長文集  11月3週  ★かれはすぐ(感)  su-11-3
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2012/06/15 08:09:23
 【1】かれはすぐ、プリンストンの名物教
授になりました。世界的な大科学者というこ
ともありますが、そのすなおで、あたたかい
性格が教授仲間や学生たちをとらえたのです

 【2】博士は、決まった講義は行いません
でしたが、研究室にくる学生たちを、たいへ
ん親切に指導しました。
 【3】学生ばかりではありません。たのま
れれば、小学生の勉強だって見てあげたので
す。
 【4】じっさい、プリンストンの町には、
ある十さいの女の子が毎日のようにアインシ
ュタイン家に行って、博士に算数の宿題を教
えてもらったという話が残っています。
「あんなえらい先生に、宿題を見てもらうな
んて!」
 【5】女の子のお母さんが、びっくりして
おわびに行くと、博士は、
「とんでもない。わたしのほうこそ、おじょ
うさんから教わることが、たくさんあったん
ですよ。」
といったそうです。
 【6】ライオンのたてがみのような白髪を
なびかせ、町を散歩する博士を、だれもがあ
たたかい目で見守りました。
 アインシュタイン博士は、この町でだれか
らも愛されうやまわれました。【7】ただひ
とつ、あまりにも身なりをかまわないことだ
けは、人々のじょうだんの種になりました。
古いセーターに、サンダルばき。くつしたを
はかず、さんぱつも大きらい。
 【8】こんな博士に、「すこし服装に気を
つかわれたらどうですか。」と、だれかが忠
告すると、「肉を買って、包み紙のほうがり
っぱだったら、わびしくないかね。」と、や
りかえされてしまいました。人は外見ではな
い、ということでしょう。
 【9】しかも、人生というのは限られてい
ます。ものは、すべて必要最低限にきりつめ
、おしゃれをする時間があれば、一分でも研
究のほうにまわしたい――アインシュタイン
博士は、心からそう思っていたのです。
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(「アインシュタイン」岡田好恵著より)