1.
駄洒落(ダジャレ)とは、音が同じかそっくりな
言葉をならべて
遊ぶ言葉遊びです。
江戸中期の
雑俳と
呼ばれる
短い詩のひとつと言われています。
地口とも
呼ばれます。この
雑俳に
詠われる
内容は、みんなの知っている
言葉や、
芝居の
有名なせりふをもとにした
機知に
富んだおもしろいことがらです。いろいろな
言葉をよく知っていて、
世の中のことに
精通し、センスがよいと気の
利いたじょうずなシャレができるのです。ですから、
江戸時代では、シャレのうまい人を
教養があるとみなしたようです。
立派な
庶民の
文化だったわけです。
地口に合った絵を
行灯に
描いて、秋の
お祭りに
使ったという「
地口行灯」は、
最近復活して
関東地方のあちこちで、作られているようです。
2. しかし、
正統派の
俳人や
文化人と言われる人たちの中には、ばかばかしいおふざけと見る人もあり、シャレに「
駄」がつけられてしまったのです。もともとは「
洗練されている」「
洒落ていて
趣がある」という
意味だったシャレですが、つまらない・
粗末な・でたらめといった
意味を
表す、
不名誉な「
駄」がつけられてしまいました。
3. さて、ダジャレにはどんなものがあるのでしょう。いろいろな
種類がありますが、まずはちょっとした
語呂合わせで作る「同じ読み方の
言葉を
使ったもの」。これには、「電話にはでんわ」、「アルミ
缶の上にあるミカン」などがあります。
全く同じ音なのに
全然違うものを
表しているという
意外性のおもしろさがあります。ダジャレといえば、このようなものを
思い浮かべる人も多いでしょう。少し
発展させると、「とかげと
影」「
机にくっつく絵」「
宝があったから」などができます。
4.
次に、「
似たような音を
持つ言葉を
使ったもの」があります。「とこやはどこや」「めじろのねじろ」「
迷子の
舞妓」などがそれにあたります。
気軽にひょいと口をついて出るような
軽いダジャレ∵です。少し
無理があると、またそれがおもしろくなることもあります。
5. 三つめは、ニつの
言葉をくっつけて作ったやや
上級編です。「
布団がお山の方まで
吹っ飛んだ!」「おやまぁ。」ちょっとしたストーリーができあがります。
6. さらに、一つの文にニつの
意味をもたせるものがあります。「風林火山ない?」と「
風鈴飾んない?」、「
倒産か
辛かったな」と「父さんカツラ買ったな」、「
私と
居てください」と「
渡しといてください」などです。ダジャレのつもりでなく、口にして、「あれ、
勘違い」ということもあるかもしれません。
7.
江戸時代には
文化だったダジャレですが、
最近では
若者たちに親父ギャグなどと
呼ばれて、
肩身のせまいところです。しかし、日本語
独特の音のおもしろさ、
言葉から広がるイメージなどを
共有することで、場が
和み、楽しい気分になるものです。ダジャレを
最もよく言う
層は、小学校高学年の男子と四十
代以上のサラリーマンだそうです。
語彙が
増えて、ユーモアを
解するようになったダジャレ入門
者の小学生と、
忙しい生活や
仕事に
疲れ、つかのまの
癒しをダジャレに
求めるダジャレ
世代のお父さんたちというわけです。
8.
欧米人は
冗談が
好きで、ユーモアとウィット(
機知)に
富んだ会話を楽しむ、とよく言われます。ユーモアのセンスというのは、言っている本人はもちろん、
相手も楽しくなり、
円滑な人間
関係を
結ぶ上で
大変重要なものです。
9. ダジャレの
特徴は、
子供から大人までだれでも
気軽に言えることです。「日本じゃだれでも、ダジャレを言える」となったら、ダジャレは日本の
伝統文化の一つとして
世界に
誇れるものになるかもしれません。
10.
言葉の森
長文作成委員会(φ)