長文集  11月4週  ○食虫植物とは  su-11-4
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/09/04 15:07:24
 食虫植物とは、葉などで虫や小動物をつか
まえて消化し、栄養分として吸収する植物の
ことです。食虫植物と言っても、しょっちゅ
う虫をつかまえているわけではありません。
食虫植物も普通の植物と同じように、日光か
ら栄養分を自分で作っているので、虫を食べ
なくても枯れることはないからです。ただ、
育ちが少し悪くなることはあります。食虫植
物は、世界には、五百種あまり、日本にも、
二十種あまりが自生しています。数ある食虫
植物の中から、ハエトリグサ、ウツボカズラ
、モウセンゴケの三種類を紹介しましょう。
 
 ハエトリグサの葉には、片側に三つずつ、
合計六本の小さな毛が生えています。虫がこ
の毛に二回さわると、すぐに葉が閉じて虫を
つかまえます。虫があたふたしているうちに
ふたが閉まってしまうわけです。なぜ二回さ
わるまで葉を閉じないかというと、一回だけ
では虫が葉っぱのまん中に入っていないかも
しれないからです。二回ならほとんど間違い
なく虫が真ん中に入っているだろうというわ
けです。ハエトリグサは用心深い性格なのか
もしれません。
 葉を閉じてからもしばらくは、葉の中に虫
が動ける隙間があります。しかし、虫をつか
まえてから一日経つと、葉をぴたりと閉じて
虫を押しつぶしてしまいます。そして、消化
液を出して虫をどんどんとかしてしまいます
。虫を完全にとかすまでには十日ぐらいかか
ります。その後、また葉を開いて、次の餌食
となる虫を待つので す。 
 ウツボカズラのふくろにはふたがあります
。このふたの裏やふくろの口のまわりから甘
いミツを出して虫をおびきよせます。ふくろ
の表面はロウのようになっていてとてもすべ
りやすいので、虫たちがいくらもがいても徒
労に終わってしまいます。ミツを目当てにや
ってきた虫たちは、結局は足をすべらせてふ
くろの中に落ちて∵しまいます。ふくろの下
にはいつも消化液がたまっています。ウツボ
カズラは、ふくろの内側にあるぶつぶつから
虫の栄養分を吸い取っています。一方的に栄
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養分を取るだけですから、物々交換とはいか
ないようです。ふくろについているふたです
が、このふたは雨を防ぐためのもので、虫を
つかまえた後も閉まりません。 
 モウセンゴケの仲間は、北極、南極、砂漠
をのぞく、ほぼ世界中に分布しています。日
本でも北から南までどこでもよく見ることが
できます。モウセンゴケの葉には腺毛が生え
ていて、その先からねばねばした液を出して
虫を捕えます。赤い腺毛の先にねばねばがき
らきらと光り、まるでダイヤモンドダストの
ようです。葉の上に虫がとまると、毛が素早
く動きだします。毛だけでなく葉も虫をつつ
みこむように動き、虫をとかす消化液を出し
ます。十時間もする と、葉は虫をくるくる
巻きにして、ゼンマイのような姿になりま 
す。そして、消化液でとかされた虫の栄養分
を吸い取り、その後、まるで何事もなかった
ようにまた葉を開いて次の虫を待ちます。「
モウセンゴケ」とは名ばかりで、「もう、せ
ん。」と言いながらも次々に虫をつかまえて
しまうようです。

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(
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