1.
食虫植物とは、
葉などで虫や
小動物をつかまえて
消化し、
栄養分として
吸収する
植物のことです。
食虫植物と言っても、しょっちゅう虫をつかまえているわけではありません。
食虫植物も
普通の
植物と同じように、日光から
栄養分を自分で作っているので、虫を食べなくても
枯れることはないからです。ただ、
育ちが少し
悪くなることはあります。
食虫植物は、
世界には、五百
種あまり、日本にも、二十
種あまりが自生しています。数ある
食虫植物の中から、ハエトリグサ、ウツボカズラ、モウセンゴケの三
種類を
紹介しましょう。
2. ハエトリグサの
葉には、
片側に三つずつ、合計六本の小さな毛が生えています。虫がこの毛に二回さわると、すぐに
葉が
閉じて虫をつかまえます。虫があたふたしているうちにふたが
閉まってしまうわけです。なぜ二回さわるまで
葉を
閉じないかというと、一回だけでは虫が
葉っぱのまん中に入っていないかもしれないからです。二回ならほとんど
間違いなく虫が
真ん中に入っているだろうというわけです。ハエトリグサは
用心深い性格なのかもしれません。
3.
葉を
閉じてからもしばらくは、
葉の中に虫が
動ける隙間があります。しかし、虫をつかまえてから一日
経つと、
葉をぴたりと
閉じて虫を
押しつぶしてしまいます。そして、
消化液を出して虫をどんどんとかしてしまいます。虫を
完全にとかすまでには十日ぐらいかかります。その後、また
葉を
開いて、
次の
餌食となる虫を
待つのです。
4. ウツボカズラのふくろにはふたがあります。このふたの
裏やふくろの口のまわりから
甘いミツを出して虫をおびきよせます。ふくろの
表面はロウのようになっていてとてもすべりやすいので、虫たちがいくらもがいても
徒労に
終わってしまいます。ミツを目当てにやってきた虫たちは、
結局は足をすべらせてふくろの中に
落ちて∵しまいます。ふくろの下にはいつも
消化液がたまっています。ウツボカズラは、ふくろの
内側にあるぶつぶつから虫の
栄養分を
吸い取っています。一方
的に
栄養分を
取るだけですから、
物々交換とはいかないようです。ふくろについているふたですが、このふたは雨を
防ぐためのもので、虫をつかまえた後も
閉まりません。
5. モウセンゴケの
仲間は、
北極、
南極、
砂漠をのぞく、ほぼ
世界中に
分布しています。日本でも北から南までどこでもよく見ることができます。モウセンゴケの
葉には
腺毛が生えていて、その先からねばねばした
液を出して虫を
捕えます。赤い
腺毛の先にねばねばがきらきらと光り、まるでダイヤモンドダストのようです。
葉の上に虫がとまると、毛が
素早く動きだします。毛だけでなく
葉も虫をつつみこむように
動き、虫をとかす
消化液を出します。十時間もすると、
葉は虫をくるくる
巻きにして、ゼンマイのような
姿になります。そして、
消化液でとかされた虫の
栄養分を
吸い取り、その後、まるで
何事もなかったようにまた
葉を
開いて
次の虫を
待ちます。「モウセンゴケ」とは名ばかりで、「もう、せん。」と言いながらも
次々に虫をつかまえてしまうようです。
6.
言葉の森
長文作成委員会(Λ)