長文 11.4週
1. 食虫植物しょくちゅうしょくぶつとは、などで虫や小動物しょうどうぶつをつかまえて消化しょうかし、栄養分えいようぶんとして吸収きゅうしゅうする植物しょくぶつのことです。食虫植物しょくちゅうしょくぶつと言っても、しょっちゅう虫をつかまえているわけではありません。食虫植物しょくちゅうしょくぶつ普通ふつう植物しょくぶつと同じように、日光から栄養分えいようぶんを自分で作っているので、虫を食べなくても枯れるか  ことはないからです。ただ、育ちそだ が少し悪くわる なることはあります。食虫植物しょくちゅうしょくぶつは、世界せかいには、五百しゅあまり、日本にも、二十しゅあまりが自生しています。数ある食虫植物しょくちゅうしょくぶつの中から、ハエトリグサ、ウツボカズラ、モウセンゴケの三種類しゅるい紹介しょうかいしましょう。 
2. ハエトリグサのには、片側かたがわに三つずつ、合計六本の小さな毛が生えています。虫がこの毛に二回さわると、すぐに閉じと て虫をつかまえます。虫があたふたしているうちにふたが閉まっし  てしまうわけです。なぜ二回さわるまで閉じと ないかというと、一回だけでは虫が葉っぱは  のまん中に入っていないかもしれないからです。二回ならほとんど間違いまちが なく虫が真ん中ま なかに入っているだろうというわけです。ハエトリグサは用心深いようじんぶか 性格せいかくなのかもしれません。
3. 閉じと てからもしばらくは、の中に虫が動けるうご  隙間すきまがあります。しかし、虫をつかまえてから一日経つた と、をぴたりと閉じと て虫を押しつぶしお    てしまいます。そして、消化しょうかえきを出して虫をどんどんとかしてしまいます。虫を完全かんぜんにとかすまでには十日ぐらいかかります。その後、また開いひら て、つぎ餌食えじきとなる虫を待つま のです。 
4. ウツボカズラのふくろにはふたがあります。このふたのうらやふくろの口のまわりから甘いあま ミツを出して虫をおびきよせます。ふくろの表面ひょうめんはロウのようになっていてとてもすべりやすいので、虫たちがいくらもがいても徒労とろう終わっお  てしまいます。ミツを目当てにやってきた虫たちは、結局けっきょくは足をすべらせてふくろの中に落ちお て∵しまいます。ふくろの下にはいつも消化しょうかえきがたまっています。ウツボカズラは、ふくろの内側うちがわにあるぶつぶつから虫の栄養分えいようぶん吸い取っす と ています。一方てき栄養分えいようぶん取ると だけですから、物々交換ぶつぶつこうかんとはいかないようです。ふくろについているふたですが、このふたは雨を防ぐふせ ためのもので、虫をつかまえた後も閉まりし  ません。 
5. モウセンゴケの仲間なかまは、北極ほっきょく南極なんきょく砂漠さばくをのぞく、ほぼ世界中せかいじゅう分布ぶんぷしています。日本でも北から南までどこでもよく見ることができます。モウセンゴケのにはせん毛が生えていて、その先からねばねばしたえきを出して虫を捕えとら ます。赤いせん毛の先にねばねばがきらきらと光り、まるでダイヤモンドダストのようです。の上に虫がとまると、毛が素早くすばや 動きだしうご   ます。毛だけでなくも虫をつつみこむように動きうご 、虫をとかす消化しょうかえきを出します。十時間もすると、は虫をくるくる巻きま にして、ゼンマイのような姿すがたになります。そして、消化しょうかえきでとかされた虫の栄養分えいようぶん吸い取りす と 、その後、まるで何事なにごともなかったようにまた開いひら つぎの虫を待ちま ます。「モウセンゴケ」とは名ばかりで、「もう、せん。」と言いながらも次々つぎつぎに虫をつかまえてしまうようです。

6. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(Λ)