長文 10.1週
1.【1】「おかえりなさあい。」
2.水曜日の朝のあいさつは、おはようではありません。わたしのお母さんは看護かんごです。夜勤やきんと言って夕方から夜の間、病院びょういん働くはたら ことがあるのです。【2】入院にゅういんしている患者かんじゃさんは、ている間も具合ぐあい悪くわる なったり、どこか痛くいた なったりするので、一晩ひとばん中、ナースステイションには看護かんごさんが起きお ています。ベッドのそばのブザーを押すお と、飛んと できてくれるのです。だから、安心あんしんして入院にゅういんできるのです。
3. 【3】お母さんの夜勤やきんばんは、お父さんと二人です。夕ご飯 はんも、お父さんが作ってくれます。お父さんの作るご飯 はんは、お母さんのときと少し違いちが ます。あじが少し塩辛くしおから て、野菜やさいやお肉の切り方が大きいです。【4】お母さんのときは、おかずの種類しゅるいもたくさんありますが、お父さんのときは、あまりありません。お父さんの作るメニューの中で、いちばんおいしいのはカレーライスです。
4. お母さんは、お父さんと結婚けっこんする前からずっと看護かんごです。【5】子供こどものときからなりたかった職業しょくぎょうだそうです。看護かんごになるための学校は、勉強べんきょうがとても大変たいへんで、普通ふつうの学校のような勉強べんきょうだけでなく、実際じっさいにやってみる看護かんご実習じっしゅうというのがあったそうです。でも、お母さんは、看護かんごになる日を夢見ゆめみて、いっしょうけんめいがんばったと言っていました。
5. 【6】わたしが生まれるときだけお休みしましたが、あとはずっと今も看護かんごです。お友だちに
6.「うちのお母さん、看護かんごなんだ。」
7.と話すと、みんなびっくりして
8.「いいなあ。」
9.とうらやましがります。女の子の中では、人気のある職業しょくぎょうだからです。【7】でも、実際じっさい夜勤やきんもあるし、とても忙しいいそが  大変たいへん仕事しごとなのだということを知らないんだなあとわたしは心の中で思います。∵
10. お母さんは、時々、
11.「ゆきちゃん、かたをもんでくれる?」
12.と言います。そんなときのお母さんのかたは、力こぶを入れたようにかたくなっています。わたしは、ちょうどよい力でもみほぐしてあげます。【8】すると、お母さんは、
13.「ああ、気持ちいいきも   最高さいこう。」
14.と喜びよろこ ます。かたのほかに、首や足のふくらはぎをやってあげることもあります。長い時間やっていると、お母さんはうたた寝   ねしてしまうこともあります。
15. そんなに大変たいへん仕事しごとだというのに、お母さんは今まで一もやめたいと思ったことがないそうです。【9】この間、わたし
16.「どうして看護かんごをずっと続けつづ たいと思うの?」
17.と聞いてみたら、お母さんは、
18.「そうねえ。患者かんじゃさんから、ありがとうって言われたとき、人のやくに立てたんだなあって思えるからかな。」
19.と言ってにっこり笑いわら ました。【0】

20.(言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会 φ)