長文集  9月4週  ○子育てする恐竜  si2-09-4
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2010/06/14 17:42:04
 【1】アメリカのモンタナ州は、ジュラ紀
や白亜紀の恐竜の化石がたくさん発見される
場所です。このあたりで、タマゴの殻の破片
のようなものがたくさん見つかり、これが大
発見につながりまし た。【2】タマゴの殻
の周辺をさらに調査すると、直径三メートル
ほどもある、クレーターのような形の巣が見
つかったのです。この巣の中から、赤ちゃん
恐竜の化石がたくさん出てきました。【3】
これは、この場所でカモノハシ竜のタマゴが
孵化したことを示しています。また周辺から
は、大人のカモノハシ竜の化石が見つかりま
した。
 【4】タマゴの殻が細かく割れている理由
は、赤ちゃん恐竜が足で踏みつけたからでし
ょう。つまり、タマゴからかえった赤ちゃん
は、しばらく巣の中で生活していたというこ
とになります。【5】巣の中から見つかった
赤ちゃんの骨は、大きさがさまざまで、いち
ばん小さいものは全長二十五センチメートル
、大きなものは一メートルほどありました。
【6】恐竜の親は、赤ちゃんが生まれてから
一メートルの大きさに成長するまで、エサを
あげて子育てをしていたのでしょう。これは
、親鳥が巣の中のヒナにエサを運ぶのとよく
似ています。【7】このカモノハシ竜の仲間
には、「よいお母さん恐竜」という意味のマ
イアサウラという学名がつけられました。
 更に、巣の中をよく調べてみると、植物の
破片の化石が数多く見つかりました。これは
、親が子に運んだエサの植物とは違うもので
す。【8】なぜエサでもない植物が、たくさ
ん発見されたのでしょう。
 鳥はタマゴを生むと、タマゴの上に乗って
温めつづけます。タマゴがかえるには、一定
期間決まった温度を保つ必要があるからで 
す。恐竜の場合はどうでしょう。【9】マイ
アサウラの親の大きさは八メートル近くあり
、体重は何トンもあったと考えられます。こ
∵れでは、タマゴの上に乗って温めるわけに
はいきません。そこ で、自分が温める代わ
りに、タマゴの上を植物でおおって温度を保
ったのです。【0】こうしておけば、直射日
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光で暑くなりすぎた り、夜間に冷えすぎる
こともありません。また、植物は発酵によっ
て熱を出すので、それによってタマゴを少し
ずつ温めることができます。
 このような巣は、同じ場所から複数見つか
っています。マイアサウラは集団で子育てを
していたのでしょう。生まれたばかりの赤ち
ゃん恐竜は弱く、敵にねらわれやすいのです
が、集団を作って生活をしていれば、いつも
大人のマイアサウラが赤ちゃんを守ることが
できます。
 発見された化石は、これまでわからなかっ
た恐竜の行動を、私たちに教えてくれるもの
でした。化石をくわしく調べることで、私た
ちは大昔の恐竜の生活の仕方まで知ることが
できたのです。

 言葉の森長(ちょう)文作成委員会 κ