長文集  10月2週  ○エジソンが七さいになったとき(感)  su2-10-2
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2010/08/06 19:36:42
 【1】エジソンが七さいになったとき、一
家は、ミランからヒューロン湖のそばのポー
トヒューロンにうつりました。おとうさんの
やっていた食料品や製材の事業が大きくなる
につれて、あたらしく鉄道の駅ができたポー
トヒューロンのほうが、べんりだったので 
す。
 【2】エジソンは、この活気にあふれた町
の小学校に入学しました。ところが、たちま
ちのうちに、教室のやっかい者(もの)にな
ってしまったのです。きまぐれで、ごうじょ
うで、すきなことにはむちゅうになるくせに
、きらいなことには見むきもしないのです。
 【3】そのうえ、れいの好奇心から、時と
場所もかまわずだしぬけに、ちょいちょい、
先生がかんがえてもいないような質問をした
りします。
 ことに、数学の時間はたいへんです。先生
が、
「二たす二は四。」
とおしえます。【4】すると、エジソンが、
きゅうに立ちあがっ て、
「先生、どうして二と二をたすと四になるの
ですか?」
「かぞえてごらん。四になるじゃないか。」
「でも、なぜ四にならなければいけないので
すか?」
「わからない子だな。二たす二は、四なんだ
。よくおぼえておお き!」
 【5】そんなわけで、エジソンは先生から
すっかりきらわれてしまいました。そして、
先生はとうとう、きみは低能児であると、き
めてしまいました。
 こんなことがかさなって、ある日、エジソ
ンは、おかあさんにいいました。
【6】「……ぼく……もう学校へいかないよ
。」
「まあ、きゅうに、どうしたの?」
「先生がね、ぼくのことを、ばかだっていう
んだもの。そうして……。」
「そうして?」
「なにをきいても、よけいなことをきくんじ
ゃないって、しかるんだもの。」
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 【7】おかあさんは、じっとかんがえこん
でいました。じぶん も、むかし、学校の先
生をしたことがあり、そういう教育法がとく
べつの才能をもった子どもをみちびくのに、
てきとうでないことをよく知っていました。

【8】「そう……。それではこれからは、お
かあさんが先生になってあげましょう。その
かわり、いっしょうけんめい勉強するんです
よ。」
「うん、ぼく、いっしょうけんめいやるよ。
ぼく、ばかじゃないもの、ね。」
 こうして、学校をやめたエジソンは、家庭
でとくべつの教育をうけました。【9】それ
はじつにおもいきった教育で、まだ八つか九
つだというのに、母親のナンシーが先生にな
って、ギボンの「ローマ帝国衰亡史」、ヒュ
ームの「英国史」、シアースの「世界史」、
バートンの「ゆううつの解剖」、「科学の辞
典」といった、むずかしい本を読んだのです

 【0】十二さいになると、ニュートンの「
プリンキピア」という本の勉強をはじめまし
た。その中にでてくる数学は、先生のおかあ
さんでさえ、てこずるものでしたから、数学
がにがてのエジソンには、どうにもくるしい
たたかいでした。

(「エジソン」 崎川(さきかわ)範行著 
講談社 火の鳥伝記文庫より)