1. 「
寝る子は
育つ」ということわざがあります。
昔の人は
理屈でなく
経験で
理解していたのでしょうが、このことわざのとおり、
寝る子が
育つのには科学
的な
根拠があるのです。日の出とともに
起き、日の入りとともに
眠るような
時代と
異なり、
現代の人々は夜も
活動を
続けています。ですから、大人はもちろん、
子供が
眠りにつく時間も年々
遅くなる一方です。しかし、夜
更かしは
健全な
成長のためにも
勧めることはできません。たとえ
遅く寝たとしても、
ある程度の
睡眠時間を
確保できればいいのだろうと思うかもしれませんが、そうではありません。
睡眠も、
量より
質が
問題になってくるのです。
睡眠の場合、
眠りに
就く時間が
重要なポイントになります。「
早起きは三文の
得」ということわざがあるのも、
実は納得できる
理由があるのです。
2. それでは、どうして
遅く寝るのはいけないのでしょうか。
睡眠中には大切なホルモンが
分泌されます。
成長期の子どもたちに
最も重要なのが
成長ホルモンです。このホルモンは夜九時から二時くらいの間に
盛んに
分泌されます。ホルモンは夜中に出るもん(出るもの)なのです。ですから、この時間には
眠りに
就いている
必要があります。
成長ホルモンの
主な
働きは、
骨の
成長を
促し、
筋肉を作る
たんぱく質の
合成を
助け、日中
活動して
痛んだ
細胞を
修復することです。名前のとおり、体の
成長に
欠かせないものと言えます。
3. ほかにメラトニンというホルモンも
忘れてはなりません。このホルモンは
暗くなると
分泌される
性質があり、電気を
煌々と
灯した明るい
部屋で夜
更かしをしていると
分泌量が
減少してしまいます。メラトニンには人間の
自然な生活のリズムを
整える働きや、
酸素の
毒性から体を
守る働き、それに
加えて
免疫を
強化する
働きがあります。∵
4.
遅く寝た場合、これらのホルモンが十分に
分泌されず、体に
支障をきたす
恐れがあります。このことから、
健康な体を
維持するためには、早く
眠りに
就き十分な
睡眠時間を
確保することが大切だとわかります。
5.
睡眠には
深い眠りと
浅い眠りがあることが知られています。
浅い眠りでは
脳はまだまだ
活動しています。日中のできごとを思い出し、
記憶として
定着させています。ですから、日中いっしょうけんめい
勉強したことが、
浅い眠りを通して
記憶として
定着するわけです。
6.
浅い眠りと
深い眠りは九十分ごとに
入れ替わると考えられていますが、
眠りに
就く時間が
遅く睡眠時間が少なくなった場合は、
眠りのほとんどを
深い睡眠が
占めてしまいます。というのも、
脳に
休養を
与えるという、人が生きていくうえで
重要な
眠りが
深い眠りだからです。
睡眠時間が足りなくなった場合は、
浅い眠りの出番はなくなってしまうのです。
7. 毎日
深夜まで
勉強していると、かえって
脳を
痛めつけることにもなりかねません。せっかくの
努力を
無駄にしないためにも、また
効率よく
学習の
成果をあげるにも、早い時間に
床に
就き能率のよい
睡眠をとりましょう。
8.
言葉の森
長文作成委員会(ω)