味覚みかく研究けんきゅうしていた日本人の化学かがくしゃたちは、これにもう一つ、旨味うまみ加えるくわ  べきだと主張しゅちょうしました。
2. この旨味うまみ成分せいぶん発見はっけんし、初めてはじ  学会に報告ほうこくしたのは、池田菊苗きくなえ 博士はくしです。博士はくしはある日、夕飯ゆうはんを食べていて、つまが作ったお吸い物す もののあまりのおいしさに感動かんどう覚えおぼ たのです。そして、「このあじは、四つの基本きほんあじだけで出せるあじではない」と確信かくしんし、旨味うまみ研究けんきゅう取りかかりと    ました。
3. お吸い物す もののだしは、昆布こんぶでとられていました。そこで博士はくしは、四十キログラムもの昆布こんぶからだし汁  じるを作り、そこから旨味うまみ以外いがいのすべての成分せいぶん取り除いと のぞ ていくという、気の遠くなるような作業さぎょう続けつづ ました。そして最後さいご残っのこ 旨味うまみの正体が、グルタミン酸     さんという物質ぶっしつであることをつきとめたのです。池田博士はくしはこれを学会に報告ほうこくするとともに、調味ちょうみりょうとして大量たいりょう生産せいさんする方法ほうほう発明はつめいしました。そしてこの旨味うまみもとは、「味の素あじ もと」として商品しょうひんされ売り出されました。
4. 旨味うまみ成分せいぶんは、池田博士はくし発見はっけんしたグルタミン酸     さん以外いがいにもあります。たとえば、煮干にぼししや鰹節かつおぶしのだしの旨味うまみはイノシンさん干しほ シイタケやマツタケの旨味うまみはグアニルさんです。だしのあじは外国にもないわけではありません。西洋せいよう料理りょうりには肉類にくるい香味こうみ野菜やさい煮込んにこ でとるスープストックやブイヨンと呼ばよ れるだしがあります。中華ちゅうか料理りょうりでは、とりガラや干しほ エビ、白菜はくさいやネギなど、やはりさまざまな材料ざいりょう煮込んにこ で「たん」と呼ばよ れるだしを作ります。
5. このように旨味うまみ確かたし あじをよくする成分せいぶんであるとは認めみと られていましたが、旨味うまみだい五の基本きほんあじであるということは、世界せかいの人々∵になかなか受け入れう い てもらえませんでした。しかし、最近さいきんになってようやく、旨味うまみだい五のあじとして認めみと られ、そのまま「UMAMIウマミ」という用語となって世界中せかいじゅうに知られるようになったのです。
6. それでは、旨味うまみは、なぜおいしく感じかん られるのでしょうか。それは、旨味うまみ成分せいぶんが、わたしたちの体を作るために欠かか せないものだからだと言われています。グルタミン酸     さんアミノ酸   さんというグループに属しぞく 、イノシンさんやグアニルさん核酸かくさん呼ばよ れるグループに入る化学かがく物質ぶっしつです。そして、この両方りょうほうともが、わたしたちの体を作るのにとても必要ひつようなものなのです。つまり、体の方で、ちゃんとこれらをおいしく、たくさん取り込むと こ ようにできているのかもしれません。
7. 旨味うまみ少量しょうりょうしおが入ることで、より強くなります。また、ちがうグループの旨味うまみを組み合わせることによっても、ぐんとおいしさが上がることがあります。したがって、うまく旨味うまみ利用りようすることで、かえって塩分えんぶん減らしへ  たり、よりおいしい味付けあじつ にしたりすることも可能かのうになるのです。
8. ところで、昆布こんぶ旨味うまみ発見はっけんした池田博士はくしは、ロンドンに留学りゅうがくしていたとき、同じくロンドンに留学りゅうがくしていた文学しゃの夏目漱石そうせきに会っています。もしかすると、夏目漱石そうせきと、「日本料理りょうりのおいしいだしのあじ恋しいこい  なあ」などと話をしていたのかもしれません。

9. 旨味うまみ研究けんきゅうは、一杯いっぱいのお吸い物す ものから始まりはじ  ました。
10. 昆布こんぶのだしによろコンブ池田博士はくし笑顔えがおが、研究けんきゅう出発しゅっぱつ点だったのです。

11. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(τ)


長文 8.1週
1.【1】「あつっ。」
2. ぼくは、思わず指を引っ込めひ こ ました。しかし、後ろを向いている母には気付かきづ れませんでした。今夜は、ぼくの大好物こうぶつの鳥の唐揚からあげです。あつあつの鳥が並ぶなら お皿から食欲しょくよくをそそる香りかお 漂っただよ てきます。
3. 【2】ぼくは、思わず手を伸ばしの  てしまったのですが、揚げたてあ   だったせいで、人差し指ひとさ ゆびにやけどをしてしまいました。ぼくは何食わぬ顔で、そっと洗面所せんめんじょへ行き、指を流水で冷やしひ  ました。母は何も知らずに、揚げ物あ もの続けつづ ています。
4. 【3】その唐揚からあげは、ぼくが下味をつけるのを手伝ってつだ たのです。ショウガやニンニクをすりおろしたり、酒やしょうゆを入れたり、片栗粉かたくりこをまぶしてなじませたりするのがぼくの仕事でした。だから、どんな味に仕上がったか確かめたし  たかったのです。
5. 【4】ぼくは、指が冷たくつめ  なるまで冷やすひ  と、再びふたた キッチンに向かいました。さっきの唐揚からあげは食べごろに冷めさ ているはずです。のれんをあげて、テーブルに目をやると、
6.「あ、あれ? ないっ。」
7. 唐揚からあげのお皿はなくなっていました。
8.【5】「鳥を取り上げないでえ。」
9.とぼくは、言いそうになりましたが、がまんして、冷静れいせいにまわりを見渡しみわた ました。なんと、お皿は母の横のレンジ台に移動いどうしていました。ぼくは、まだ食べていないのにと心の中で叫びさけ ました。
10. 【6】母はニヤッとして、菜ばしさい  ではさんだ鳥を振っふ て油を切りながら、
11.「残念ざんねんでした。」
12.と言いました。さらに、
13.「水ぶくれにならなかった?」
14.と聞きました。ぼくは、さっきのつまみぐい未遂みすいを母は知っていたのだなあとあせりました。∵
15. 【7】父もつまみぐいの常習犯じょうしゅうはんです。会社から帰って、まずキッチンに直行し、テーブルの上をチェックします。そして、置いお てあるものをひょいと口に入れてしまいます。すると、母が必ずかなら 
16.「きちんと手を洗っあら てから! うがいもしてから!」
17.と言うのです。
18. 【8】父は、はいはいと言いながら洗面所せんめんじょに消えます。そんなときの父は、まるで叱らしか れた子供こどものようです。父は何度も注意されているのに、堂々どうどうとつまみぐいをするところがぼくと違いちが ます。
19. 【9】ぼくは、昨日きのううまい言い訳い わけ考え付きかんが つ ました。つまみぐいを叱らしか れたら、ママの料理りょうりがあんまりおいしそうだからだよ、と言うのです。これなら見つかっても叱らしか れません。しかし、「そんな言い訳い わけしていいわけ」と言われるかな。【0】

20.(言葉の森長文ちょうぶん作成さくせい委員会 φ)


長文 8.2週
1. 羽には、様々さまざま用途ようとがあります。あるときには婦人ふじん帽子ぼうし飾りかざ 女性じょせい美しうつく さを際立たきわだ せます。べつのときにはペンになり、ラブレターをつづるかもしれません。またあるときにはコートの中綿なかわたになり、わたしたちを温かくあたた  包んつつ でくれます。
2. しかし、羽のありがたみをいちばん感じかん ているのは、何といっても鳥たちでしょう。羽がなければ飛ぶと ことができません。更にさら 美しいうつく  羽は、つがいの相手あいてとなるパートナーをひきつけるのにも役立ちやくだ ます。また、鳥をさむさから守るまも 役目やくめ果たしは  ます。これらの点では、鳥たちも人間とあまり変わりか  ません。もっとも、羽をペンの代わりか  にする鳥はいないようですが。
3. 鳥類ちょうるいが羽を持っも ていることは広く知られていますが、その作りをじっくり眺めなが たことのある人はあまり多くないかもしれません。羽は実にじつ 見事みごとにデザインされています。
4. 風切羽かざきりばねの中心には羽を支えるささ  じくが走っています。よく見るとその裏側うらがわには一本のみぞ刻まきざ れています。このちょっとした工夫くふうのおかげでじく強度きょうどは高まり、曲がっま  たりよじれたりしても折れお にくくなっています。
5. 鳥類ちょうるいはまた、普通ふつうの羽の間に、糸のような細長い羽を持っも ています。この羽の根元ねもとにある一種いっしゅ感覚かんかくは、羽の乱れみだ を鳥に知らせます。羽が乱れみだ てきたという信号しんごうが出ると、鳥はつばさを休め、くちばしでづくろいをして羽を整えととの ます。この感覚かんかくはまた、飛んと でいる速度そくどを鳥が判断はんだんするのに役立っやくだ ているのではないかとも言われています。
6. 表面ひょうめんから見える羽の下には、ダウンと呼ばよ れる綿羽わたばねがぎっしりと生えています。カモの場合、そのあつさはニセンチ近くにもなります。綿羽わたばね断熱だんねつせい優れすぐ ており、冬のを切られるようなさむさも、ダウンのコートがあれば平気へいきです。∵
7. 羽のおかげで、鳥も人間もファッションを楽しむことができ、さらにはさむさをしのぐこともできます。鳥の羽は、まさに「一石三鳥さんちょう」あるいはそれ以上いじょう働きはたら をしています。しかし、生まれつきそういう羽を持っも ているカモたちにとっては、当たり前のことなのカモしれません。

8. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(τ)


長文 8.3週
1. 【1】ニトログリセリンのグリセリンは、石けんをつくるときにできる副産物ふくさんぶつです。ねばっこいえきで、くすりや、機械きかいのうごきをなめらかにするためのあぶらとしてつかわれます。【2】「硝酸しょうさん変化へんかさせたグリセリン」というのが、ニトログリセリンのいみですが、じっさいには、とくべつのそうちで、こい硝酸しょうさん硫酸りゅうさんをまぜたえきに、水分をとりさったグリセリンをそそいでつくります。
2. 【3】これくらいのことは、技術ぎじゅつ雑誌ざっしにしたしんでいるアルフレッドには、とっくにわかっています。
3.(つくりかたがわかっても、ばくはつをコントロールすることには役だたやく  ないなあ……。)
4. 【4】そうおもいながら、アルフレッドは、いくどか、小さなばくはつ実験じっけんをこころみました。けれども、ニトログリセリンは、うんともすんともいわないか、とんでもないときにばくはつして、きもをひやさせるかです。
5.【5】「いずれにしても、導火どうか線を用いなければならないよね……。」
6. アルフレッドが、ちえをかりにいったジーニン先生は、大学の研究けんきゅう室でいいました。
7. 【6】導火どうか線は、黒色火薬かやくを紙と糸でまいてつくった線です。手もとに火をつけると、シューッともえていき、ばくやくをばくはつさせるのです。
8.【7】「……そうなんです、先生。まさか大量たいりょうのニトログリセリンを、てつのはりでばくはつさせるわけには、いきませんものね。いのちあってのものだねです。」
9.【8】「しかし、導火どうか線では、ばくはつしない……と。あたえるショックが小さすぎるのかなあ。」
10.【9】「そうかもしれません。といって、導火どうか線をうんと太いものにすると、もちはこびのとき、きけんですし……。」
11. アルフレッドは、そうこたえながら、「あたえるショックを強めるには?」と、ノートにメモしました。【0】
12. 
13.(「ノーベル」大野すすむちょより)


長文 8.4週
1. 文字は、初めはじ 石などに刻まきざ れていました。しかし、それでは時間もかかるし、おもすぎて持ち運ぶも はこ こともできません。人間が、カイコのまゆからきぬぬのを作ったり、植物しょくぶつから繊維せんいをとり出してぬのを作ったりすることができるようになると、そのぬのを作る技術ぎじゅつ利用りようして、紙を発明はつめいすることができるようになりました。紙は、安いやす 上に、軽くかる て、しかも薄いうす ので、何まい重ねかさ 使うつか ことができました。この紙の発明はつめいで、文字が人間の社会に広がるようになったのです。
2. 日本にも、一六〇〇年以上いじょう前に、中国から紙を作る方法ほうほう伝わっつた  てきました。日本には紙にするのにとてもよい植物しょくぶつがあり、日本人は工夫くふう得意とくいだったので、あっというまに、厚いあつ 紙、薄いうす 紙、硬いかた 紙、軟らかいやわ   紙、白い紙、色のついた紙、そして、金やぎんをちらした紙、よい香りかお がする紙など、いろいろな紙が作り出されました。
3. その時代じだいに書かれた本には、「いろいろな紙をもらうと、この紙にあわせて、どんなふうに工夫くふうして字や絵をかこうかと考えてとても楽しい」とか、「いやなことがあっても、真っ白ま しろ上等じょうとうな紙のたばをもらうと、気持ちきも もはれて、ここに何を書こうかとうれしくなってくる」などという話が載っの ています。今でも、きれいな折り紙お がみ包みつつ 紙、真っ白ま しろなノートなどをもらったときに、同じような気持ちきも 感じかん られるのではないでしょうか。
4. 日本では、古い紙をもう一度  いちどすきかえして新しい紙にする技術ぎじゅつ発明はつめいされました。そのリサイクルの紙は真っ白ま しろでなくしっかりもしていませんでしたが、普通ふつうの人も買うことができる安いやす 本になりました。
5. 江戸えど時代じだいになると、紙の本はたくさんの人が持つも ことができるようになりました。そればかりか、子どものための、紙細工のおもちゃまでたくさん作られるようになりました。これを、おもちゃ絵と∵いいます。そこにはまめ絵本のような、本のかわりになるものや、はさみで切ってくみたてて遊ぶあそ 紙おもちゃなどさまざまな種類しゅるいのおもちゃがありました。きせかえ人形や、おしばいごっこの立ち絵、紙ずもうやめんこ、そして組み立て絵というものができたのもこのころです。ほかにもすごろくやかるたなど、今の時代じだいにも伝わるつた  おもちゃがこの時代じだい発達はったつしました。。
6. 江戸えど時代じだいの子どもたちも、今の子どもたちが、ゲームのカードをためたりマンガを買いそろえたりするのと同じことをやっていたのです。
7. 破れやぶ やすく、火には燃えも てしまう紙と知ってはいても、それでも紙でできたものには、集めあつ 愛さあい ずにはいられない魅力みりょくがあるようです。

8.「紙くんって、えらいんだね。今度こんどから紙さまって呼ぼよ うか。」
9.「いやあ、もっと気楽に読んでくれた方がいいよ。」
10.「じゃあ。ヘイ、カミーン。」

11. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(λ)


長文 9.1週
1.【1】「あっ、これ知ってる。」
2. テレビのコマーシャルに金子みすずさんの詩が流れました。わたしは、三年生のとき、国語の教科書で知ってから、みすずさんの詩をたくさん読みました。その中の一つが使われていたので、びっくりしたのです。
3. 【2】わたし好きす な勉強は、国語です。どのくらい好きす かというと、四月に新しい教科書をもらうと、一日で全部読み終えてしまうくらいです。国語の勉強は、新しい漢字をたくさん覚えるおぼ  のも、いろいろな人の作品を読むのも、音読も、作文も、全部楽しくてたまりません。
4. 【3】国語はまるで勉強ではなく趣味しゅみのような感じです。学校の授業じゅぎょうが毎日、全部国語だったらいいのになあ、とよく考えます。
5. 去年、母にそれを話したら、
6.「がんばって勉強をして、国語を専門せんもんに研究できる大学に行くといいかもしれないわね。」
7.と言ってくれました。
8. 【4】そのとき、横で新聞を読んでいた父は顔を上げて、
9.「それまでは国語だけではなく、いろいろな科目の勉強もしっかりやるといいよ。国語以外いがいの勉強が、国語の研究に役立つからね。」
10.と、わたしの方を向きました。【5】わたしはそれを聞いて、ようし、がんばるぞと思いました。
11. 一年生のときから仲良しなかよ のはるかちゃんは、国語はあまり好きす ではなく、算数や理科の方が好きす なのだそうです。わたしは、どちらかというと、算数は苦手です。【6】だから、いつもおたがい勉強でわからないところは教え合っています。
12. はるかちゃんは、読書があまり好きす でないらしく、わたしがおもしろい本をすすめても、
13.「ええ。めんどうくさいなあ。これ、字が小さいし。」
14.などと言って、あまり読んでくれません。【7】わたしぎゃくに、数字がたくさん並んなら でいる算数の問題集を見ると、「わあ、めんどうそう。」と思ってしまいます。∵
15. そんなはるかちゃんですが、去年、「ちいちゃんのかげおくり」を国語で習ったときは、とても真剣しんけんに何度も読んだそうです。【8】二年生のときの「スイミー」もおもしろかったと言っていました。
16. だから、わたしは、将来しょうらい国語の教科書を作る仕事をするようになったら、子供こども興味きょうみを持つ話をもっとのせたいと思っています。
17. 【9】わたしにとって、国語の勉強は、ご飯 はんにたとえられます。ほかの教科は、スープやおかずやデザートです。国語の勉強をしっかりやると、きっと栄養えいようもたっぷり、おなかもいっぱいになります。そんな気持ちで、わたしは、今日も国語の授業じゅぎょうを聞いています。【0】

18.(言葉の森長文ちょうぶん作成さくせい委員会 φ)


長文 9.2週
1. みなさんは空の絵をかくとき、何色でかきますか。ふつうは空色、つまり薄いうす 青色にするのではないでしょうか。しかし、もしかすると、ある人は、昨日きのう夕焼けゆうや の空を思い出してきれいなオレンジ色にするかもしれません。
2. 確かたし に、空の色は時刻じこくによっても、天気によっても変わりか  ます。空だけではありません。木でもベンチでも人の顔でも、その時々でいろいろな色合いに変わりか  ます。では、その時々の色を決めるき  のはなんでしょうか。
3. それは光です。ものは、光との関係かんけいによってさまざまな色合いに変化へんかします。特にとく 、外の景色けしき太陽たいようの光をじかに受けう ているので、一日のうちでもさまざまに印象いんしょう変えか ます。この光というものを大切に考えて、自然しぜん姿すがたをそのまま絵にしようと考えたのが、印象派いんしょうは呼ばよ れる芸術家げいじゅつかたちでした。
4. 印象派いんしょうはとは、十九世紀せいきの後半にフランスで起こっお  た画家を中心とするグループです。それまでは、時間をかけてかきこんだ重々しいおもおも  作品さくひんがよいとされてきました。そのため、一瞬いっしゅん輝きかがや をとらえてすばやく仕上げるしあ  印象派いんしょうはの絵は、最初さいしょ単なるたん  スケッチにすぎないと見られていました。印象派いんしょうは最初さいしょ印象いんしょうは、あまりよくなかったのです。
5. しかし、印象派いんしょうはの人たちは、実はじつ しっかりした科学てきな考え方にもとづいて制作せいさくをしていました。そのひとつが、シュヴルールという人の色の考え方です。かれは本の中で、となり合う色がおたがいに影響えいきょうしあって、いろいろな見え方になることを説明せつめいしました。そしてとなり合う色どうしが違えちが 違うちが ほど、より大きな効果こうかがあるとしました。
6. 例えばたと  、赤とみどり、黄とむらさきなどは、最ももっと 違うちが 色合いで、このような色の組み合わせを補色ほしょく関係かんけい呼びよ ます。補色ほしょく並べなら てみると、目がちかちかするような効果こうかを生みます。青っぽい色はおくに∵引っ込みひ こ 、赤っぽい色は前に飛び出しと だ てくるようにも見えます。
7. その印象派いんしょうはの画家たちの中で中心となったのが、クロード・モネです。モネは、移ろいうつ  やすい光や自然しぜん鮮やかあざ  な色を、だれよりも深くふか 追い求めお もと ました。
8. それまでの絵は、絵の具え ぐ混ぜるま  ことによってさまざまな色を作り出していました。絵の具え ぐ混ぜ合わま あ せれば混ぜ合わせるま あ   ほど、明るさがなくなっていきます。絵の具え ぐふで洗っあら ていると、水がどんどん暗いくら 色になっていくことを知っている人も多いでしょう。印象派いんしょうは以前いぜんの絵は、暗いくら 部分ぶぶんかげをつけることによってものの奥行きおくゆ を出していたので、絵が更にさら 暗くくら 重いおも 感じかん になっていました。
9. モネはこうした暗いくら 絵を嫌いきら ました。そして、光に溢れあふ たみずみずしい景色けしき描くえが ために、新しい技法ぎほう使いつか ました。ある色を作るのに、絵の具え ぐ混ぜ合わせるま あ   のではなく、純粋じゅんすいな色を数多くの点としてとなり合わせるように描いえが たのです。こうすると、離れはな て見た場合、それらの色が混ざりま  合って見えます。しかし、絵の具え ぐ混ぜま 使っつか たときよりもはるかに明るい色になるのです。モネは、となり合う点どうしを補色ほしょく関係かんけいにするなど、いろいろな工夫くふう重ねかさ ました。こうして、モネの絵は、自然しぜんの風や太陽たいようのあたたかさまで感じかん させるようなものになっていったのです。
10. 最初さいしょ受け入れう い られなかったモネの絵も、次第にしだい 多くの人に認めみと られるようになりました。今その光溢れるあふ  絵は、世界中せかいじゅうの人々から愛さあい れています。

11.「モネさんのような絵を、印象派いんしょうはの絵と言ってもイーンショウか。」
12.「うん、いいかモネ。」

13.   言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(α)


長文 9.3週
1. 【1】アルフレッドのゆいごんじょうは、十二月十七日、サン=レモのやしきでひらかれました。立ちあったのは、リュドビグの長男イマニュエル、ロベルトの長男ヤルマル、それにソールマンと弁護士べんごしです。
2.【2】「なんですって。わたしが、ノーベルさんのゆいごんをとりしきることになっているんですって……。」
3. ソールマンは、おどろきました。たしかに、ゆいごんじょうのおもて書きには、ソールマンの名があります。【3】ゆいごんじょうが、弁護士べんごしによってよみあげられるにつれ、ソールマンはさらに大きなおどろきにうたれ、まばたきもしません。
4.「わたし、アルフレッド=ノーベルは、あとにのこすざいさんについて、つぎのようにゆいごんする……。」
5. 【4】アルフレッドは、ごくわずかなお金をおくる友人、しんるいの名をあげたあと、こう書いていました。
6.「のこりのすべての金の利子りしを、毎年、そのまえの年に、人類じんるいのために役だつやく  しごとをした人々に、しょうとしてわけること。
7. 【5】利子りしは五つにわけ、
8.一、物理ぶつり
9.一、化学かがく
10.一、医学いがく生理学
11.一、文学
12.一、国際こくさい平和へいわ
13.の、それぞれの分野で、重要じゅうよう発明はつめい発見はっけんをし、あるいは理想りそうにみちた作品さくひんをあらわし、あるいはまた戦争せんそうをふせぐことにつとめた人物じんぶつにあたえること。」
14. 【6】ゆいごんじょうを、弁護士べんごしがよみおわると、ソールマンが、ぼうぜんとして、いいました。
15.「このしごとを、わたしがやるのですか。たった二十六さいのこのわたしが……。」
16.【7】「ソールマンさん……。ロシア語では、ゆいごんをとりしきる人のことを『たましいの代理人だいりにん』というのですよ。しっかりなさい。おじのアルフレッドは、あなたがこれをやれるとみこんだから、あ∵なたをえらんだのですよ。」
17. 【8】イマニュエルが、なき父リュドビグそっくりの、かしこそうな目をむけてはげましました。
18. そうはげますイマニュエルは、ヤルマルとともに、ゆいごんじょうがもしなかったら、アルフレッドのばく大なざいさんをもらえるはずの人なのです。
19.【9】「わかりました。では、このしごとを、わたしのしょうがいのしごととして、おひきうけします。」
20. そうちかったソールマンは、十二月二十九日、ストックホルムの教会で、アルフレッドのそうしきがおわったあと、しごとにとりかかりました。【0】
21. 
22.(「ノーベル」大野すすむちょより)


長文 9.4週
1. 海水は塩辛いしおから もので、わたしたちはそれを当たり前のことだと思っています。実際じっさい、そこに含まふく れる塩分えんぶん大変たいへんりょうです。海水をすべて蒸発じょうはつさせ、残っのこ 塩分えんぶん陸地りくち敷きつめるし    と、百五十メートルもの厚いあつ そうができると言われています。この大量たいりょうしおは、一体どこから来たのでしょうか。
2. 塩分えんぶんのふるさとのひとつは川です。地球ちきゅう上に存在そんざいする川の大半は淡水たんすいなので、これは意外いがい感じかん がします。雨が降るふ と水が地中にしみ込ん  こ で、土の中にあるミネラル分を溶かしと  ます。このミネラル分の中に塩分えんぶん含まふく れています。溶けと 出した塩分えんぶんは、川によって海まで運ばはこ れます。ただ、淡水たんすいの川に含まふく れる塩分えんぶんはごく少ないので、なめても塩辛いしおから とは感じかん ません。
3. 塩分えんぶんのもうひとつのふるさとは、海底かいてい火山です。活動かつどうする海底かいてい火山の爆発ばくはつ熱水ねっすい噴出ふんしゅつによって、地中からミネラル分が放出ほうしゅつされ、その中に含まふく れる塩分えんぶんが海水に溶け込むと こ のです。
4. このように、しおはいろいろなところから海を目指しめざ てやって来ますから、海にはしおがたまる一方のように思えます。その上、海からはどんどん水分が蒸発じょうはつしミネラル分だけがあとに残りのこ ます。これでは、塩分えんぶんがどんどん濃くこ なっていったとしても不思議ふしぎではありません。しかし現実げんじつには、海水の塩分えんぶん濃度のうどは、ほぼ一定いっていです。つまり、増えるふ  分と減るへ 分とがうまく釣り合っつ あ ているのです。では、塩分えんぶんは一体どこへ行くのでしょう。
5. まず、海の生物せいぶつしおを体の中に取り込みと こ ます。例えばたと  サンゴやエビ、カニなどは、硬いかた からを作るために塩類えんるい必要ひつようとします。これらの生き物い もの死ぬし と、そのから含まふく れていた塩類えんるい海底かいていにたまります。こうして塩分えんぶん一部いちぶ取り除かと のぞ れます。このようにして、海水中の塩分えんぶんは、増えるふ  りょう減るへ りょうのバランスがとれているのです。
6. では、この海底かいていにたまった塩分えんぶんはどうなるのでしょうか。海底かいていを∵含むふく 地殻ちかく巨大きょだいなプレートで成り立っな た ています。それらのプレートは少しずつ移動いどうし、二つ以上いじょうのプレートが出合うところでは、一方がとなりのプレートの下に入り込みはい こ ます。沈みしず 込んこ 海底かいてい高温こうおんのマントルの中で溶けと ていきます。当然とうぜん海底かいていにたまっていた塩分えんぶん一緒いっしょ溶けと てしまいます。
7. 地中から海へ、そしてまた地中へ。しおは、この壮大そうだいたびを気の遠くなるような年月の間繰り返しく かえ てきました。今日の一杯いっぱいのお味噌汁みそしるにも、塩分えんぶんの長いたび歴史れきし刻まきざ れているのです。

8.「塩分えんぶんさん、最初さいしょの生まれはどこなんですか。」
9.「実はじつ 、スーパーの食品しょくひん売り場なんだよ。」
10.「うそでシオ。」

11. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(Μ)