長文 10.4週
1. 「寝るね 子は育つそだ 」ということわざがあります。むかしの人は理屈りくつでなく経験けいけん理解りかいしていたのでしょうが、このことわざのとおり、寝るね 子が育つそだ のには科学てき根拠こんきょがあるのです。日の出とともに起きお 、日の入りとともに眠るねむ ような時代じだい異なりこと  現代げんだいの人々は夜も活動かつどう続けつづ ています。ですから、大人はもちろん、子供こども眠りねむ につく時間も年々遅くおそ なる一方です。しかし、夜更かしふ  健全けんぜん成長せいちょうのためにも勧めるすす  ことはできません。たとえ遅くおそ たとしても、ある程度  ていど睡眠すいみん時間を確保かくほできればいいのだろうと思うかもしれませんが、そうではありません。睡眠すいみんも、りょうよりしつ問題もんだいになってくるのです。睡眠すいみんの場合、眠りねむ 就くつ 時間が重要じゅうようなポイントになります。「早起きはやお は三文のとく」ということわざがあるのも、実はじつ 納得なっとくできる理由りゆうがあるのです。 
2. それでは、どうして遅くおそ 寝るね のはいけないのでしょうか。睡眠すいみん中には大切なホルモンが分泌ぶんぴつされます。成長せいちょうの子どもたちに最ももっと 重要じゅうようなのが成長せいちょうホルモンです。このホルモンは夜九時から二時くらいの間に盛んさか 分泌ぶんぴつされます。ホルモンは夜中に出るもん(出るもの)なのです。ですから、この時間には眠りねむ 就いつ ている必要ひつようがあります。成長せいちょうホルモンのおも働きはたら は、ほね成長せいちょう促しうなが 筋肉きんにくを作るたんぱく質    しつ合成ごうせい助けたす 、日中活動かつどうして痛んいた 細胞さいぼう修復しゅうふくすることです。名前のとおり、体の成長せいちょう欠かか せないものと言えます。
3. ほかにメラトニンというホルモンも忘れわす てはなりません。このホルモンは暗くくら なると分泌ぶんぴつされる性質せいしつがあり、電気を煌々こうこう灯しとも た明るい部屋へやで夜更かしふ  をしていると分泌ぶんぴつりょう減少げんしょうしてしまいます。メラトニンには人間の自然しぜんな生活のリズムを整えるととの  働きはたら や、酸素さんそ毒性どくせいから体を守るまも 働きはたら 、それに加えくわ 免疫めんえき強化きょうかする働きはたら があります。∵
4. 遅くおそ た場合、これらのホルモンが十分に分泌ぶんぴつされず、体に支障ししょうをきたす恐れおそ があります。このことから、健康けんこうな体を維持いじするためには、早く眠りねむ 就きつ 十分な睡眠すいみん時間を確保かくほすることが大切だとわかります。 
5. 睡眠すいみんには深いふか 眠りねむ 浅いあさ 眠りねむ があることが知られています。浅いあさ 眠りねむ ではのうはまだまだ活動かつどうしています。日中のできごとを思い出し、記憶きおくとして定着ていちゃくさせています。ですから、日中いっしょうけんめい勉強べんきょうしたことが、浅いあさ 眠りねむ を通して記憶きおくとして定着ていちゃくするわけです。
6. 浅いあさ 眠りねむ 深いふか 眠りねむ は九十分ごとに入れ替わるい か  と考えられていますが、眠りねむ 就くつ 時間が遅くおそ 睡眠すいみん時間が少なくなった場合は、眠りねむ のほとんどを深いふか 睡眠すいみん占めし てしまいます。というのも、のう休養きゅうよう与えるあた  という、人が生きていくうえで重要じゅうよう眠りねむ 深いふか 眠りねむ だからです。睡眠すいみん時間が足りなくなった場合は、浅いあさ 眠りねむ の出番はなくなってしまうのです。
7. 毎日深夜しんやまで勉強べんきょうしていると、かえってのう痛めつけるいた    ことにもなりかねません。せっかくの努力どりょく無駄むだにしないためにも、また効率こうりつよく学習がくしゅう成果せいかをあげるにも、早い時間にとこ就きつ 能率のうりつのよい睡眠すいみんをとりましょう。

8. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(ω)