長文集  12月4週  ○駄洒落とは  su-12-4
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/09/04 15:12:45
 駄洒落(ダジャレ)とは、音が同じかそっ
くりな言葉をならべて遊ぶ言葉遊びです。江
戸中期の雑俳と呼ばれる短い詩のひとつと言
われています。地口(じぐち)とも呼ばれま
す。この雑俳に詠われる内容は、みんなの知
っている言葉や、芝居の有名なせりふをもと
にした機知に富んだおもしろいことがらです
。いろいろな言葉をよく知っていて、世の中
のことに精通し、センスがよいと気の利いた
じょうずなシャレができるのです。ですから
、江戸時代では、シャレのうまい人を教養が
あるとみなしたようです。立派な庶民の文化
だったわけです。地口(じぐち)に合った絵
を行灯に描いて、秋のお祭りに使ったという
「地口(じぐち)行灯」は、最近復活して関
東地方のあちこちで、作られているようです
。 
 しかし、正統派の俳人や文化人と言われる
人たちの中には、ばかばかしいおふざけと見
る人もあり、シャレに「駄」がつけられてし
まったのです。もともとは「洗練されている
」「洒落ていて趣がある」という意味だった
シャレですが、つまらない・粗末な・でたら
めといった意味を表す、不名誉な「駄」がつ
けられてしまいまし た。 
 さて、ダジャレにはどんなものがあるので
しょう。いろいろな種類がありますが、まず
はちょっとした語呂合わせで作る「同じ読み
方の言葉を使ったもの」。これには、「電話
にはでんわ」、「アルミ缶の上にあるミカン
」などがあります。全く同じ音なのに全然違
うものを表しているという意外性のおもしろ
さがあります。ダジャレといえば、このよう
なものを思い浮かべる人も多いでしょう。少
し発展させると、「とかげと影」「机にくっ
つく絵」「宝があったから」などができます
。 
 次に、「似たような音を持つ言葉を使った
もの」があります。「とこやはどこや」「め
じろのねじろ」「迷子の舞妓」などがそれに
あたります。気軽にひょいと口をついて出る
ような軽いダジャレ∵です。少し無理がある
と、またそれがおもしろくなることもありま
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す。 
 三つめは、ニつの言葉をくっつけて作った
やや上級編です。「布団がお山の方まで吹っ
飛んだ!」「おやまぁ。」ちょっとしたスト
ーリーができあがります。 
 さらに、一つの文にニつの意味をもたせる
ものがあります。「風林火山ない?」と「風
鈴飾んない?」、「倒産か辛かったな」と「
父さんカツラ買ったな」、「私と居てくださ
い」と「渡しといてください」などです。ダ
ジャレのつもりでなく、口にして、「あれ、
勘違い」ということもあるかもしれません。
 
 江戸時代には文化だったダジャレですが、
最近では若者たちに親父ギャグなどと呼ばれ
て、肩身のせまいところです。しかし、日本
語独特の音のおもしろさ、言葉から広がるイ
メージなどを共有することで、場が和み、楽
しい気分になるものです。ダジャレを最もよ
く言う層は、小学校高学年の男子と四十代以
上のサラリーマンだそうです。語彙が増えて
、ユーモアを解するようになったダジャレ入
門者の小学生と、忙しい生活や仕事に疲れ、
つかのまの癒しをダジャレに求めるダジャレ
世代のお父さんたちというわけです。 
 欧米人は冗談が好きで、ユーモアとウィッ
ト(機知)に富んだ会話を楽しむ、とよく言
われます。ユーモアのセンスというのは、言
っている本人はもちろん、相手も楽しくなり
、円滑な人間関係を結ぶ上で大変重要なもの
です。
 ダジャレの特徴は、子供から大人までだれ
でも気軽に言えることです。「日本じゃだれ
でも、ダジャレを言える」となったら、ダジ
ャレは日本の伝統文化の一つとして世界に誇
れるものになるかもしれません。

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(
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