長文集  10月4週  ○寝る子は育つ  su-10-4
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/09/04 14:55:09
 「寝る子は育つ」ということわざがありま
す。昔の人は理屈でなく経験で理解していた
のでしょうが、このことわざのとおり、寝る
子が育つのには科学的な根拠があるのです。
日の出とともに起き、日の入りとともに眠る
ような時代と異なり、現代の人々は夜も活動
を続けています。ですから、大人はもちろん
、子供が眠りにつく時間も年々遅くなる一方
です。しかし、夜更かしは健全な成長のため
にも勧めることはできません。たとえ遅く寝
たとしても、ある程度の睡眠時間を確保でき
ればいいのだろうと思うかもしれませんが、
そうではありません。睡眠も、量より質が問
題になってくるので す。睡眠の場合、眠り
に就く時間が重要なポイントになります。「
早起きは三文の得」ということわざがあるの
も、実は納得できる理由があるのです。 
 それでは、どうして遅く寝るのはいけない
のでしょうか。睡眠中には大切なホルモンが
分泌されます。成長期の子どもたちに最も重
要なのが成長ホルモンです。このホルモンは
夜九時から二時くらいの間に盛んに分泌され
ます。ホルモンは夜中に出るもん(出るも 
の)なのです。ですから、この時間には眠り
に就いている必要があります。成長ホルモン
の主な働きは、骨の成長を促し、筋肉を作る
たんぱく質の合成を助け、日中活動して痛ん
だ細胞を修復することです。名前のとおり、
体の成長に欠かせないものと言えます。
 ほかにメラトニンというホルモンも忘れて
はなりません。このホルモンは暗くなると分
泌される性質があり、電気を煌々と灯した明
るい部屋で夜更かしをしていると分泌量が減
少してしまいます。メラトニンには人間の自
然な生活のリズムを整える働きや、酸素の毒
性から体を守る働き、それに加えて免疫を強
化する働きがありま す。∵
 遅く寝た場合、これらのホルモンが十分に
分泌されず、体に支障をきたす恐れがありま
す。このことから、健康な体を維持するため
には、早く眠りに就き十分な睡眠時間を確保
することが大切だとわかります。 
 睡眠には深い眠りと浅い眠りがあることが
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知られています。浅い眠りでは脳はまだまだ
活動しています。日中のできごとを思い出 
し、記憶として定着させています。ですから
、日中いっしょうけんめい勉強したことが、
浅い眠りを通して記憶として定着するわけで
す。
 浅い眠りと深い眠りは九十分ごとに入れ替
わると考えられていますが、眠りに就く時間
が遅く睡眠時間が少なくなった場合は、眠り
のほとんどを深い睡眠が占めてしまいます。
というのも、脳に休養を与えるという、人が
生きていくうえで重要な眠りが深い眠りだか
らです。睡眠時間が足りなくなった場合は、
浅い眠りの出番はなくなってしまうのです。
 毎日深夜まで勉強していると、かえって脳
を痛めつけることにもなりかねません。せっ
かくの努力を無駄にしないためにも、また効
率よく学習の成果をあげるにも、早い時間に
床(とこ)に就き能率のよい睡眠をとりまし
ょう。

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(
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